“被布”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ひふ88.2%
おおい2.4%
かつぎ2.4%
コート1.2%
こおと1.2%
はつぴ1.2%
はツぴ1.2%
カバー1.2%
シーツ1.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
しかし中にはかれの不断の読経どきやうやら、寺に来てからの行状やらから押して、普通の僧侶——其処等にざらにあるかゝあを持ち、被布ひふを着
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
一個一個、被布おおいをかけて、軍中深く秘されて来た二十余輛の車がある。兵はやがてそれらを残らず押してきた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
分銅のように見える権守の、被布かつぎをかぶったたけ高い体の、顔の部分にある二つの穴から、浮藻を見詰めている眼の光は、燃えている黒いほのおのようであった。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彼女は腕にかけてゐた被布コートを投げ棄てて、堤に駈けあがると、水浴でも済ませたらしい裸馬を曳いて来る人を呼び止めて切りと頼んでゐた。
繰舟で往く家 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
見舞に来る人は皆其処で帽や外套や被布こおとやを脱ぐ。其人達がわたしの前に現れる時は凡て掩ひを取去つた人達である。羽織袴の立派なのを改まつて著けてゐる人は少い。大抵は常著ふだんぎの人である。
産褥の記 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
れしくるまたしかに香山家かやまけものなりとは、車夫しやふ被布はつぴぬひにもれたり、十七八とえしはうつくしさのゆゑならんが、年齡としごろむすめほかにりともかず、うはさの令孃ひめれならんれなるべし
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
直次が引かれし其夜の車も提燈かんばんの紋は澤潟なりしに、今日の車夫も被布はツぴに澤潟の縫紋ありけり、あれとこれとは同一か別物か
暗夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
船にのぼりしころは日ようやく暮れて東の空には月いで、わが影淡く甲板に落ちたり。卓あり、粗末なる椅子いす二個を備え、主と客とをまてり、玻璃はり製の水瓶びんとコップとは雪白なる被布カバーの上に置かる。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
赤茶気た室内電燈に照らされた寝台の中には最前の小柄な瘠せ枯れた白人の老爺が、被布シーツから脱け出してゴリゴリギューギューといびきを掻いている。
人間レコード (新字新仮名) / 夢野久作(著)