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闊
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ひろ
ふりがな文庫
“
闊
(
ひろ
)” の例文
重い、石垣の面と色、芝生、鬱蒼と緑濃い老松などが、
闊
(
ひろ
)
やかに曲折した水と照り映えて、如何にも日本的な美しさに充ちて見えた。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
先づ身におぼゆるは日の暖さ、手に觸るゝは神社の
圓柱
(
まろばしら
)
の大いなる、
霸王樹
(
サボテン
)
の葉の
闊
(
ひろ
)
き、耳に聞くはさま/″\の人の
馨音
(
こわね
)
などなり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
そこで船頭と相談して舟をやろうとしていると、やがて巨きな
喙
(
くちばし
)
が水の面に出て来た。それは深い
闊
(
ひろ
)
い井戸のようなものであった。
汪士秀
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
そのうちに時間が経つと体の重みで刃の孔がだんだん
闊
(
ひろ
)
くなって、たちまち脱け落ちて、手足は尺取虫のように屈んでしまった。
続黄梁
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
是故に彼に路を示さんため我は
曳
(
ひ
)
かれて地獄の
闊
(
ひろ
)
き喉を出づ、またわが
教
(
をし
)
への彼を導くをうる間は我彼に路を示さむ 三一—三三
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
▼ もっと見る
「その高きことは天の如し、汝なにを
為
(
な
)
し得んや、その深きことは
陰府
(
よみ
)
の如し、汝なにを知り得んや、その量は地よりも長く海よりも
闊
(
ひろ
)
し」
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
草間を押し分けて河原に下ると、
大虎杖
(
おおいたどり
)
の叢が一斉に
闊
(
ひろ
)
い葉を拡げて、強烈な日光を浴びながら懶そうに首垂れている。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
マダ自分へ課せられた使命ははたされていないから、これから足腰の達者な間はこの
闊
(
ひろ
)
い天然の研究場で
馳駆
(
ちく
)
し、出来るだけ学問へ貢献するのダ。
牧野富太郎自叙伝:01 第一部 牧野富太郎自叙伝
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
初めの二十里ほどは路が低く狭く、ぬかるみのような所が多かったが、それからさきは次第に
闊
(
ひろ
)
く平らかな路になって、さらに山路にさしかかった。
中国怪奇小説集:08 録異記(五代)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
肩幅の
闊
(
ひろ
)
い輪廓を見せる、嘉門次は穂高の方を
頤
(
あご
)
でしゃくって「あれ行くずらえ」と教えた、穂高山の三角測量標をここから見ると、一本の棒が立っているだけだ
槍ヶ岳第三回登山
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
こういうように三方は山で
塞
(
ふさ
)
がっているが、ただ一方川下の方へと行けば、だんだんに
山合
(
やまあい
)
が
闊
(
ひろ
)
くなって、川が
太
(
ふと
)
って、村々が
賑
(
にぎ
)
やかになって、ついに甲州街道へ出て
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
山上の視野が
闊
(
ひろ
)
いのに対して、人間の余りに孤小なことさえ感ぜられて寂しくなる。山には早く秋が来るので、八月の末頃まで山にいると、夜など泣きたいような心もちを覚える。
高きへ憧れる心
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
その
平生
(
へいぜい
)
に
怠無
(
おこたりな
)
かりし天は、又今日に何の
変易
(
へんえき
)
もあらず、
悠々
(
ゆうゆう
)
として
蒼
(
あを
)
く、昭々として
闊
(
ひろ
)
く、
浩々
(
こうこう
)
として静に、しかも確然としてその
覆
(
おほ
)
ふべきを覆ひ、
終日
(
ひねもす
)
北の風を
下
(
おろ
)
し、
夕付
(
ゆふづ
)
く日の影を
耀
(
かがやか
)
して
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
列車はトンネルを出きって、再び
闊
(
ひろ
)
い空の下を走っていたのである。
ペルゴレーズ街の殺人事件
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
三合目に達して見ると、われ等が馬を乗り捨てた二合半は脚下に見下ろされて、際限もなく広々とした富士の裾は一望の裡にあった。四合目、五合目と進むに従って其眼界はいよいよ
闊
(
ひろ
)
くなって来た。
富士登山
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
大御代と刷りいづる
