“皐月”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
さつき90.9%
サツキ9.1%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あくる朝はいわゆる皐月さつき晴れで、江戸の空は蒼々と晴れ渡っていた。朝の六ツ半(午前七時)頃に松吉が誘いに来たので、半七は連れ立って出た。
半七捕物帳:52 妖狐伝 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
さゝやかなる築山には皐月さつきが群生してゐて早夏真紅の花を燃やし、松の根方の八重山吹はまた暮春黄色い花を朽井戸の底深くへと散込ませた。
異版 浅草灯籠 (新字旧仮名) / 正岡容(著)
(高松のお藤さん)(長江のお園さん、おみつさん)医師いしゃの娘が三人揃って、(百合さん)(婦美ふみさん)(皐月さつきさん)歯を染めたのでは
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
美佐子は縁側に坐布団を敷いて一方の手で足の小指の股を割りながら、煙草を持った方を延ばして皐月さつきの咲いている庭の面へ灰を落した。
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
今は早や凝つた形の雲とては見わけもつかず、一樣に露けくうるんだ皐月さつきの空の朧ろの果てが、言ふやうもなく可懷なつかしい。
一家 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
私は前に一度これを皐月サツキギョリュウと名づけたことがあったが、私はその花を当時小石川植物園事務所の西側にあった樹で見た。
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
其外、卯月に卯の花、五月に皐月サツキ躑躅ツヽジなどがある。
花の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
「大磯の虎が涙雨」と言つて、曾我討ち入りの夜に降る雨を言ふと伝へた雨も、唯虎御前に責任を負はせたゞけの昔語りで、さういふことを言ひ出した原因は、農村における皐月サツキの意味の深さ、説いても説きゝれぬ五月の心理を、あゝ言ふ形に説いて見たばかりである。
芸能民習 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)