誰?だれ?
その日、私はかなり遅くまで仕事をやった。そしてやっと書物机から眼をあけたときは、もう黄昏の仄暗さが書斎に迫ってきていた。私はそのままで数分間、じっとしていた。非常に根気をつめた仕事の後なので、頭がぼうっと疲れて、ただ機械的に四辺を見廻した。 …