)” の例文
「なに、長作もはじめは堅い男だったんですが、ふいと魔がして此の頃はすっかり道楽者になってしまったんです」
半七捕物帳:27 化け銀杏 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「雑巾々々。」と宙に躍って、蹴返けかえもすそねた脚は、ここにした魔の使つかいが、鴨居かもいを抜けて出るように見えた。
第二菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
有難ありがたぞんじます、良人やど平素ふだん牛肉うしなどは三人前にんまへべましたくらゐで……。女「おや、おちなさいまし、早桶はやをけなかでミチ/\おといたしますよ。妻「したのでせう。 ...
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
年も五十を越して、ふだんは物堅いように見えていた女房に、そんな恐ろしい魔がすというのも、やはり死霊の祟りではあるまいかとも恐れられた。
半七捕物帳:16 津の国屋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
さほどの鈍的とんちきでもなかったが、天罰よ。先生の目をくらまして、売婦ばいたなんぞ引摺込む罰が当って、魔がしたんだ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
南無三寶なむさんばうした。ぶく/\のし/\と海坊主うみばうず。が——あゝ、これ元來ぐわんらい懸念けねんした。みちしようにあたつたり。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「まあ、どうしてそんな魔がしたのでござりましょう」
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
御意、御意にござりまして、へい、娘とは申しません、一体崖の親仁おやじとこに魔がしましたのでござりましょう、その相伴をいたしました熱海中がかくの騒動。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
早瀬に過失あやまちをさすまいと思う己の目には、お前の影は彼奴あいつに魔がしているように見えたんだ。お前を悪魔だと思った、己はかたきだ。なかをせいたって処女きむすめじゃない。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
はなしてお聞かせなさい、実に怪談が好物だ。「余り陰気な談をしますと是非魔がすといいますから。 ...
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こいつ、学校で、勉強盛りに、親がわるいと言うのを聞かずに、夢中になって、余り凝るから魔がした。ある事だ。……枝の形、草の影でも、かし本の字に見える。
絵本の春 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
(ヤヤ、難有ありがたい、仏壇の中に美婦たぼが見えるわ、の子の天井から落ちい。)などと、膝栗毛の書抜きを遣らっしゃるで魔がすのじゃ、屋台は古いわ、造りも広大。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
フト魔がしたような、髪おどろに、骨あらわなりとあるのが、鰐口わにぐちの下に立顕たちあらわれ、ものにも事を欠いた、ことわるにもちょっと口実の見当らない、蝋燭の燃えさしを授けてもらって
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
フト口をきか何か、寝顔はというたしなみで、額から顔へ、ぺらりと真白まっしろ手巾ハンケチを懸けなすった……目鼻も口も何にも無い、のっぺらぽう……え、百物語に魔がすって聞いたが
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
すべてかかる事に手間ひま取って、とこうするのが魔がすのである。——構わずこう。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まだまだそればかりでは自分に魔がしたようじゃけれども、ここに我身で我身に言訳いいわけが出来るというのは、しきりに婦人おんな不便ふびんでならぬ、深山みやま孤家ひとつや白痴ばかとぎをして言葉も通ぜず
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さればこそ土地のものは、総六に魔がしたといった。正直の通った親仁は、やがて、ただ通りがかりの旅の客に、船を一そう頼まれたとばかり、情を解せざる故をもて、程なくひとやゆるされた。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ながれと一しよわたしそばにおいでなさいといふてくれるし、まだ/\そればかりでは自身じぶんしたやうぢやけれども、こゝに我身わがみ我身わがみ言訳いひわけ出来できるといふのは、しきり婦人をんな不便ふびんでならぬ
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ところが、そんなので無いのが、いつかし掛けているので気になる……
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
浅草寺観世音の仁王門、芝の三門など、あの真中まんなかを正面に切って通ると、怪異がある、魔がすと、言伝える。偶然だけれども、信也氏の場合は、重ねていうが、ビルジングの中心にぶつかった。
開扉一妖帖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その虚に憑入つけいる、魔はこんな時にす、とある。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
時々、魔がしたようになりますんです。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「——魔がすといいますから——」
開扉一妖帖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ひゃあ死人に魔がした。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「魔がしたようだ。」
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
(そりゃ魔がすぞ!)
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)