はぐ)” の例文
ただ、舟を去る時には、ふとまぶたが熱くなりかけた。白拍子の姉妹の母親を見て、六条の家から逃げて来る途中、はぐれてしまった自分の母の安否が
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
芸妓はこの娘が隠し立てしたり、人をはぐらかしたりする性分ではないのを信じているらしく、それを訊くと同時に
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
逃げてくる途中で千代ちゃんだけはぐれてしまったのだという。二日ほどして探しに出た兄さんが上野の山にいた千代ちゃんを見つけて連れて帰ってきた。
(新字新仮名) / 小山清(著)
「そうおい、はぐらかしちゃいけねえ。俺は真剣事しんけんこでお光さんに言ってるんだぜ」
深川女房 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
「そうですか。きょうから長いお旅路です。——また、馬の上で居睡りなど遊ばして、連れにおはぐれ遊ばさないように」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうしてはぐれて、彷徨いながら、しかし初冬の暖い日の林の中の一人歩きは何とも言えない淋しく悲しいそしてうっとりしたなつかしみを感じさせます。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「貴船神社へ、ご寄進の事がござりまして、主人の供をして参りましたが、その主人にはぐれまして」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分でおかしくなるくらいはぐれます。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)