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剥出
此返事を
聞いて、むつと
腹が
立つた。
頭巾の
下に
歯を
剥出して、
血色の
好い
頸元に
伸し
掛ると
向は
後退もしない。また
質いて
見た。
と云いさして源次は、眼を真白く
剥出したまま、ユックリと唇を噛んで、
獣のようにみっともなく流れ出る
涎をゴックリと飲み込んだ。
さうして
西風は
後で
括つた
穢い
手拭の
端を
捲つて、
油の
切れた
埃だらけの
赤い
髮の
毛を
扱きあげるやうにして
其垢だらけの
首筋を
剥出にさせて
居る。