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桜花
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さくら
ふりがな文庫
“
桜花
(
さくら
)” の例文
旧字:
櫻花
それから
溜池橋
(
ためいけばし
)
を渡るともう日が暮れて、十五夜でしょう、まん丸な月が出て、それから
山王
(
さんのう
)
のあの坂を上がるとちょうど
桜花
(
さくら
)
の盛りで
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
向島
(
むかうじま
)
の
武蔵屋
(
むさしや
)
の
奥座敷
(
おくざしき
)
が
閑静
(
しづか
)
で
宜
(
よ
)
からう、
丁度
(
ちやうど
)
桜花
(
さくら
)
も散つて
了
(
しま
)
うた四
月
(
ぐわつ
)
廿一
日
(
にち
)
ごろと決したが、
其披露文
(
そのちらし
)
の
書方
(
かきかた
)
が誠に
面白
(
おもしろ
)
い。
落語の濫觴
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
今井君の骨を抱いて、その忘れ形見達と共に、僕が
美作
(
みまさか
)
山中の故郷へ帰ったのは、
桜花
(
さくら
)
に早い大正六年四月上旬の事であった。
友人一家の死
(新字新仮名)
/
松崎天民
(著)
今朝良人の見ていた軒の
桜花
(
さくら
)
がこぼれてくる。ゆうべ、良人と聞いたであろう屋敷の裏の川波の音が、今宵もひたひたと石垣を打っている。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鐘に
桜花
(
さくら
)
の散る
弥生
(
やよい
)
、青葉若葉の
皐月
(
さつき
)
も過ぎて鰹の走る梅雨晴れ時、夏に入って夏も老い、九月も今日で十三日という声を聞いては、永いようで短いのが
蜉蝣
(
かげろう
)
の命と暑さ盛り
釘抜藤吉捕物覚書:05 お茶漬音頭
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
年々歳々春が来て、
桜花
(
さくら
)
の外に、今年は特に博覧会が人気を呼んで上野は
大
(
おおい
)
に賑わった。
青バスの女
(新字新仮名)
/
辰野九紫
(著)
能代
(
のしろ
)
の膳には、
徳利
(
とッくり
)
が
袴
(
はかま
)
をはいて、
児戯
(
ままごと
)
みたいな
香味
(
やくみ
)
の皿と、木皿に
散蓮華
(
ちりれんげ
)
が添えて置いてあッて、
猪口
(
ちょく
)
の
黄金水
(
おうごんすい
)
には、
桜花
(
さくら
)
の
弁
(
はなびら
)
が二枚散ッた画と、端に吉里と仮名で書いたのが
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
やゝ行って、倒れた楢の大木に腰うちかけ、
一休
(
ひとやすみ
)
してまた行く。高原漸く
蹙
(
せま
)
って、北の
片岨
(
かたそば
)
には雑木にまじって
山桜
(
やまざくら
)
の紅葉したのが見える。
桜花
(
さくら
)
見にはいつも此処へ来る、と関翁語る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
さしも満開を誇つた諸所の
桜花
(
さくら
)
も、
惨
(
いた
)
ましく散りつくしてしまつたろうと思われる四月なかばごろのある午後、私は勤先の雑誌社を要領よく早く切り上げて、銀座をブラブラと歩いていた。
殺人鬼
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
春も
初春
(
しょしゅん
)
でもなければ中春でもない、晩春の相である、丁度
桜花
(
さくら
)
が爛熳と咲き乱れて、
稍々
(
やや
)
散
(
ち
)
り
初
(
そ
)
めようという所だ、遠く霞んだ
中空
(
なかぞら
)
に、美しくおぼろおぼろとした春の月が照っている晩を
余が翻訳の標準
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
ミケロアンゼロの
憂鬱
(
いううつ
)
はわれを去らずけり
桜花
(
さくら
)
の
陰影
(
かげ
)
は疲れてぞ見ゆれ
桜
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
と、矢立から筆を出して、自身の扇子へ、さらさらと、一
枝
(
し
)
の
桜花
(
さくら
)
と、一首の歌を書いてくれた。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
浪子はさしはさみ居し体温器をちょっと
燈火
(
あかり
)
に透かし見て、
今宵
(
こよい
)
は常よりも上らぬ熱を手柄顔に
良人
(
おっと
)
に示しつつ、筒に収め、しばらくテーブルの
桜花
(
さくら
)
を見るともなくながめていたりしが
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
おのづから
蔭影
(
かげ
)
こそやどれ咲き
満
(
み
)
てる
桜花
(
さくら
)
の層のこのもかのもに
桜
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
しんしんと
桜花
(
さくら
)
かこめる
夜
(
よる
)
の家
突
(
とつ
)
としてぴあの鳴りいでにけり
桜
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
桜
常用漢字
小5
部首:⽊
10画
花
常用漢字
小1
部首:⾋
7画
“桜花”で始まる語句
桜花腊
桜花爛漫
桜花物語