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帷幕
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いばく
ふりがな文庫
“
帷幕
(
いばく
)” の例文
とのみで、信玄は次第に無口になって、
帷幕
(
いばく
)
の人々との対談でも、伝令の報告を聞くのでも、ただ
頷
(
うなず
)
きを以てするようになっていた。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まず、壁を抜き床を透かしてまで、僕等の
帷幕
(
いばく
)
の内容を知り得る方法がなけりゃならん訳だ。ああ、実に恐ろしいことじゃないか。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
この時我輩の
帷幕
(
いばく
)
には小野君をはじめとして、ややその先輩たる
矢野文雄
(
やのふみお
)
君、その他
犬養毅
(
いぬかいつよし
)
君、
尾崎行雄
(
おざきゆきお
)
君等がおった。
東洋学人を懐う
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
劇界に身を投じては伊井
蓉峰
(
ようほう
)
の
帷幕
(
いばく
)
に参じたが、今や
梨園
(
りえん
)
の名家たる市川左團次と握手して劇壇革新の
烽火
(
のろし
)
を挙げた。
青春物語:02 青春物語
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
両氏共に高潔俊爽の得難き大人物にして
帷幕
(
いばく
)
の陰より機に臨み変に応じて順義妥当の優策を授け、また傍に、宮内、佐伯両氏の新英
惇徳
(
とんとく
)
の二人物あり
砂子屋
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
義元兵を制しようと
帷幕
(
いばく
)
を掲げた処を例の桑原甚内が見付けてかかったが近習の士の為にさえぎられて斬られた。
桶狭間合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
牢の中から助けだされた官兵衛は秀吉の
帷幕
(
いばく
)
に加はり軍議に献策してゐたが、京から来た使者は先づ官兵衛の門を叩いて本能寺の変をつげ、取次をたのんだ。
二流の人
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
秀吉の
帷幕
(
いばく
)
に参していたそうで、「中津川の
智嚢
(
ちのう
)
」と
綽名
(
あだな
)
されたのは、この人物だったということである。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
楊公が面会して兵事を談じると、彼は議論縦横、ほとんど常人の及ぶところでないので、楊公は大いにこれを奇として、わが
帷幕
(
いばく
)
のうちにとどめて置くことにした。忰は一人の家僕を連れていた。
中国怪奇小説集:15 池北偶談(清)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
山峡の疎林の
外
(
はず
)
れに兵車を並べて囲い、その中に
帷幕
(
いばく
)
を連ねた陣営である。夜になると、気温が急に下がった。士卒は乏しい木々を折取って
焚
(
た
)
いては暖をとった。十日もいるうちに月はなくなった。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
僭帝の
帷幕
(
いばく
)
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
その頃から風がつのりだして、暗黒の街中は
沙塵
(
さじん
)
がひどく舞った。曹仁、曹洪らの首脳は城に入って、
帷幕
(
いばく
)
のうちで酒など酌んでいた。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「どっちにいたしても
帷幕
(
いばく
)
の謀将」正雪いよいよ持ち上げる。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「兵卒どもが、飯を
炊
(
かし
)
ぐ間に、あやまって火を出したのだろう。
帷幕
(
いばく
)
であわてなどすると、すぐ全軍に影響する。さわぐに及ばん」
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、光秀はこれを、
帷幕
(
いばく
)
に迎えて、左右の者を
退
(
しりぞ
)
け、ほんの近側の、二、三名と住持を加えただけで、何か、密議をこらしていた。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ここは御大将の
帷幕
(
いばく
)
に間近な陣門です。いかなる御方であろうと、また急用であろうと、馬上のまま乗り入れはゆるされませぬ」
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「こんどの戦には、始終玄徳を扶けてきた従来の
帷幕
(
いばく
)
のほかに、何者か、新たに彼を助けて、
計
(
はかりごと
)
を授けていたような形跡はなかったか」
