“曠(こう)” の例文
一面に茶渋を流した様な曠(こう)野(や)が逼(せま)らぬ波を描いて続く間に、白金(しろがね)の筋が鮮(あざや)かに割り込んでいるのは、日毎の様に浅瀬を馬で渡した河であろう。
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
新世帯の床の間に行脚(あんぎゃ)の蓑笠(みのかさ)に添へて安置したるは汝が一世の曠(こう)なるべし。
土達磨を毀つ辞 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
予(よ)として冬、川を渉(わた)るがごとく、猶(ゆう)として四隣をおそるるがごとく、儼(げん)としてそれ客のごとく、渙(かん)として冰(こおり)のまさに釈(と)けんとするがごとく、敦(とん)としてそれ樸(ぼく)のごとく、曠(こう)としてそれ谷のごとく
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心、岡倉覚三(著)