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差
>
さ
ふりがな文庫
“
差
(
さ
)” の例文
今
(
いま
)
まで
流
(
なが
)
し
元
(
もと
)
で
頻
(
しき
)
りに
鳴
(
な
)
いていた
虫
(
むし
)
の
音
(
ね
)
が、
絶
(
た
)
えがちに
細
(
ほそ
)
ったのは、
雨戸
(
あまど
)
から
差
(
さ
)
す
陽
(
ひ
)
の
光
(
ひか
)
りに、おのずと
怯
(
おび
)
えてしまったに
相違
(
そうい
)
ない。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
左
(
ひだり
)
へ
折
(
お
)
れたところに
応接室
(
おうせつしつ
)
か
喫煙室
(
きつえんしつ
)
かといふやうな
部屋
(
へや
)
の
窓
(
まど
)
の
戸
(
と
)
が
少
(
すこ
)
しあいてゐて
人影
(
ひとかげ
)
が
差
(
さ
)
してゐたが、そこを
過
(
す
)
ぎると
玄関
(
げんかん
)
があつた。
微笑の渦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
西尾
(
にしを
)
から
東
(
ひがし
)
を
差
(
さ
)
して
来
(
き
)
た
小僧
(
こぞう
)
皆身
(
みなみ
)
の
為
(
ため
)
に
年季奉公
(
ねんきぼうこう
)
と、
東西南北
(
とうざいなんぼく
)
で書いて
遣
(
や
)
ると、お
前
(
まへ
)
の
親父
(
おやぢ
)
がそれを
国
(
くに
)
へ持つて
往
(
い
)
つて
表装
(
へうさう
)
を加へ
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「さあ、さあ、たくさんありますから、みんなめしあがってください。」と
夜警
(
やけい
)
の
人々
(
ひとびと
)
はいって、
盆
(
ぼん
)
を
持
(
も
)
ってきて
差
(
さ
)
し
出
(
だ
)
しました。
子供と馬の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
これが
猿
(
さる
)
の
方
(
ほう
)
に
近
(
ちか
)
いか、
人間
(
にんげん
)
の
方
(
ほう
)
に
近
(
ちか
)
いかは、
議論
(
ぎろん
)
があるにしても、とにかく
人間
(
にんげん
)
と
猿
(
さる
)
との
中間
(
ちゆうかん
)
の
動物
(
どうぶつ
)
といつて
差
(
さ
)
し
支
(
つか
)
へはありません。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
▼ もっと見る
昨日
(
きのう
)
の自分と今日の自分とを混同して、長蔵さんを恐ろしがったのは、免職になりながら俸給の
差
(
さ
)
し
押
(
おさえ
)
を苦にするようなものであった。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
森羅万象
(
しんらばんしょう
)
ことごとく音楽の題材ならざるはなく、その思想の動きがすべて旋律と和声とを持っていたと言っても
差
(
さ
)
しつかえはない。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
と、また短銃をだして、
手拭
(
てぬぐい
)
にクルクルとくるんだ。そいつを、ボロ
鞘
(
ざや
)
の刀と一しょに
腰
(
こし
)
へさして、
大小
(
だいしょう
)
を
差
(
さ
)
したように
気取
(
きど
)
りながら
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
江戸の
小咄
(
こばなし
)
にある、あの、「誰でもよい」と
乳母
(
うば
)
に打ち明ける恋いわずらいの令嬢も、この数個のほうの部類にいれて
差
(
さ
)
し
支
(
つか
)
えなかろう。
チャンス
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
が、
中根
(
なかね
)
は
營庭
(
えいてい
)
に
輝
(
かがや
)
く
眞晝
(
まひる
)
の
太陽
(
たいやう
)
を
眩
(
まぶ
)
しさうに、
相變
(
あひかは
)
らず
平
(
ひら
)
べつたい、
愚鈍
(
ぐどん
)
な
顏
(
かほ
)
を
軍曹
(
ぐんそう
)
の
方
(
はう
)
に
差
(
さ
)
し
向
(
む
)
けながらにやにや
笑
(
わら
)
ひを
續
(
つづ
)
けてゐた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
大悟徹底
(
だいごてってい
)
と花前とは
有
(
ゆう
)
と
無
(
む
)
との
差
(
さ
)
である。花前は
大悟徹底
(
だいごてってい
)
の
形
(
かたち
)
であって
心
(
こころ
)
ではなかった。
主人
(
しゅじん
)
はようやく
結論
(
けつろん
)
をえたのであった。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
