はな)” の例文
「なにか、こころからむすめよろこばせるようなうつくしいものはないものか。いくらたかくてもかねをばしまない。」と、両親りょうしんは、ひとはなしました。
笑わない娘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ばんごと喧嘩けんくわをしてめてやるのだが隨分ずゐぶんおもしろいよとはなしながら、鐵網かなあみうへもちをのせて、おゝ熱々あつ/\指先ゆびさきいてかゝりぬ。
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ついてはなしがある。(さるどのの夜寒よさむひゆくうさぎかな)で、水上みなかみさんも、わたしも、場所ばしよはちがふが、兩方りやうはうとも交代夜番かうたいよばんのせこにてゐる。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其晩そのばん宗助そうすけうらからおほきな芭蕉ばせうを二まいつてて、それを座敷ざしきえんいて、其上そのうえ御米およねならんですゞみながら、小六ころくことはなした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
なになりとたずねてもらいます。研究けんきゅうめとあれば、わしほうでもそのつもりで、差支さしつかえなきかぎなにけてはなすことにしましょう。
あの『をさなきものに』とおなじやうに、今度こんどほん太郎たらう次郎じらうなどにはなかせるつもりできました。それがこの『ふるさと』です。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
子供こどもには、はなしたあとでいろ/\のことはれて、わたくしまたむことをずに、いろ/\なことこたへたが、それをこと/″\くことは出來できない。
寒山拾得縁起 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
いました。おばあさんはこれこれの目にあったとはなして、「ああもう、こりごりだ。」といますと、おじいさんはどくそうに
舌切りすずめ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
『もうないから、萬望どうぞはなして頂戴ちやうだいな』とあいちやんは謙遜けんそんして、『二くちれないわ。屹度きつとそんな井戸ゐどひとくらゐあつてよ』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
「ふふふふ、きん、なんできゅうおしのようにだまんじゃったんだ。はなしてかせねえな。どうせおめえのはらいたわけでもあるめえしよ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ダガ福禄寿ふくろくじゆには白鹿はくろくそばなければなるまい。甲「折々をり/\はなしかを呼びます。乙「成程なるほど、ダガ此度こんどはむづかしいぜ、毘沙門びしやもんは。 ...
七福神詣 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
そんなことを、あまり熱心ねつしんに、そして感傷的かんしやうてきはなつたのちは、二人ふたりとも過去くわこやまかはにそのこゝろいとられたやうに、ぽかんとしてゐた。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
あんなところにはちをかけられては、味噌部屋みそべや味噌みそをとりにゆくときにあぶなくてしようがないということをはなしました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
シューラはいてみたり、またわらしたりした。うちかえっても、また泣いたりわらったりした。ママに様子ようすはなして、うったえた。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
それを防ぐには空気を吹込んだ後鳥の喉を糸でくくらねばならんがマサカ糸で括った鳥はあるまい。君のはなしは随分訳が分らんよ
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
書画しょが骨董こっとううことが熱心ねっしんで、滝田たきたさん自身じしんはなされたことですが、なにがなくて日本橋にほんばし中通なかどおりをぶらついていたとき
夏目先生と滝田さん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
この子家鴨こあひるくるしいふゆあいだ出遭であった様々さまざま難儀なんぎをすっかりおはなししたには、それはずいぶんかなしい物語ものがたりになるでしょう。
はなし是は是非々々ぜひ/\うつたへねばならぬと急込せきこむを長兵衞先々まづ/\とて樣子をとくきゝ何樣なにさまこれは外より入たる盜人ぬすびとにては有まじ然れどもいまこれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そこへおともだちがておはなしをしてゐると、どこから這入はいつてたものか、また椽側えんがはた、わたしあわてゝ障子せうじ締切しめきつた。
ねこ (旧字旧仮名) / 北村兼子(著)
先刻さつきうつくしいひとわきせきつたが、言葉ことばつうじないことがわかつたところで、いま日本語にほんごのよくはなせるお転婆てんばさんらしいおんな入替いれかわつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
ある日、いのきちが、あの、日本海にほんかいでひろってきた石を、みせにもちだしてながめていたとき、こういってはなしかけたのが、よしむらさんだった。
ラクダイ横町 (新字新仮名) / 岡本良雄(著)
人類學會じんるゐがくくわい會員くわいゐんとして、モールスのお墨附すみつき? をつてるのはぼくだけだらうとかんがへて、これを水谷氏みづたにしはなすと、水谷氏みづたにしへんかほをして。
牛にひかれた妻も、外竈そとへっついの前に炭俵を敷いて座りながら、かき集めた落葉で麦をたき/\読書をしたりして「大分だいぶはなせる」と良人にほめられた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
たちなんかとはなしてゐると三人の位置いちひき玉にかんがへられたり、三つならんだちや碗の姿すがたおも白いおし玉の恰好かつこうに見※たりする。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
首をかしげて考へたが、おとよはう着々ちやく/\はなしを進めて染井そめゐの墓地の地代ぢだいが一つぼいくら、寺への心付こゝろづけがうのかうのと
