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尋
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ひろ
ふりがな文庫
“
尋
(
ひろ
)” の例文
「ウーム。うまい! たしかに、バイだ。これは海底の味覚だぞ。しかも相当の深処に育った味覚だな。まず、そうさ。三十
尋
(
ひろ
)
の味かな」
決戦川中島 上杉謙信の巻:――越後守安吾将軍の奮戦記――
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
黒い肌を生漆のように艶々しくみがきあげた毛並みの下に、一
尋
(
ひろ
)
もあろうと思える肉が細やかに動いている。七、八歳の男盛りの闘牛だ。
越後の闘牛
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
「あの辺は蘆ノ湖でも一番深い個所で、盛夏の候でも五十
尋
(
ひろ
)
からありますが、貴君はそれを御承知の上で、そこへ捨てなさッたのですか」
湖畔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
その裂けめは、深さがいく
尋
(
ひろ
)
もあって、広さも一
尋
(
ひろ
)
ぐらいはあるということです。「その穴に落っこちたら、それこそおしまいですよ。」
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
忽然
(
こつぜん
)
として現われ出でたのは、身のたけ数十
尋
(
ひろ
)
(一尋は六尺)もあろうかと思われる怪物で、手に一つの
瓢
(
ふくべ
)
をたずさえて庭先に突っ立った。
中国怪奇小説集:06 宣室志(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
一度はかれこれ、五十
尋
(
ひろ
)
近くも下ったことがあったが、その時は、駆逐艦に援護された、日本の商船隊を認めたときであった。
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
大波の時には、二三十
尋
(
ひろ
)
の底でもひどく揺れるが、少しの波ならば、潜航艇にでも乗って、それくらい沈めば、もう動揺は感じなくなります。
夏の小半日
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そのあたりは浪打ち際から一丁位沖まで、平らな岩礁があって、深さは大体二
尋
(
ひろ
)
から三尋位であった。所々には背の立つような浅い所もあった。
真夏の日本海
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
百二十
尋
(
ひろ
)
(二百十九メートル)の深さまではかれる
測深線
(
そくしんせん
)
が、海のそこへとどかない。つまり、海はたいへん深くて、百二十尋以上もあるのだ。
無人島に生きる十六人
(新字新仮名)
/
須川邦彦
(著)
十五
尋
(
ひろ
)
の深さで数回引っぱったが、我々の雇った二人の船頭は、曳網を引きずり廻す丈に強く艪を押さなかった。これは困難なことではあった。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
同時に満載していた人間がドブンドブンと海へ落ちてしまったのだ。海の深さはそこいらで十五六
尋
(
ひろ
)
も在ったろうか……。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
日向
(
ひゅうが
)
の飯野郷というところでは、高さ五
尋
(
ひろ
)
ほどの岩が野原の真中にあって、それを
立石
(
たていし
)
権現と名づけて拝んでおりました。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
本澪は第五第二の砲台の間を南へ通ずるなるが、その深さ大抵二
尋
(
ひろ
)
以上、上総澪はその深さにおいて及ばざること遠し。
水の東京
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
洲崎沖で中層プランクトン・ネットを下ろして、五十
尋
(
ひろ
)
の所を二十分ばかり曵いて見たが、曵き上げた網の中には一つの生物も見い出されなかった。
地震なまず
(新字新仮名)
/
武者金吉
(著)
その中で文出部落を流れる本流がやまべ釣の川であつて、四五
尋
(
ひろ
)
の深さがあるので、釣り上げる迄のたのしみも深い。
釣十二ヶ月
(新字旧仮名)
/
正木不如丘
(著)
今は其れ程の水勢は無いが、水を見つめて居ると
流石
(
さすが
)
に
凄
(
すご
)
い。橋下の水深は、
平常
(
ふだん
)
二十余
尋
(
ひろ
)
。以前は二間もある海の
鯊
(
さめ
)
がこゝまで上って来たと云う。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
それは森の中の巨大な樹木のように、数
尋
(
ひろ
)
の茎を私の方へ差上げていて、その頂きの上を魚が泳いで行った。空中高く一群の野生の白鳥が渡っていた。
聖アンデルセン
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
井戸は車にて綱の長さ十二
尋
(
ひろ
)
、勝手は北向きにて
師走
(
しはす
)
の空のから風ひゆう/\と吹ぬきの寒さ、おゝ堪えがたと
竈
(
かまど
)
の前に火なぶりの一分は一時にのびて
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
若布
(
わかめ
)
のその幅六丈、長さ十五
尋
(
ひろ
)
のもの、百枚
一巻
(
ひとまき
)
九千連。
鮟鱇
(
あんこう
)
五十袋。
虎河豚
(
とらふぐ
)
一頭。大の
鮹
(
たこ
)
一番
(
ひとつがい
)
。さて、別にまた、月の
灘
(
なだ
)
の桃色の枝珊瑚一株、丈八尺。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
百
尋
(
ひろ
)
ほど沈むと、次第に速度が緩んで、まるで思案でもするように
拍子
(
ひょうし
)
を取って揺れる。そしてもう潮に押されて、下よりは横の方へぐんぐん流される。
グーセフ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
二十
尋
(
ひろ
)
三十尋の鯨をたばにして呑み込んで、その有様は、鯨が
鰯
(
いわし
)
を呑むみたいだってんだから
凄
(
すご
)
いじゃねえか。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
一八〇六年のパリーの下水道は、一六六三年五月に調べられたのとほとんど同じで、五千三百二十八
尋
(
ひろ
)
だった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
スコットランドのファイン湖——それを彼は「深さ六、七十
尋
(
ひろ
)
〔一尋は六フィート〕、幅四マイルの塩水の湾」
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
「あそこはたしか三十三
尋
(
ひろ
)
はありましたね。今までなら、身寄りの者はなし、喜んで潜ったんですが、どうも女房を貰うと三十三尋ときくと、ちょっと……。」
わが町
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
幅員数十海里か数百海里にわたり、深さ地軸に達せんばかり、数千
尋
(
ひろ
)
に及ぶ世界最大最深の大渦巻が!
