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『肉桂樹』
ふりがな文庫
『
肉桂樹
(
にっけい
)
』
枳殻の生垣に、烏瓜の赤い実が鮮やかであつた。百舌鳥が栗の梢で、寒空を仰いで激しく友を招んでゐた。武兵衛さんが、曲つた腰を伸して、いつまでも、鳥の声の方を見あげてゐた。彼の口から立ちのぼる呼吸が、ふわふわとする煙であつた。——武兵衛さんのこと …
著者
牧野信一
ジャンル
文学 > 日本文学 > 小説 物語
初出
「若草 第十巻第二号」宝文館、1934(昭和9)年2月1日
文字種別
新字旧仮名
読書目安時間
約12分(500文字/分)
朗読目安時間
約19分(300文字/分)
作品に特徴的な語句
香
(
にほひ
)
武
(
ぶう
)
潜
(
くゞ
)
扉
(
と
)
木履
(
ぽくり
)
切
(
しき
)
肉桂
(
ニツキ
)
天辺
(
てつぺん
)
蔓
(
はびこ
)
溝
(
どぶ
)
枳殻
(
からたち
)
関
(
かま
)
身装
(
みなり
)
描
(
か
)
平
(
ひら
)
堤
(
どて
)
呼吸
(
いき
)