“曠”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
33.3%
はれ27.8%
ひろ11.1%
むな9.3%
むなし7.4%
こう5.6%
むなしゅ3.7%
ぬか1.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
必定、万人環視のれの場で、意趣を晴らさんとする腹だろう。そこで直義は「……どうなさいます? 兄上」と、兄の顔を窺った。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
第五番に、檜扇ひおうぎ取って練る約束の、おのがお珊の、市随一のはれの姿を見ようため、芸妓げいこ幇間たいこもちをずらりと並べて、宵からここに座を構えた。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おいらは、ひろい野に出るとふいに泣きたくなることがよくあるんだ。そしていつも法典ヶ原の一軒家がそこらにあるような気がしてならないんだよ。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたくしはむなしく終吉さんのやまいえるのを待たなくてはならぬことになった。探索はここに一頓挫いちとんざきたさなくてはならない。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
しかし第一の「徳川家康篇」だけは幸ひにも未成品にをはつてゐない。いや僕の信ずる所によれば、寧ろ前人をむなしうした、戞々かつかつたる独造底どくざうていの完成品である。
大久保湖州 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
一面に茶渋を流した様なこうせまらぬ波を描いて続く間に、白金しろがねの筋があざやかに割り込んでいるのは、日毎の様に浅瀬を馬で渡した河であろう。
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この三君は三君なりにいずれも性格を異にすれども、江戸っ児たる風采と江戸っ児たる気質とはほぼ一途に出ずるものの如し。就中後天的にも江戸っ児の称をむなしゅうせざるものを我久保田万太郎君と為す。
久保田万太郎氏 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
せめては令見みせしめの為にも折々くぎを刺して、再び那奴しやつはがいべしめざらんにかずと、昨日きのふは貫一のぬからず厳談せよと代理を命ぜられてその家に向ひしなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)