紙幣
(
さつ
)
や我は見て
大臣
(
おとど
)
のごとく
闊
(
ひろ
)
く歩みき
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
籠り勝ちな家庭の女性の気宇を
闊
(
ひろ
)
くしよう。
女性と庭
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
車は
月桂
(
ラウレオ
)
の
街樾
(
なみき
)
を過ぎて客舍の門に
抵
(
いた
)
りぬ。
薦巾
(
セルヰエツト
)
を
肘
(
ひぢ
)
にしたる
房奴
(
カメリエリ
)
は客を迎へて、盆栽
花卉
(
くわき
)
もて飾れる
闊
(
ひろ
)
き
階
(
きざはし
)
の
下
(
もと
)
に立てり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
雷光と雨に洗われた後の清い
闊
(
ひろ
)
やかな北国の空、遠く魅力ある連峰、左手に展望される丘陵の上の可愛い森、活々した美が伸子をも見惚れさせた。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
それは常磐木で四時青々として居りかつ葉が
闊
(
ひろ
)
く滑沢で艶があるからその繁った葉ばかりの木を眺めても立派であり
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
枝路のことなれば
闊
(
ひろ
)
からず平かならず、
誰
(
た
)
が造りしともなく
自然
(
おのず
)
と里人が踏みならせしものなるべく、草に埋もれ木の根に荒れて明らかならず、迷わんとすること
数次
(
しばしば
)
なり。
知々夫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
金華山
(
きんかざん
)
は登り二十余町、さのみ
嶮峻
(
けんしゅん
)
な山ではない、むしろ美しい青い山である。しかも茫々たる大海のうちに
屹立
(
きつりつ
)
しているので、その眼界はすこぶる
闊
(
ひろ
)
い、眺望雄大と云ってよい。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
弟はそこでそれに
応
(
こた
)
えようとしたところで、成が
闊
(
ひろ
)
い袖をあげたが、そのまま二人の姿は見えなくなった。弟は
悵然
(
ちょうぜん
)
としてそこに立ちつくしていたが、しかたなしに泣きながら家へ返った。
成仙
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
山上から俯瞰した大地の
闊
(
ひろ
)
い景色も心を爽快にする。人間が高きに憧れる心を幾分でも満足させることの出来るのは、唯だ高い山に登る以外に方法がない。それだけ登山は楽しいものである。
高きへ憧れる心
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
幅が
闊
(
ひろ
)
く、辷りもするので、人の鳶口に
扶
(
たす
)
けられて上った、雪のおもては旋風にでも
穿
(
ほ
)
り返された跡らしく、亀甲形の斑紋が、おのずと出来ている、その下には雪解の蒼白い水が、澄みわたって
槍ヶ岳第三回登山
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
船頭らしき、肩幅
闊
(
ひろ
)
く逞しげなる男に、基督の像を刻み附けたる十字架を捧げさせて説教せり。
此方
(
こなた
)
には聽衆いと少し。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
開け放した縁側から、遠くの山々や、山々の上の空の雲が輝いているのまで
一眸
(
ひとめ
)
に眺められた。静かな、
闊
(
ひろ
)
やかな、充実した自然がかっちり日本的な木枠に
嵌
(
は
)
められて由子の前にある。
毛の指環
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
氏郷の
肚
(
はら
)
は
闊
(
ひろ
)
いばかりでなく、奥深いところがあった。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
それが高く
闊
(
ひろ
)
い碧空に大きく輝いているのである。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
葉は
闊
(
ひろ
)
くして尖り対生する。
植物一日一題
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
種々の樹、面白い熱帯植物の葉の形、
闊
(
ひろ
)
いの、細いの、這い廻るのなど、アンリー・ルソーの虎の絵はいかにもよく熱帯の葉の変化の美を感じて居る。ここにも相当のなりのものばかり。
日記:15 一九二九年(昭和四年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
さすがの彼も、一息新鮮で
闊
(
ひろ
)
い空気が欲しい生活をして来たのであった。
帆
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
闊
漢検1級
部首:⾨
17画
“闊”を含む語句
迂闊
闊達
久闊
闊歩
快闊
闊葉
闊眼
海闊
寛闊
広闊
闊葉樹
迂闊千万
天空海闊
闊達無碍
闊々
闊大
闊歩横行
麁闊
高邁闊達
久闊振
...