被布コート)” の例文
彼女は腕にかけてゐた被布コートを投げ棄てて、堤に駈けあがると、水浴でも済ませたらしい裸馬を曳いて来る人を呼び止めて切りと頼んでゐた。
繰舟で往く家 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
向岸の舟着場を見降ろす裏門の扉に、花びらの散る退紅色ときいろ被布コートを来た娘が、胸の上に袖を重ねてぐつたりと凭りかかつてゐた。——彼は小指を口にふくんで、笛を鳴らした。
繰舟で往く家 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)