帷幕とばり)” の例文
薬師堂の階段を上ると、中央には香の燃滓が山のように堆積している護摩壇があり、その背後が厨子形の帷幕とばりになっている。
後光殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
彼らは作曲する時、自分の楽想に弱音器をはめ、また外界の音響が伝わって来るのを、帷幕とばりによって防いでいたのだ。
帷幕とばりさへなきガラスし、ランプのつぼ
黒いびらうどの帷幕とばりのかげを
蝶を夢む (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
青の綿布めんぷ帷幕とばりの隅に
「法水君、仏様ならあの帷幕とばりの蔭だよ」といかにも無愛想に云い放って、その婦人に対する訊問も止めてしまった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
そうすると、その鏡面に——つまり、この図では金星の後方に当るのですが、それには当然、帷幕とばりの後方から進んで来る犯人の顔が映ることになりましょう。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
当時不貞のうわさが高かった妻のアンが、送り出しの接吻をしようとして腕を相手の肩にめぐらすと、やにわに主は短剣を引き抜いて、背後の帷幕とばりに突き立てたのだ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)