はぐ)” の例文
「お蝶、」とちと鋭くいうと、いつも叱るのをはぐらかす伝で、蝶吉は三指をいて的面まともつぶし島田に奴元結やっこもとゆいを懸けた洗髪あらいがみつややかなのを見せて、俯向うつむけにかしこま
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
取りはぐっては一生にまた出逢うことはおぼつかないなれば、源太は源太で我が意匠ぶり細工ぶりを是非のこしたいは、理屈を自分のためにつけて云えば我はまあ感応寺の出入り
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「いや、さうはぐらかしても其手は食はないよ。見に行くのは例の「虎」だらう。今度の趣向はもうちやんと聞いてるぜ。あれは大谷の思ひ付だつて云ふが、彼奴あいつも話せる男さね。」
(新字旧仮名) / 久米正雄(著)
取りはぐつては一生にまた出逢ふことは覚束ないなれば、源太は源太でおれが意匠ぶり細工ぶりを是非遺したいは、理屈を自分のためにつけて云へば我はまあ感応寺の出入り、汝は何のゆかりもないなり
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)