“ひろ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヒロ
語句割合
17.7%
17.3%
14.3%
10.9%
7.3%
6.2%
4.7%
3.6%
2.6%
2.4%
2.4%
2.2%
2.0%
1.6%
徒歩1.0%
0.6%
0.6%
0.4%
0.3%
歩行0.3%
広大0.2%
披露0.2%
0.2%
0.2%
展伸0.1%
展開0.1%
0.1%
広濶0.1%
0.1%
拡大0.1%
0.1%
比呂0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
若い人は、いせいよく声をかけながら、新しい麻裏あさうらぞうりで要吉のまいた水の上を、ひょいひょいとひろあるきにとんでいきました。
水菓子屋の要吉 (新字新仮名) / 木内高音(著)
それは越後の風習で宅の母なども毎年修繕してつかいました。亀の子ざるをふせて幾重ともなく真綿をひろげ、新しいのを上に被せます。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
「日本よりあたまなかの方がひろいでせう」と云つた。「とらはれちや駄目だ。いくら日本の為めを思つたつて贔負ひいきの引き倒しになる許りだ」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そこの大きな骨董屋こっとうやへはいってまず直入を出したが、奥から出てきた若主人らしい男はちょっとひろげて見たばかしで巻いてしまった。
贋物 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
裾野すそのけむりながなびき、小松原こまつばらもやひろながれて、夕暮ゆふぐれまくさら富士山ふじさんひらとき白妙しろたへあふぐなる前髮まへがみきよ夫人ふじんあり。ひぢかるまどる。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
黒い肌を生漆のように艶々しくみがきあげた毛並みの下に、一ひろもあろうと思える肉が細やかに動いている。七、八歳の男盛りの闘牛だ。
越後の闘牛 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
「こっちへおよんなさい。寒いから。」と母親のお豊は長火鉢の鉄瓶てつびんおろして茶を入れながら、「いつおひろめしたんだえ。」
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その場で斬られるのが落ちで、怨嗟と恐怖が、下町一パイに、夕立雲のやうにひろがつて行くのを、どうすることも出來ない有樣でした。
またいう、コンモードは水陸ともに棲む、たけ十五フィート周十八インチ、頭ひらたひろく、尾細長くてとがる、褐色で脊と脇に栗色を点す。
先づ身におぼゆるは日の暖さ、手に觸るゝは神社の圓柱まろばしらの大いなる、霸王樹サボテンの葉のひろき、耳に聞くはさま/″\の人の馨音こわねなどなり。
「何分、わたくしは、御当地に始めての旅の者、殊更ことさら、取り急ぎます日暮れ時、何事もお心ひろうお許し下されますよう——」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
氏は実に世にも得難き碩学せきがくの士でひろく百科の学に精通し、それがまた通り一遍の知識でなくことごとく皆深邃しんすいの域に達していられた。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
「さ、これをあげましょう」と下締したじめを解く。それを結んで小暗い風呂場から出てくると、藤さんが赤い裏の羽織をひろげて後へ廻る。
千鳥 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
裏梅うらうめの模様を付けた物がずいぶん流行したが、この六三がけのように、一つの狂言に因んだ物がこれほどひろくは行なわれなかったようである。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
もとも、稀れに侍女おんなどもを連れて、ちとそこらを徒歩ひろうてみたがよい。……秋草のさかり、昼の月にすだく虫の音、安倍川あべがわは今がよい季節
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しづかに夜は明けて来た。私は車窓の明るくなつて来るのを感じた。ひろい野に銀のやうな霧が茫とかゝつて、山も丘もぼんやりとぼかしのやうに空に彫られてあるのを私は感じた。
アカシヤの花 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
懐中ふところも冷めてえが浮世も冷めてえ」もう一度呟やいたがコツコツと行く。突っ張る杖も覚束ない。胸をらせて首を縮め、さもあぶなっかしいひろい方である。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
はじめは何処どこのお子さんといたりして、姉妹で私の肩上げをつまんだりたもとの振りを揃えて見たりしていたが、段々に馴染なじんで先方むこうでも大っぴらに表の障子を明けひろげて
どこか、今までの彼のすがたに、無碍むげの円通が加わってきた、自由さ、明るさ、ひろさである、一日ごとが、生きがいであった。生きているよろこびであった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そうじゃろが、この婆もちと、きょうは歩行ひろい飽いた。したが、さすがに住吉のやしろ、見事な結構ではある。……ホホ、これが若宮八幡の秘木とかいう橘の樹かいの」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鋲打ちの門や土塀などに囲まれた、それは広大ひろい屋敷であったが、いかにも古く、住人も少ないかして、森閑としていた。頼母は、古びたつい立ての置いてある玄関から、奥へ通された。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
別人のような達者なからだになって山を下りられる——と旅の者の口が披露ひろめて、おのずから諸国へ散ったのであろう。この、幕運ようやく衰えかけて、天下なにとはなしに騒然たる時節である。
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
交通機関の拡がるのは、風の弱い日の火事の拡がるように全面的ではなくて、不規則な線に沿うて章魚たこの足のごとく菌糸のごとくひろがり、又てづるもづるの触手のごとく延びるのである。
猫の穴掘り (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
欣然きんぜんとして 煩襟はんきんひろうす。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
大塔宮様の家臣として、行動をいつにし千辛万苦をした、戦友の過去の出来事が、一瞬間眼前に展開ひろがって見えた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ホイットマンが驚くべきひろさと深さとで歌ったあの‘Open Road’である。路地ではない。あの都に入る誰でもが踏むべき大通りである。かつて民藝はかかる公道を歩いたではないか。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
殊に其日の空気はすこし黄に濁つて、十一月上旬の光に交つて、斯の広濶ひろ谿谷たにあひを盛んにけぶるやうに見せた。長い間、二人は眺め入つた。眺め入り乍ら、互に山のことを語り合つた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
その時も私の方から、御褒め申せば、もう何よりの御機嫌で、羽翅はがいひろげるように肩を高くなすって、御喜悦およろこびは鼻の先にも下唇にも明白ありあり見透みえすきましたのです。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それにしても、蜘蛛の網が、何んとその領分を拡大ひろめたことであろう! 紙帳の天井にさえ張り渡されてあるではないか。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ここにさぐりここにあがなひ、これを求めて之を得たり、すこしくえらむに稗官小説はいくわんせうせつを以てし、実をひろひ、疑ひき、皇統を正閏せいじゆんし、人臣を是非し、あつめて一家のげんを成せり。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また息長眞手おきながまての王が女、比呂ひろ比賣の命に娶ひて、生みませる御子、忍坂おさか日子人ひこひと太子みこのみこと、またの名は麻呂古の王、次に坂のぼりの王、次に宇遲うぢの王三柱。
私たちのゆくては限りなくひろ
大大阪のれいめい (新字新仮名) / 安西冬衛(著)
奥さんはひろ子さんと申します。やはり同じ土地のひとで、全然の媒酌です。家じゅうの人が皆実にいい人たちだもんだからお嫁さんも安心しているのよ、今のところは。
其時、人々の背後うしろに腰掛け、手帳を繰りひろげ、丑松や文平の肖顔にがほを写生し始めたのは準教員であつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
風はこころみに吹き、星は新に輝ける一大荒原の、何等の旨意も、秩序も、趣味も無くて、唯濫ただみだりひろよこたはれるに過ぎざるかな
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)