“まく”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
65.1%
18.5%
6.3%
1.7%
1.3%
0.8%
0.8%
0.8%
0.8%
0.4%
帷幕0.4%
0.4%
0.4%
0.4%
0.4%
0.4%
0.4%
0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
しかし今夜の彼女は、まくし立てるには痛手を負いすぎていた。それに今の場合、葉子にとってもっとも大切なことは善後策であった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そしてわか牝狐めぎつねが一ぴき、中からかぜのようにんでました。「おや。」というもなく、きつね保名やすなまくの中にんでました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
船と船とは、見る見る薄いのりのような青白いまくに隔てられる。君の周囲には小さな白い粒がかわき切った音を立てて、あわただしく船板を打つ。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
公事くじ根源』を見るに中朝この遊び盛んに、円融帝寛和元年二月十三日に行われたのは殊にふるった物だったらしく、とばりの屋を設けまくを引き廻らし、小庭とて小松をひしと植えられたりとある。
始めは気が付かなかったが、部屋の左手の隅に次の間へ通ずる出口があって、重い緞子どんすまくが深い皺を畳み、ナイヤガラの瀑布を想わせるようにどさりと垂れ下って居る。
少年 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
日をさかりまくれあがれば
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
「空の鳥を見よ。まくことなくかることをせず、倉にたくわうることなし」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
童子は数馬の裾をまくり膝の辺りを撫で廻わしたが
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
勝も附いて来て、赤い緒の雪踏せったを脱いで上った。僕は先ず跣足はだしで庭のこけの上に飛び降りた。勝も飛び降りた。僕は又縁に上って、尻をまくった。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ある日強い南風が吹きまくって、松と槙との枝をたわむばかりに振り動かした。彼の巣もともに動揺した。巣の一部分は大きな魚に食い破られた網のようにけてしまった。
二階から (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
帷幕まくが下りると、……燕尾服の口上じゃない——薄汚い、黒の皺だらけの、わざと坊さんの法衣ころもを着た、印度インド人が来て、袖をいて、指示ゆびさしをしながら、揚幕へ連れ込んで、穴段を踏んで
それは十五、六の綺麗きれいな女であった。女は一度お辞儀をするかと思うともうまくの中へ入っていった。柳の魂は揺れ動いた。
織成 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
さてこの事件をまく開きとして、ついで今の女流作家の真杉静枝さんが折柄、妙齢美貌の婦人記者で、この島原の事件の前後に知り合い、宝塚の彼女に同じく私より少し年上ではあったが
わが寄席青春録 (新字新仮名) / 正岡容(著)
手には今いだばかりの剃刀を持つて、右の袖だけまくり上げた片襷かただすき。その袖口からチラリと見える袷の裏が、定石通りの花色木綿でもあることか、何んと、少し色のせた黒木綿ではありませんか。
遭難者の身にとってはたまったものではない。禿はげ頭にじ鉢巻で、血眼になって家財道具を運ぶ老爺おやじもあれば、尻もへそもあらわに着物をまくり上げ、濁流中で狂気きちがいのように立騒いでいる女も見える。
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
「さ、ちやんとおまくをなさいまし。まあ、お額にじつとり汗をおかきになつて……」
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
まくればなお盗賊どろぼうに追い銭の愚を尽し、勝てば飯盛めしもりに祝い酒のあぶくぜにを費す、此癖このくせ止めて止まらぬ春駒はるごま足掻あがき早く、坂道を飛びおりるよりすみやか
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
一息にここまでまくし立てると、あとが続かなくなつたのと、葉巻シガーけぶりが咽喉に入つたのとで、大森氏は一寸言葉を切つて、大きなくさめをした。そして苦しさうに涙を目に一杯溜めて