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
秀吉にとって、両の腕ともたのむ二人が帰って長らく
堅氷
(
けんぴょう
)
に閉じられていたような
帷幕
(
いばく
)
も、ここ
遽
(
にわ
)
かに、何となく
華
(
はな
)
やいで来た。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
謀議の室を閉じて、ふたりがこう議しているところへ、ちょうど
郭嘉
(
かくか
)
が入ってきた。郭嘉もまた曹操が信頼している
帷幕
(
いばく
)
のひとりである。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
宋江はふかく謝して、さて、以前のわが陣地へ帰るやいな、
云々
(
しかじか
)
であったと、むなしく戻って来たわけを、
帷幕
(
いばく
)
の面々へはなして聞かせた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そばには
帷幕
(
いばく
)
の人、
小幡民部
(
こばたみんぶ
)
、
木隠龍太郎
(
こがくれりゅうたろう
)
、
山県蔦之助
(
やまがたつたのすけ
)
、
巽小文治
(
たつみこぶんじ
)
、
加賀見忍剣
(
かがみにんけん
)
、
鞍馬
(
くらま
)
の
竹童
(
ちくどう
)
みな一ツところにならんでいた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
輝元の
帷幕
(
いばく
)
にも一時はあわただしい動きが見えたが、間もなく
厳
(
きび
)
しい守兵を立てて一切の出入を断ち、ここは反対にひっそりとしてしまった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
程なく、大物見の者が帰城して、
帷幕
(
いばく
)
へ詳細を報告した。それによって、一益の言が
過
(
あやま
)
っていないことがより明瞭になった。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼の正直な嘆息に、
帷幕
(
いばく
)
の人々も何となく意気があがらない態だった。——あまりに正直すぎる大将という者も困りものだ。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
半日にわたるその日の戦区視察で、秀吉の作戦構想はほぼ肚がきまったらしく、その夜、
帷幕
(
いばく
)
のうちへ、諸陣地の将をあつめて方針を授けた。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は遂に戦いの主動性を握って自身奮い
起
(
た
)
った。祁山総攻撃の電命は久しく閉じたる
帷幕
(
いばく
)
から物々しく発せられたのである。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すると黄祖のいうには、——甘寧はもと江上の水賊である。なんで強盗を
帷幕
(
いばく
)
に用うべき。飼いおいて猛獣の代りに使っておけば一番よろしい。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
糧米や軍需の数字を
按
(
あん
)
じ、
帷幕
(
いばく
)
の蔭に経営の苦心をするなどはさむらいの
潔
(
いさぎよ
)
しとする仕事でないようにみな嫌っていかん。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ちかごろでは、南朝朝廷の
帷幕
(
いばく
)
にあり、少年天皇の
後村上
(
ごむらかみ
)
をたすけて、全国的な戦略戦争の再構想に、着々、手を打っているという聞えがある。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それと、毛利どのの
帷幕
(
いばく
)
には、参謀を
承
(
うけたまわ
)
って、
恵瓊
(
えけい
)
という軍僧が出入りしておらるるであろう。安国寺の
恵瓊
(
えけい
)
というて」
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
伝えられるところによれば、その際、
帷幕
(
いばく
)
の重臣たちが極力それを引き止めたものだといわれている。或いはそうだろう。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鳥刺
(
とりさ
)
し姿に身をやつしておいでなさるが、このお方こそ、
秀吉公
(
ひでよしこう
)
の
帷幕
(
いばく
)
の人、
福島
(
ふくしま
)
さまのご家臣で、音にきこえた
可児才蔵
(
かにさいぞう
)
とおっしゃる勇士だ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ご遠慮は無用、先生がそう仰っしゃると、あとが困ります。——第三は、
道士
(
どうし
)
公孫勝どの、先生の
帷幕
(
いばく
)
を助くる副将として、ご着位のほどを」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
天王山、山崎などで、彼の名は、羽柴軍のうちでも断然重きをなして来たが、なおまだ
帷幕
(
いばく
)
にかくれて
計謀
(
けいぼう
)
