“豁”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ひら33.3%
あらわ25.0%
ひろ16.7%
たに8.3%
かっ8.3%
ほがら8.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
この無限の歴史が、乃ち我等人間の歴史であると思ふと、急に胸がひらいた樣な感じがする。無限無際の生命ある『人間』に、三千年位の墮落は何でもないではないか。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
蕪村の「歯あらわに筆の氷をかむ夜かな」という句は、自ら筆をかむ場合であり、身に沁み通るような寒さを現している点において、特色ある句たるを失わぬ。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
それをいろどる黄葉こうようの濃淡がまたあざやかな陰影の等差を彼の眸中ぼうちゅうに送り込んだ。しかし眼界のひろい空間に対している津田と違って、清子の方は何の見るものもなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
カリンポンに着す その翌日雨をおかしてカリンポンに着きました。その間十五マイル、この都会はダージリンの東、一つの大なるたにへだててあります。ダージリンより余程土地が低い。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
顔を合わせるやその瞬間、丸い大きな両眼をかっと開いて、黒い瞳を上険の近くへ吊りあげて、相手をにらめた。
越後の闘牛 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
闇のひくか、光りの進むか、ウィリアムの眼の及ぶ限りは、四面空蕩くうとう万里の層氷を建て連らねたる如くほがらかになる。頭を蔽う天もなく、足を乗する地もなく冷瓏れいろう虚無の真中まなかに一人立つ。
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)