太
(
ふと
)
い
麥藁
(
むぎわら
)
には
必
(
かなら
)
ず
一方
(
いつぱう
)
に
節
(
ふし
)
のあるのが
要
(
い
)
ります。それが
出來
(
でき
)
ましたら、
細
(
ほそ
)
い
方
(
はう
)
の
麥藁
(
むぎわら
)
を
太
(
ふと
)
い
麥藁
(
むぎわら
)
の
裂
(
さ
)
けたところへ
差
(
さ
)
し
込
(
こ
)
むやうになさい。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
当主の、福子の良人には父にあたるその人は、
温厚
(
おんこう
)
一途
(
いちず
)
が
取
(
と
)
り
柄
(
え
)
で、仕事の上のことでは、まだまだ隠居の
差
(
さ
)
し
図
(
ず
)
の下にいた。
万年青
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
さて、この立国立政府の公道を行わんとするに当り、平時に
在
(
あり
)
ては
差
(
さ
)
したる
艱難
(
かんなん
)
もなしといえども、
時勢
(
じせい
)
の
変遷
(
へんせん
)
に
従
(
したがっ
)
て国の
盛衰
(
せいすい
)
なきを得ず。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それから向うの土手の上には何か
椎
(
しい
)
らしい木が一本斜めに枝を伸ばしていた。それは憂鬱そのものと言っても、少しも
差
(
さ
)
し
支
(
つか
)
えない景色だった。
夢
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一々仏の形のきまりを
大握
(
おおつか
)
みに
掴
(
つか
)
んで拵えて行かせるのですが、兄貴の大工さんも、
差
(
さ
)
し
金
(
がね
)
を持って見込みの仕事をするのなら何んでも出来るが
幕末維新懐古談:63 佐竹の原へ大仏を拵えたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
ある
時
(
とき
)
、
宮中
(
きゆうちゆう
)
の
女官
(
じよかん
)
たちがこの
匡衡
(
まさひら
)
を
嘲弄
(
ちようろう
)
しようと
企
(
たく
)
んで、
和琴
(
わごん
)
(
日本
(
につぽん
)
の
琴
(
こと
)
、
支那
(
しな
)
の
琴
(
こと
)
に
對
(
たい
)
していふ)を
差
(
さ
)
し
出
(
だ
)
して
今昔物語:21 大江匡衡が歌をよむ話
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
何
(
なに
)
もしらない
公卿
(
くげ
)
のくせによけいな
差
(
さ
)
し
出口
(
でぐち
)
をするはいいが、
今
(
いま
)
にあべこべに
敵
(
てき
)
から
夜討
(
よう
)
ちをしかけられて、その
時
(
とき
)
にあわててもどうにもなるまい。
鎮西八郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
私
(
わたくし
)
も
少
(
すこ
)
し
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
気味
(
ぎみ
)
になり、『すべては
霊魂
(
みたま
)
の
関係
(
かんけい
)
から
役目
(
やくめ
)
が
異
(
ちが
)
うだけのもので、
別
(
べつ
)
に
上下
(
じょうげ
)
の
差
(
さ
)
がある
訳
(
わけ
)
ではないでしょう。』と
慰
(
なぐさ
)
めて
置
(
お
)
きました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
それとも
全
(
まった
)
くほかの
原因
(
げんいん
)
によるのでしょうか、とにかく日によって水が
潮
(
しお
)
のように
差
(
さ
)
し
退
(
ひ
)
きするときがあるのです。
イギリス海岸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
僕は静かに椅子から身を起すと
抜
(
ぬ
)
き足
差
(
さ
)
し足で、その梯子のある階段のうしろへ廻った。がそのとき階段のうしろで、意外なことを発見してしまった。
階段
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ファットマンは、その長い強い鼻をぐいと
差
(
さ
)
し
延
(
の
)
べて、新吉のからだをふわりと
宙
(
ちゅう
)
で受け止めてしまったのです。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
岡町
(
をかまち
)
で
中食
(
ちうじき
)
をして、
三國
(
みくに
)
から
十三
(
じふそ
)
の
渡
(
わた
)
しに
差
(
さ
)
しかゝつた
時
(
とき
)
は、もう
七
(
なゝ
)
つ
頃
(
ごろ
)
であつた。
渡船
(
とせん
)
が
込
(
こ
)
