“かっ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
43.1%
17.5%
10.0%
6.3%
3.1%
3.1%
2.5%
1.9%
1.9%
1.9%
1.3%
1.3%
1.3%
0.6%
嚇怒0.6%
嚇然0.6%
0.6%
0.6%
0.6%
0.6%
0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ただかっとして、初手のは分らなかった。瞳を凝らして、そのすっと通った鼻筋と、睫毛まつげが黒く下向にそこにたたずんだのを見出みいだした時
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
僕の顔は何かわからぬものをかっと内側に叩きつけている顔になっている。人間の眼はどぎつく空間をなぐりつける眼になっている。
鎮魂歌 (新字新仮名) / 原民喜(著)
「ない。……なかった。……それを聞かせてくれる人にわしはかっしている。まだ見ぬ孔明に自分が求めてやまないのも、その声だ。その真理だ」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
手に薬屋からかって来た、キナエンの薬袋を持ってうちへ入った。——風が少し出て来た。間もなく、お島の家の低い窓から真青なけむりが上り始めた。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
「わッ」と、それを見た室内の者は驚きの声を筒抜かせたが、かっき立ち怒ったのは花婿武者所鬼王丸であった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
だから先方でおとなしい挨拶をしても黙って板の間へ上がりはせん。今度は「何だ馬鹿野郎、人のおけへ汚ない水をぴちゃぴちゃねかす奴があるか」とかっし去った。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
夢の中の景色けしきは、映画と同じに、全く色彩を伴わぬものであるのに、あのおりの汽車の中の景色けは、それもあの毒々しい押絵の画面が中心になって、紫と臙脂えんじかった色彩で
押絵と旅する男 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
谷へ出た松の枝に、まるで、一軒家の背戸のその二人をにらむよう、かっまなこみひらいて、紫の緒で、真面まむき引掛ひっかかっていたのです。……
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と、言いながら、かっ! 叩くようにつかを握ったかと思うと、有村の手に、こうとした剣が抜き払われた。と——。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふしくれだった腕をかっ! と打ったまではいいが、深夜の冷気が膚にしみたらしく、その拍子にハアクシャン! と一つ大きなくしゃみをすると、自分ながらいまの稚心ちしんがおかしかったとみえ
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
かっ色の厚い皮膚の下の赤い血などをもってして、いかにもドイツ離れがしていて、いかにもドイツの女らしくは見えないようにできていたけれど——しかし彼女らは皆
エヽ馬鹿ばかなとかっと見ひらき天井をにらむ眼に、このたびは花漬なけれど、やみはあやなしあやにくに梅の花のかおりは箱をれてする/\とまくらに通えば、何となくときめく心を種としてさきさきたり、桃のこび桜の色
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
先々まず/\是で厄介を払たと思た所ろ女房の外にだ一つ厄介者が有たのですよ、夫を何だと思います、彼れのかって居る黒い犬です、犬の畜生女房より猶だ手に合ぬ奴で
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
長さが一尺ばかりだから男でもチョン髷にいって居る髪の毛は是だけのたけは有るが今時の事だから男は縮毛ならかって仕舞うからないのは幾等いくらか髪の毛自慢の心が有る奴だ男で縮れっ毛のチョン髷と云うのは無い(大)爾々そう/\縮れッ毛は殊に散髪にもって来いだから縮れッ毛なら必ず剪て仕舞う本統に君の目は凄いネ(谷)爾すれば是は
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
目付なり、仕草なり、その他どんな微かな仕方ででも、自分の意に逆らったことをされると、嚇怒かっとなるのです。
誰? (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
老嬢は嚇然かっとなって、いきなりプセットの首っ玉をつかんで床へ叩きつけた。
老嬢と猫 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
「私は今までにないほどの男にかける呪を作ろうと思ってるんですもの、わら人形に針をうつ様なやにっこいんじゃあないのを……呪——好い響をもった言葉でいいかっこうの字だ事」
お女郎蜘蛛 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
四、五人の労働者風の客が、黙りこくって、めいめいに小さな厚い皿のものを貪るようにかっ込んでいた。
幻想 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
死と向い合って坐する幾日を、ラ氏はこの苦しい施療室で過し、かって住みなれた三等室に憧憬の心を寄せ通した。
ラ氏の笛 (新字新仮名) / 松永延造(著)
節くれだった小指に、鍍金めっきの物々しい金指環をはめて居たり、かっぱの様にした頭に油を一杯つけて、紫の絹のハンカチでいやらしく喉を巻いたりして居る様子は、ついしかめっ面をするほどいやだ。
農村 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
顔を合わせるやその瞬間、丸い大きな両眼をかっと開いて、黒い瞳を上険の近くへ吊りあげて、相手をにらめた。
越後の闘牛 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)