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
その日も、薄暗いボックスのクッションに、京子と向い合っては見たが、
間
(
あいだ
)
の小さい
卓子
(
テーブル
)
一つが百
尋
(
ひろ
)
もある溝のように思われ、京子は冷たい機械としか感じなかった。
鉄路
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
さて『古事記』にこれより先かの尊豊玉姫の父
海神
(
わたつみ
)
のもとより帰国の時一
尋
(
ひろ
)
の和邇に乗りて安著し
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
其処の岩鼻は直下数百
尋
(
ひろ
)
の渓谷を瞰下する断崖の頂きで岩は一面に微細な青苔に蔽われている。彼は青苔に草鞋をしっかと着け、軽々しく小便を洩らすことなどがある。
茸をたずねる
(新字新仮名)
/
飯田蛇笏
(著)
高さは僅か三十三
尋
(
ひろ
)
とちっとばかり、下はたんとも深くねえが、やっぱり三十と三尋、甲州
名代
(
なだい
)
の猿橋の真中にブラ下って
桂川
(
かつらがわ
)
見物をさせてもらうなんぞは野郎も
冥利
(
みょうり
)
だ。
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
殊
(
こと
)
にハナウマイの
涯
(
はて
)
しない白砂のなだらかさ、緑葉
伸
(
の
)
び張ったパルムの
梢
(
こずえ
)
の
鮮
(
あざ
)
やかさ、赤や青の海草が
繚乱
(
りょうらん
)
と潮に
揺
(
ゆ
)
れてみえる
岩礁
(
がんしょう
)
の、幾十
尋
(
ひろ
)
と
透
(
す
)
いてみえる海の
碧
(
あお
)
さは
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
日本の多毛蟲のキイトプテラスは干潮線に近い、或は海水七八
尋
(
ひろ
)
の砂泥の中に、U字形の管を作つて入つてゐる。この動物は頗る軟體だから、その管の外には决して出ない。
光る生物
(旧字旧仮名)
/
神田左京
(著)
二子
(
ふたこ
)
の柄も
縞
(
しま
)
もわからぬ腰卷の上に、ヨレヨレの
印半纒
(
しるしばんてん
)
を引つかけて、猫の百
尋
(
ひろ
)
のやうな三尺帶、髮は
埃
(
ほこり
)
だらけで、蒼黒く痩せた顏は、この世の者とも思へぬ凄まじさです。
銭形平次捕物控:315 毒矢
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
五
尋
(
ひろ
)
くらいで足りたものが、今では六尋も要るので、千幾百年も経ってこんな大きさになっていながら、まだ成長をやめないのかと、唯もう驚かれるばかりだということだ。
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
尋
(
ひろ
)
ばかり隔たれる
後
(
うしろ
)
の方に
居
(
ゐ
)
給ひし安達夫人の何事かと歩み寄り給ひしこそ恥しく
候
(
さふら
)
ひしか。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
一
尋
(
ひろ
)
もあるかと思われる黒い
壌土
(
じょうど
)
の層が、水気をふくんだうるみ顔をこちらに向けている。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
ロフォーデンとモスケーとのあいだにおいては、水深三十五
尋
(
ひろ
)
ないし四十尋なり。
メールストロムの旋渦
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
一寸
(
いっすん
)
のびれば
尋
(
ひろ
)
ッてえこともあるんだ、
左様
(
そう
)
くよ/\
心配
(
しんぺえ
)
して身体でも悪くしちゃア詰らねえからなア、まさか間違ったら其の時にまた
何
(
なん
)
とでも仕ようがあらアな、え、何うするって
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
われ怒りて、五百
尋
(
ひろ
)
のところより矢を射らば、五百人の人を倒し、九百尋のところより矢を射らば、九百人の人を
斃
(
たお
)
すべし——。(ふと気づいて、苦笑する)と、まあ、世間では噂しているよ。
若き日の成吉思汗:――市川猿之助氏のために――
(新字新仮名)
/
林不忘
、
牧逸馬
(著)
「十五
尋
(
ひろ
)
——三十米ぐらいはあるね。渦の巻工合で深さがわかるよ。」
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