み
合
(
あ
)
つてゐるので、
玄竹
(
げんちく
)
は
路
(
みち
)
の
片脇
(
かたわき
)
へ
寄
(
よ
)
つて、
待
(
ま
)
つてゐた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
萬有
(
ばんいう
)
の
母
(
はゝ
)
たる
大地
(
だいぢ
)
は
其
(
その
)
墓所
(
はかどころ
)
でもあり、
又
(
また
)
其
(
その
)
埋葬地
(
まいさうち
)
たるものが
其
(
その
)
子宮
(
こぶくろ
)
でもある、さて
其
(
その
)
子宮
(
こぶくろ
)
より千
差
(
さ
)
萬
別
(
べつ
)
の
兒供
(
こども
)
が
生
(
うま
)
れ、
其
(
その
)
胸
(
むね
)
をまさぐりて
乳
(
ち
)
を
吸
(
す
)
ふやうに
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
恁
(
か
)
くて
又
(
また
)
一
週間
(
しうかん
)
を
過
(
す
)
ぎ、
遂
(
つひ
)
にミハイル、アウエリヤヌヰチと
共
(
とも
)
に
郵便
(
いうびん
)
の
旅馬車
(
たびばしや
)
に
打乘
(
うちの
)
り、
近
(
ちか
)
き
鐵道
(
てつだう
)
のステーシヨンを
差
(
さ
)
して、
旅行
(
りよかう
)
にと
出掛
(
でか
)
けたのである。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
望む共
召抱
(
めしかゝ
)
へらるべき樣なし然とて
空然々々
(
うか/\
)
當屋敷に居る時は
頓
(
やが
)
て平左衞門同樣に呼出さるべし尤も我
差
(
さ
)
せる
罪
(
つみ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
これを
解禁後
(
かいきんご
)
の
推定相場
(
すゐていさうば
)
四十九
弗
(
ドル
)
八
分
(
ぶん
)
の三と
比較
(
ひかく
)
すると
其
(
そ
)
の
差
(
さ
)
は
僅
(
わづ
)
かに一
弗
(
ドル
)
足
(
た
)
らずとなつて一
割
(
わり
)
一
分
(
ぶ
)
下
(
さが
)
つて
居
(
を
)
つた
爲替相場
(
かはせさうば
)
は九
分
(
ぶ
)
丈
(
だ
)
け
回復
(
くわいふく
)
した
譯
(
わけ
)
であつて
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
『おゝ、
左樣
(
さう
)
でせうとも/\。』と
私
(
わたくし
)
は
餘
(
あま
)
りの
可愛
(
かあい
)
さに
少年
(
せうねん
)
を
頭上
(
づじやう
)
高
(
たか
)
く
差
(
さ
)
し
上
(
あ
)
げて、
大日本帝國
(
だいにつぽんていこく
)
萬歳
(
ばんざい
)
と
※
(
さけ
)
ぶと、
少年
(
せうねん
)
も
私
(
わたくし
)
の
頭
(
つむり
)
の
上
(
うへ
)
で
萬歳々々
(
ばんざい/″\
)
と
小躍
(
こをどり
)
をする。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
ふん、そうなりゃ
孤児院
(
こじいん
)
へ
差
(
さ
)
し向けてやる。だがもう話はたくさんだ。おれはあしたは村長さんの所へあいつを
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
地球上
(
ちきゆうじよう
)
でも、
赤道
(
せきどう
)
を
中心
(
ちゆうしん
)
にして
兩極
(
りようきよく
)
に
向
(
むか
)
ふにしたがひ、
又
(
また
)
は
海岸
(
かいがん
)
から
高
(
たか
)
い
山
(
やま
)
へ
登
(
のぼ
)
るにつれて、その
寒暖
(
かんだん
)
の
差
(
さ
)
に
應
(
おう
)
じ、しぜんとそこに
生
(
は
)
える
樹木
(
じゆもく
)
の
種類
(
しゆるい
)
が
違
(
ちが
)
ひ
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
「そなたの方にひどう
差
(
さ
)
し
支
(
つか
)
えることがあらば——誰か、是非とも逢わねばならぬ人でも待っておッて——」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
いま、三人で
夕餉
(
ゆうげ
)
を済ましたところである。喬之助と壁辰が、ぽうっと眼のふちを赤くしているのは、食前に、お妙の
酌
(
しゃく
)
で、さしつ
差
(
さ
)
されつしたものであろう。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
と
云
(
い
)
ふ
時
(
とき
)
、
袖崎
(
そでさき
)
に
續
(
つゞ
)
いて、
背後
(
うしろ
)
から
並
(
なら
)
んで
來
(
き
)
た五六
臺
(
だい
)
の
車
(
くるま
)
が、がら/\と
川縁
(
かはべり
)
を、
町
(
まち
)
