木履ぽくり)” の例文
のきづたいに丞相の府内へ忍び込みましたが、その時には俳優が舞台で用いる付け髯を顔いっぱいに付けて、二尺あまりの高い木履ぽくり穿いていました。
ときに、高い木履ぽくりをはいて、藤の花を冠にさした乞食のような老人が、場所もあろうに、宴の中へ突忽とっこつとして立ち
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其の頃「此の露で伽羅墨練らんはく牡丹」と云う句が有り「吉原のおごり始めは笠に下駄」という川柳が有りますが、仙台侯は伽羅の木履ぽくり穿いて吉原へおはこびになり
紫地に白矢絣の飛んだ振袖を着て繻珍の帯を立矢の字に結び、鈴のついた墨塗の木履ぽくりをはいてゐた。
天狗洞食客記 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
一人ひとりかみの二三ずんびたあたまして、あしには草履ざうり穿いてゐる。いま一人ひとりかはんだばうかぶつて、あしには木履ぽくり穿いてゐる。どちらもせてすぼらしい小男こをとこで、豐干ぶかんのやうな大男おほをとこではない。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
木履ぽくりを穿つ。
残されたる江戸 (新字新仮名) / 柴田流星(著)
両掌に、赤と青の糸でかゞつた鞠を持つて、鈴のついた木履ぽくりをはいてゐた。
肉桂樹 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)