に参ずるよりは、陣頭の勇将であった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして
帷幕
(
いばく
)
の諸将に囲まれた四輪車の上に、孔明は悠々と
羽扇
(
うせん
)
をうごかして、異境の鳥や植物の生態などを眺めていた。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
藤吉郎と、その軍師竹中半兵衛とが、
帷幕
(
いばく
)
の
裡
(
うち
)
で、こんな密談を交わしていたことがあってから、数日の後であった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
帷幕
(
いばく
)
へよびつけ、汝は一軍を引率して、
剣閣
(
けんかく
)
(
陝西
(
せんせい
)
・
甘粛
(
かんしゅく
)
の省界)の道なき山に道を作れと命じ、悲調な語気で
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
焦眉
(
しょうび
)
の急をそこに見ながら、袁紹には果断がなかった。
帷幕
(
いばく
)
の争いに対しても明快な直裁を下すことができなかった。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、頼朝は、彼の遠謀に心では将来を
惧
(
おそ
)
れたが、この舅を
帷幕
(
いばく
)
に持って、大事へ臨むとすれば、甚だ心強くもあった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
器
(
うつわ
)
を用いて、
帷幕
(
いばく
)
の一員に加え、
股肱
(
ここう
)
の
驍将
(
ぎょうしょう
)
に列しるなど、信長としては、最大な待遇を与えて来たものである。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何かにつけ、
質子
(
ちし
)
の身であり、若年だし、
帷幕
(
いばく
)
の
錚々
(
そうそう
)
たる武将たちの間では、元康の存在など、余りに小さかった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だから赤松円心ひとりでなく尊氏
帷幕
(
いばく
)
の老将たちも、それの献言はみな尊氏へしていたにちがいなく、それも諸将の心に余裕があった日のことだろう。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今日の御決戦、いずれは乱軍、
左候
(
さそうら
)
えば、それがし
御陣借
(
ごじんがり
)
な申して、必ず、駿河の
大輔
(
たゆう
)
殿が
帷幕
(
いばく
)
に迫り、
鉄漿首
(
おはぐろくび
)
を打ち取って御覧に入れ奉らんの所存。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
敗軍を収めて、約二十里の外へ退き、その夜、玄徳は関羽、張飛のふたりと共に、
帷幕
(
いばく
)
のうちで軍議をこらした。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして彼が義元の
帷幕
(
いばく
)
に参じてから、今川家の国勢は急激に
膨脹
(
ぼうちょう
)
した。覇業の
階梯
(
かいてい
)
を
徐々
(
じょじょ
)
に踏んで来たのである。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、彼の
帷幕
(
いばく
)
が狼狽を起したときは、敵か味方か、見分けもつかぬ人影が、右往左往、煙の中を馳け乱れていた。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
帷幕
(
いばく
)
の異論や、行動に迷って、
紛々
(
ふんぷん
)
たる声にとりまかれて困惑している主君の顔が——藤吉郎には、こうしている間も眼に見える気がするくらいだった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かの、
伊那丸
(
いなまる
)
の
留守
(
るす
)
をあずかる
帷幕
(
いばく
)
の人々、
民部
(
みんぶ
)
や
蔦之助
(
つたのすけ
)
や
小文治
(
こぶんじ
)
などが、
天嶮
(
てんけん
)
を
擁
(
よう
)
してたてこもるとりでの山。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それらの人々は皆、張角の
帷幕
(
いばく
)
に参じたり、
厨房
(
ちゅうぼう
)
で働いたり、彼のそば近く
侍
(
じ
)
したり、また多くの弟子の中に交じって、弟子となったことを誇ったりした。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かれの
帷幕
(
いばく
)
は、家康から実地教育をうけるたびに、いわゆる徳川譜代をもって固めた、後の
基盤
(
きばん
)
を作っていた。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“帷幕”の意味
《名詞》
幕。帷幄。
本陣。陣営。
機密に関する評議をする所。
(出典:Wiktionary)
帷
漢検1級
部首:⼱
11画
幕
常用漢字
小6
部首:⼱
13画
“帷幕”で始まる語句
帷幕者