勿論
(
もちろん
)
、かの
船
(
ふね
)
は
私
(
わたくし
)
の
想像
(
さうざう
)
するが
如
(
ごと
)
き
海賊船
(
かいぞくせん
)
であつたにしろ、
左樣
(
さう
)
無謀
(
むぼう
)
には
本船
(
ほんせん
)
を
撃沈
(
げきちん
)
するやうな
事
(
こと
)
はあるまい、
印度洋
(
インドやう
)
の
平均水深
(
へいきんすいしん
)
は一
千
(
せん
)
八
百
(
ひやく
)
三十
尋
(
ひろ
)
、
其樣
(
そん
)
な
深
(
ふか
)
い
所
(
ところ
)
で
輕々
(
かろ/″\
)
しく
本船
(
ほんせん
)
を
撃沈
(
げきちん
)
した
處
(
ところ
)
で
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
彼是二十
尋
(
ひろ
)
ばかり引き去りて、止まりたれば、即ち又手繰れるに、ごつごつと、綸に従きて近づく様明に知れ、近づきては又急に延し、其の勢いの
暴
(
あら
)
き、綸はびんびん鳴りて、切るるか切るるかと
大利根の大物釣
(新字新仮名)
/
石井研堂
(著)
土に曳き
尋
(
ひろ
)
する藤を挿してゆけ、かぐろの髪と紫と大路に浪をなさむ時、みやこをとめはさうぐるひ、
千人
(
ちたり
)
にわけて与へよと、おん跡おはむそのなかに、われもまじりて西鶴の
経師
(
きやうじ
)
が妻のふりに似る
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
わたくしに命じた。わたくしは毎日一
尋
(
ひろ
)
に余る容態書を作つた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
春の夜はものぞうつくし
怨
(
ゑん
)
ずると
尋
(
ひろ
)
のあなたにまろ寝の人も
恋衣
(新字旧仮名)
/
山川登美子
、
増田雅子
、
与謝野晶子
(著)
催馬楽歌
(
さいばらうた
)
の「
尋
(
ひろ
)
ばかり隔てて寝たれどかよりあひにけり」
源氏物語:49 総角
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
*かなた地上に一
尋
(
ひろ
)
の乾ける樹幹立つを見よ
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
鯛釣り漁師は、丹精して繋いだ百
尋
(
ひろ
)
もの本天狗素の釣り糸を、時々河豚にやられるので、河豚にかかっちゃ泣いても泣ききれないとこぼす。
海豚と河豚
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
今でもこの海峡には海の底に狭い敷居のような浅いところが連なってその両側はそれより百
尋
(
ひろ
)
以上も深く掘れ窪んでいます。
瀬戸内海の潮と潮流
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
井戸
(
ゐど
)
は
車
(
くるま
)
にて
綱
(
つな
)
の
長
(
なが
)
さ十二
尋
(
ひろ
)
、
勝手
(
かつて
)
は
北向
(
きたむ
)
きにて
師走
(
しはす
)
の
空
(
そら
)
のから
風
(
かぜ
)
ひゆう/\と
吹
(
ふき
)
ぬきの
寒
(
さむ
)
さ、おゝ
堪
(
た
)
えがたと
竈
(
かまど
)
の
前
(
まへ
)
に
火
(
ひ
)
なぶりの一
分
(
ぷん
)
は一
時
(
じ
)
にのびて
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
木曜島では二十
尋
(
ひろ
)
から三十尋の海底だったが、あそこの海では十尋から十五尋の浅海に差しわたし一尺の余もあろうという老貝がギッシリしきつらねてあるのだ。
明治開化 安吾捕物:07 その六 血を見る真珠
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
“尋”の解説
尋(ひろ)は、古代の中国や日本で使われた長さの単位。両手を左右に広げたときの幅を基準とする身体尺である。
建築や造船、漁業など(水深の測定、網の製造や綱の製作)の分野で用いられた。「尋」は単位事典や国語辞典で五尺ないし六尺と説明されるなど曖昧さがあるが、この点については使用する分野によって長さが異なるとの指摘がある(後述)。
(出典:Wikipedia)
尋
常用漢字
中学
部首:⼨
12画
“尋”を含む語句
尋常
尋問
御尋
尋人
千尋
尋常事
追尋
三十尋
二十尋
八尋殿
尋常人
尋者
八尋
何百尋
刀尋段々壊
百尋
尋廻
御尋問
訊尋
相尋
...