“はぐ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
18.1%
16.7%
9.7%
9.7%
8.3%
6.9%
5.6%
剥繰4.2%
4.2%
2.8%
2.8%
2.8%
2.8%
1.4%
𫝼1.4%
撥繰1.4%
1.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ルーテル派の敬虔な信仰と、アイゼナッハの美しい風光と、父親と兄との音楽的教養は、バッハ後年の偉大なる才能と、惇厚柔和とんこうにゅうわな風格をはぐくんでいったのである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
時鳥ほととぎすの姿を見ようなら、声のした先へ眼をやらなければ見えないのに、お通さんのは、後へ後へと行っては、行きはぐれているように思えるが……
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と山下さんは電話帳をはぐった。無論仕ようことなしの気休めだった。煙草をふかして溜息をつく丈けでは家長としての分別がなさ過ぎる。夫人は勧められるまゝに電話にかゝった。
嫁取婿取 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
高山の御用聞きに助勢を乞い、同行したが、途中ではぐれてしまい、今は一人でいる。猟師が獲物を腰にさげて通る。
中山七里 二幕五場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
心に目しるしをして家にかへりおやにもかたりてよろこばせ、次のあしたかははぐべき用意をなしてかしこにいたりしにきもは常にばいして大なりしゆゑ
芸妓はこの娘が隠し立てしたり、人をはぐらかしたりする性分ではないのを信じているらしく、それを訊くと同時に
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
取りはぐっては一生にまた出逢うことはおぼつかないなれば、源太は源太で我が意匠ぶり細工ぶりを是非のこしたいは、理屈を自分のためにつけて云えば我はまあ感応寺の出入り
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そうして今度呼ばれれば、それが最後だという畏怖いふが私の手をふるわした。私は先生の手紙をただ無意味にページだけ剥繰はぐって行った。私の眼は几帳面きちょうめんわくの中にめられた字画じかくを見た。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一所いっしょだったが……途中ではぐれて……一体どうしただろう。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その余習のまだ失せない時代にはぐくまれたわたしなどは、“かべす”などという言葉を聞くと、一種の卑しいような、みじめったいような、いやな感情を誘い出されたものであったが
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
一冊ずつ順々に取り上げて、暗いながら二三頁、はぐる様に眼を通したが何処どこも彼の注意をく様な所はなかった。最後の一冊に至っては、その名前さえ既に忘れていた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と団さんは手帳をはぐりながら言った。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
取り分け職人仲間の中でも世才にうとく心好き吾夫うちのひと、腕は源太親方さえ去年いろいろ世話して下されしおりに、立派なものじゃとめられしほど確実たしかなれど、寛濶おうよう気質きだてゆえに仕事も取りはぐりがちで
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
と得意がった団さんも今日はう甘くは問屋で卸して呉れないものだから、『雨』とある天気予報を又はぐって見ながら
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
ほかの人なら兎に角地面の上にいても失策しくじりの多い三輪さんだ。電車の中で他人ひとの読んでいる本をはぐったという放心家だから、前後を忘却してんな危いものに手を出すかも知れない。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
速く廻した日には答案を𫝼はぐりながら点をつけて行くようになります。学校当局者なんてものは学者揃いですから、世の中のことがっとも分りません。
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
或日絹子さんは僕の勉強部屋へ来て話し込んでいる中に、受験準備の書物を𫝼はぐって見ながら
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
最後に机の脇の本箱の横側にかけてあった丸善の『日めくり暦』に目をつけ、何思ったかそれを取りあげて熱心に撥繰はぐっていましたが、やがて、「あった、あった」と叫びました。
髭の謎 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
王滝川の岸に添うて二里も三里もある道を歌いながら通って来る幾組かの娘達は、いずれも連にはぐれまいとし、人に踏まれまいとして、この群集の中を互に手を引合って歩いた。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)