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「そうでした。すみません。わけをハッキリとはなさなくちやいけなかつたんです。じつは、この事件じけん発見者はっけんしゃは、島本守しまもとまもるというわかいお医者いしゃさんでしたね」
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
けれども、はじめにはなしましたいちばんふる舊石器時代きゆうせつきじだいといふ時代じだいは、日本につぽんにもあつたかもれないが、今日こんにちまでその遺物いぶつすこしもつかつてをりません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
何時いつ何處どこで、如何どうしてうて、如何どう言寄いひよって、如何どん誓言せいごんをしたかは、あるきながらはなしませうほどに、承引しょういんしてくだされ、今日けふ婚禮こんれいさすることを。
是非ぜひもないことゝ自分じぶん斷念あきらめて咽喉疾いんこうしつには大敵たいてきりながら煙草たばこはじめた。老人夫婦らうじんふうふしきりとはなしてる。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
もうになつたころだ。ふか谷間たにまそこ天幕テントつた回々教フイフイけう旅行者りよかうしやが二三にん篝火かがりびかこんでがやがやはなしてゐた。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
わたしはさうもおもはないが、さきまをした黒人くろひとくらべてはなすのに便利べんりなため、まづ普通ふつうかんがへを採用さいようしておきませう。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
「この人やわ、こないだはなした露西亜ロシアの人。———これ、わたしの姉さん。———これ、次の姉さん。———」
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
学校からかえってると、エムリーヌ・カペルさんは、いいおてんをいただいたということをお母さんにおはなししました。それから、そのあとでこういいました——
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
おゝ、おかへりになりましたとも、そして今頃いまごろは、あの保姆ばあやや、番頭ばんとうのスミスさんなんかに、おまへ温順おとなしくおふねつてことはなしていらつしやるでせう。
王女は大よろこびで夜があけるとすぐに王さまのところへいって、ゆうべのことをのこらずおはなしました。
ぶくぶく長々火の目小僧 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
ヸリヤム・ブレイクの兄弟きやうだいがヸリヤムにたいしてしたやうに。きみはもう我々われわれにはようはないかもれないけれど、ぼくいつぺんきみひたいとおもつてゐる。つてはなしたい。
「三つの宝」序に代へて (旧字旧仮名) / 佐藤春夫(著)
帳場ちょうばさんにも川森からはないたはずじゃがの。ぬしがの血筋を岩田が跡に入れてもらいたいいうてな」
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
まつりれて友達ともだちのうちへとまつた一分始終いちぶしヾう祖母ばヾはなしてきかせました。すると、祖母ばヾをみはつて、そのかたはちヽ最初まへの「つれあひ」だつたとおどろかれました。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
動物園の閉門の時間が来て、係りの人に追いたてられて、私達はそこを出たが、出てからも別れてしまわず、もう暮れきった上野の森を、はなしながら、肩を並べて歩いた。
目羅博士の不思議な犯罪 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
たがひ注意ちゆういしたいこと、また、いつもは、だれものつかぬようなことを、はなしておきませう。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
山も、森も、水も、やぶも、見渡す限りは自分の家の屋敷内である——ここは、過ぐる夜、弁信法師と二人で、わが家の焼ける炎を見て、思う存分はながたきとなったところだ。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
幕府ばくふがたの勝海舟かつかいしゅうと、朝廷ちょうていがたの西郷吉之助さいごうきちのすけ隆盛たかもり)のはないによって、江戸城えどじょうはぶじにあけわたされましたが、それにはんたいの人々ひとびとがかなりあって、彰義隊しょうぎたいのり
なになんだかさつぱりわかりません。そこへおちやつてでてきたおかみさんにそのことをはなすと
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
宮中きうちう官吏くわんりたがひ佛語ふつごはなしてゐるのをてトルコの滅亡めつばうとほからずと直感ちよくかんしたのである。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
「ついては しゅうけん、おまえに おりいって はなしたいことが あるのだがね。」
一休さん (新字新仮名) / 五十公野清一(著)
昨日きのふ我々われ/\那麼あんなはなしたのですが、なににはか御立腹ごりつぷくで、絶交ぜつかうすると有仰おつしやるのです、なにれともさはることでもまをしましたか、あるひ貴方あなた意見いけんはんかんがへしたので?』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
けれども王子おうじやさしくはなしかけて、一いたうたが、ふかこころんで、かおるまでは、どうしてもやすまらなかったことをはなしたので、ラプンツェルもやっと安心あんしんしました。
鹽原君大得意の能弁のうべんを以て落語二席をはなす、そのたくみなる人のおとがへき、く当日の疲労ひろう寒気かんきとをわすれしむ、其中にもつねに山間に生活せいくわつする人夫輩に至りては、都会に出でたるのかんおこ
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
彼女かのぢよは、生命いのちの、えるまへあかるさで、めづらしくK夫人ふじんはなしかけた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
赤良顔は京都に返ると見えて窓から顔を出して彼女かのをんなはなしをしてゐる
夜汽車 (新字旧仮名) / 尾崎放哉(著)