一念いちねん)” の例文
あらためて、これからぐに、つゑのなり行脚あんぎやをして、成田山なりたさんまうでましてな。……經一口きやうひとくちらぬけれども、一念いちねんかはりはない。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それが主人しゅじんからなくって、かわいそうにころされてしまいましたが、主人しゅじんのためをおも一念いちねんくびのこって、んでいって、大蛇おろちをかみころしてしまったのです。
忠義な犬 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ほとんど闇黒やみ全體ぜんたいつゝまれてつたが、わたくし一念いちねんとゞいて幾分いくぶ神經しんけいするどくなつたためか、それともひとみやうや闇黒あんこくれたためか、わたくしからうじてその燈光ひかり主體ぬしみと途端とたん
一念いちねん此處こヽあつまりては今更いまさらまぎらはすべき手段しゆだんもなく、あさひるしよくをとりても、はては學校がくかうきてもしよらきても、西行さいぎやううた令孃ひめ姿すがただれてまへはなれぬに
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一念いちねん弥陀仏みだぶつ即滅そくめつ無量むりやう罪障ざいしやうと聞けど、わが如き極重悪人の罪を救はれざらむ事、もとより覚悟の前ぞかし。南無なむ摩里阿マリア如来によらい。南無摩里阿如来と両手を合はせて打泣き/\方丈に帰り来りつ。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
一念いちねんここに及ぶごとに、むねはらわたけて、しん悔恨かいこんあたわざるなり。
驚破すわといへば、おとさんず心もせ、はじめの一念いちねんく忘れて、にありといふ古社ふるやしろ、其のあやしみを聞かうともせず、のあたりに車を廻すあからさまなおうなの形も
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それで、亞尼アンニーは、いよ/\弦月丸げんげつまる沈沒ちんぼつしたといたときにあられず、私共わたくしどもまぬといふ一念いちねんと、その息子むすこ悔悟くわいごとをいのるがために、浮世うきよそと尼寺あまでらかくしたのです。
たゞ如何いかにしてこの厚意かうゐむくいんかとの一念いちねん