“帷幕”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いばく78.0%
とばり10.2%
まんまく3.4%
カーテン1.7%
あげばり1.7%
おおとの1.7%
たれまく1.7%
まく1.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
とのみで、信玄は次第に無口になって、帷幕いばくの人々との対談でも、伝令の報告を聞くのでも、ただうなずきを以てするようになっていた。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
薬師堂の階段を上ると、中央には香の燃滓が山のように堆積している護摩壇があり、その背後が厨子形の帷幕とばりになっている。
後光殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
島には鎌倉殿の定紋じょうもんついた帷幕まんまく引繞ひきめぐらして、威儀を正した夥多あまたの神官が詰めた。紫玉は、さきほどからここに控えたのである。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼は帷幕カーテンの外から顔を差し入れただけで、思わずハッとして立ちすくんでしまった。前回にはいささかも覚えなかったところの、不思議な衝動に襲われたからだ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
兵を河のに隱し、またその山の上に、絁垣きぬがきを張り、帷幕あげばりを立てて、詐りて、舍人とねりを王になして、あらは呉床あぐらにませて、百官つかさづかさゐやまひかよふ状、既に王子のいまし所の如くして
〈妾ひととなり交接の道を欲せず、今皇命の威にえずして、暫く帷幕おおとのの中に納む、しかるに意に快からざるところ、云々〉と辞してその姉をすすめ参らせた、それが成務帝の御母だとある。
きずは左第五第六肋骨間を貫き左心室に突入せる、正規の創形を有する短剣刺傷にして、算哲はへやの中央にてそのつかを固く握り締め、扉を足に頭を奥の帷幕たれまくに向けて、仰臥の姿勢にて横たわれり。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
帷幕まくが下りると、……燕尾服の口上じゃない——薄汚い、黒の皺だらけの、わざと坊さんの法衣ころもを着た、印度インド人が来て、袖をいて、指示ゆびさしをしながら、揚幕へ連れ込んで、穴段を踏んで