“木履”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ぼくり40.3%
ぽっくり21.0%
ぽくり11.3%
きぐつ8.1%
サボ8.1%
くつ3.2%
サボオ3.2%
サボウ1.6%
かつこ1.6%
ぼっくり1.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
やがて、妻のお次が、庭石づたいに、客を誘って来る木履ぼくりの音にも、そのふたりがすぐ縁先へ近づくまで気づかなかったふうである。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
東京などの小さな女のは、カランコロンと口で木履ぽっくりの音をさせつつ、何べんでも御馳走ごちそうをじじばばのところへ持って来てくれる。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
のきづたいに丞相の府内へ忍び込みましたが、その時には俳優が舞台で用いる付け髯を顔いっぱいに付けて、二尺あまりの高い木履ぽくり穿いていました。
見卸せば、ペツポのをぢ例の木履きぐつを手に穿きて、地上にすわり居たり。この人にかく近づきたることは、この年頃絶てなかりき。
そのとき薪が一本、馬鹿にパチパチねて炉の口の方へすべりだしたのを、女房は木履サボのつま先で蹴かえしながら、もじもじして
生さぬ児 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
木履くつを片足失くなした、寒いと一人が云うと、何を? と一人が聞き直した。木履を失くなして寒いと前のものが同じ事を繰り返した。Mは何処どこにいると誰か聞いた。此所ここにいると誰か答えた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
土にみて今朝の落葉はおびただし木履サボオつつかけそこら掃きゐる
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
木履サボウはきてさびしがり行く日のさかり木槿の花が白う見えつつ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
紅緒べにを木履かつこれた。
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
この木履ぼっくりは私が十八の年、当家へお嫁入りのとき長持に入れて持って参ったもので、歯がちびたのはいつの頃からでしたか。雨の日も雪の日もこれをはきまして、早いもので、五十三年になります。