“濶”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ひろ68.3%
かっ7.3%
かッ4.9%
ひら4.9%
くわつ2.4%
かつ2.4%
はば2.4%
ひろが2.4%
ひろく2.4%
へだた2.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
わしはあのかんが好きでなア、斯漢愚漢このかんぐかんと書いてありさうなひろい額を見ながら、默つて煙草を吸うてゐるだけで、氣持が好かつたわい。
ごりがん (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
胸を見ると、背中まで抜けそうなまなこかっと、鬼の面が馬場をにらんで、ここにも一人神がたたずむ、三造は身自から魔界を辿たどおもいがある。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
時々光を、幅広くほとばしらして、かッと明るくなると、燭台しょくだい引掛ひっかけた羽織の袂が、すっと映る。そのかわり、じっと沈んで暗くなると、紺の縦縞が消々きえぎえになる。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その代り轉軫の部分から胴の部分に入つて、堅田の鼻を一と𢌞りして遙に北に眼を放つと、水面忽ちひらけ雲煙蒼茫として際涯を知らない。
湖光島影:琵琶湖めぐり (旧字旧仮名) / 近松秋江(著)
欺き五十兩の金をばかたり取たくみと云を打聞うちきゝ長庵は兩眼をくわつとむき出し目眦まなじり逆立さかだて形相かたちを改め這は聞にくき今の一言此長庵をかたりなどとは何事ぞや我等は仁術じんじゆつ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それなら何故俺の始末をしなかったろう? 此処は明放あけばなしのかつとした処、見えぬことはない筈。それに此処でこうして転がっているのは俺ばかりでもあるまい。敵の射撃はの通り猛烈だったからな。
茶の後、直ぐ川を渡って針葉樹林の生態せいたいを見に行く。はばけん程の急流に、ならの大木が倒れて自然に橋をなして居る。幹を踏み、こずえを踏み、終に枝を踏む軽業かるわざ、幸に関翁も妻も事なく渡った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
この乱流の間によこたはりて高さ二丈に余り、そのいただきたひらかひろがりて、ゆたかに百人を立たしむべき大磐石だいばんじやく、風雨に歳経としふはだへ死灰しかいの色を成して、うろこも添はず、毛も生ひざれど、かたち可恐おそろしげにうづくまりて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
沈淪ほろびに至る路はひろく、その門はおおいなり。これよりるもの多し」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
猿楽の狂言および俗間の茶番狂言なるもの体裁ていさいさらにし。今一歩を進め、猥雑わいざつに流れず時情にへだたらず、滑稽の中に諷刺をぐうし、時弊を譏諫きかんすることなどあらば、世の益となることまた少なからず。
国楽を振興すべきの説 (新字新仮名) / 神田孝平(著)