剥繰はぐ)” の例文
「こんなものを読むのかね」と彼はさも軽蔑けいべつした口調で津田にいた。彼はぞんざいにページ剥繰はぐりながら、終りの方から逆に始めへ来た。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そうして今度呼ばれれば、それが最後だという畏怖いふが私の手をふるわした。私は先生の手紙をただ無意味にページだけ剥繰はぐって行った。私の眼は几帳面きちょうめんわくの中にめられた字画じかくを見た。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
夫の一旦いったん下へ置いたのをまた取り上げて、一枚々々鄭寧ていねい剥繰はぐって見た。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)