木履サボ)” の例文
そのとき薪が一本、馬鹿にパチパチねて炉の口の方へすべりだしたのを、女房は木履サボのつま先で蹴かえしながら、もじもじして
生さぬ児 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
牛のしぼりの木履サボ
第二海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
云うより早く、彼女は木履サボも穿かずに、上草履うわぞうりを突かけたままで不意に外へ飛びだすと、駆けるようにして真直に停車場のある町の方へ行った。
情状酌量 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
そこは奥行約二十メートル、高さ二メートルほどの可成り広いへやだったが、その中央まんなかに、素足に木履サボを穿いて革服を着こんだモッフが黙然と突立っていた。
その瞬間に戸口が開いて、泥まみれの木履サボを穿いて頭巾つきのマントをかぶった子供が外から帰って来たが、父親の只ならぬ見幕とその怒鳴り声にきもをつぶした。
生さぬ児 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
子供は恐る恐るマントをり戸口の片隅で木履サボをぬいで、そこにじっと突立っていた。
生さぬ児 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
った母親は、ジャンの後から腰をかがめて、散らばった落穂を拾いあつめていたが、彼女の重い木履サボを引きずっている足や、皺だらけの節くれだった手や、襤褸衣物ぼろきものを着たその胴体だけを見ると
麦畑 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)