ひら)” の例文
この無限の歴史が、乃ち我等人間の歴史であると思ふと、急に胸がひらいた樣な感じがする。無限無際の生命ある『人間』に、三千年位の墮落は何でもないではないか。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
山のおじが雲からのぞく。眼界濶然かつぜんとして目黒にひらけ、大崎に伸び、伊皿子いさらごかけて一渡り麻布あざぶを望む。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
而して再びその暗がひらけた時、汽車は既に故郷の殘影である燈火の群から遠くはしつてゐた。
受験生の手記 (旧字旧仮名) / 久米正雄(著)
この無限の歴史が、乃ち我等人間の歴史であると思ふと、急に胸がひらいた様な感じがする。無限無際の生命ある『人間』に、三千年位の堕落は何でもないではないか。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)