挿花はな)” の例文
旧字:插花
弓町の近くに住む、挿花はなの師匠だという話なので、お蝶は、ワラでもつかみたいところですから、そのまま女にいて行きました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お目に掛れば解ります。何に致せ、おおお、まあ、梅が好く咲きましたぢやございませんか。当日の挿花はなはやつぱりこの梅がよろしからうと存じます。さあ、どうぞ此方こちらへお入り下さいまし、御遠慮無しに、さあ」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
本郷妻恋ほんごうつまごい一丁目、門垣根もんがきね百日紅さるすべりがあって、挿花はなの師匠の若後家と聞けばすぐ知れますよ。エエ、それがわたしの化身けしんなの
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのうちに、お綱が時々、挿花はな外稽古そとげいこに出るような姿をして、紀州屋敷の仲間ちゅうげん部屋に、賭博なぐさみごとをしに行くという話。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お綱は、挿花はなの師匠になりすまして、さるお屋敷の聞香ぶんこうの席にまじっていたことがある。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
急に流れこむ外の光線をうけてまぶしげな微笑を含んでいる女の半身——見ると蔵前風くらまえふう丸髷まるまげくずしに被布ひふを着て、琴か茶か挿花はなの師匠でもありそうな身装みなり、姿はまるで変っているが
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「うそを申せ、わしは公卿くげじゃなし、挿花はな香道こうどうの師についたことはない」
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はい、本郷妻恋つまごいでござります。一人旅にひけをみせまいと、わざとこんな風姿なりをしておりますが、挿花はなの師匠をしておりますもの、どうぞおついでがありましたら、お訪ねなされて下さいませ」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なんの、挿花はなを生けるのも、わしは剣道で生けるのじゃ」
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)