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一念
あらためて、
是から
直ぐに、
此の
杖のなり
行脚をして、
成田山へ
詣でましてな。……
經一口も
知らぬけれども、
一念に
變りはない。
それが
主人に
分からなくって、かわいそうに
殺されてしまいましたが、
主人のためを
思う
一念が
首に
残って、
飛んでいって、
大蛇をかみ
殺してしまったのです。
殆んど
闇黒に
全體を
包まれて
居つたが、
私の
一念の
屆いて
幾分か
神經の
鋭くなつた
爲か、それとも
瞳の
漸く
闇黒に
馴れた
爲か、
私は
辛じて
其燈光の
主體を
認め
得た
途端