へ
差
(
さ
)
して
通過
(
とほりす
)
ぎる。
看板
(
かんばん
)
の
薄黄色
(
うすきいろ
)
い
灯
(
ひ
)
が、
幕
(
まく
)
を
開
(
あ
)
けた
舞臺
(
ぶたい
)
を
走
(
はし
)
る
趣
(
おもむき
)
に
見
(
み
)
えた。
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
物に由りて或は
串
(
くし
)
に
差
(
さ
)
されて燒かれしも有るべく或は
草木
(
くさき
)
の葉に
包
(
つつ
)
まれて熱灰に
埋
(
うづ
)
められしも有るべし。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
海嘯
(
かいしよう
)
は
潮汐
(
ちようせき
)
の
干滿
(
かんまん
)
の
差
(
さ
)
の
非常
(
ひじよう
)
に
大
(
おほ
)
きな
海
(
うみ
)
に
向
(
むか
)
つて、
河口
(
かこう
)
が
三角
(
さんかく
)
なりに
大
(
おほ
)
きく
開
(
ひら
)
いてゐる
所
(
ところ
)
に
起
(
おこ
)
る
現象
(
げんしよう
)
である。
支那
(
しな
)
淅江省
(
せつこうしよう
)
の
錢塘江
(
せんとうこう
)
は
海嘯
(
かいしよう
)
について
最
(
もつと
)
も
有名
(
ゆうめい
)
である。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
私は百合の
花
(
はな
)
を手折つて来て
妻
(
つま
)
の
枕
(
まくら
)
元に
差
(
さ
)
してやつた。すると、
妻
(
つま
)
は
激
(
はげ
)
しい香ひのためにせき
続
(
つゞ
)
けた。
美しい家
(新字旧仮名)
/
横光利一
(著)
「そちらにエリスさんがいらつしやる。先輩の方を
差
(
さ
)
し
措
(
お
)
いて、私どもが出る幕ぢやありません。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
病氣を隱蔽する者が多いため、巡査は夜中に村を巡つて村民の
厠
(
かはや
)
通ひに注意し出したので、靴の音がすると、誰れでも便所へ行くのをさへ
差
(
さ
)
し
扣
(
ひか
)
へるといふ噂さへ起つた。
避病院
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
不足
(
ふそく
)
な
點
(
てん
)
は
適當
(
てきたう
)
に
外語
(
ぐわいご
)
を
以
(
もつ
)
て
補充
(
ほじう
)
するのは
差
(
さ
)
し
支
(
つか
)
へないが、ゆゑなく
舊來
(
きうらい
)
の
成語
(
せいご
)
を
捨
(
す
)
てゝ
外國語
(
ぐわいこくご
)
を
濫用
(
らんよう
)
するのは、
即
(
すなは
)
ち
自
(
みづか
)
らおのれを
侮辱
(
ぶじよく
)
するもので、
以
(
もつ
)
ての
外
(
ほか
)
の
妄擧
(
まうきよ
)
である。
国語尊重
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
折柄
(
をりから
)
杉
(
すぎ
)
の
妻戸
(
つまど
)
を徐ろに押し
開
(
あ
)
くる音す、瀧口
首
(
かうべ
)
を擧げ、
燈
(
ともしび
)
差
(
さ
)
し向けて何者と打見やれば、足助二郎重景なり。
端
(
はし
)
なくは進まず、
首
(
かうべ
)
を垂れて
萎
(
しを
)
れ出でたる有樣は仔細ありげなり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
おれが
君
(
きみ
)
たちを
探
(
さが
)
したやうに、あせりあせり
熱心
(
ねっしん
)
に
俺達
(
おれたち
)
に
手
(
て
)
を
差
(
さ
)
し
出
(
だ
)
したのを
知
(
し
)
ってゐる
一九三二・二・二六:―白テロに斃た××聯隊の革命的兵士に―
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
「奥さん、かうやつて見ると、冬の最中でなければ、ソヴィエト行きは
差
(
さ
)
し
支
(
つか
)
へないと思ひますな。——しかし興味の有るのは、ムッシュウ・ジッドの各年代の健康状態です。」
亜剌比亜人エルアフイ
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
それは
宗教
(
しうけう
)
の
病院
(
びやうゐん
)
になんか、あなたをお
入
(
い
)
れしたくなかつたんですけれど、
差
(
さ
)
し
迫
(
せま
)
つた
事
(
こと
)
ではあるし、
經濟的
(
けいざいてき
)
にどうにもならなかつたもんですからね、
全
(
まつた
)
く
仕方
(
しかた
)
のないことでした。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
そのときは
差
(
さ
)
のみにも感じなかつたが、新宿へ行つてからは
其
(
そ
)
の小指がひり/\と痛んで来たので、彼は相方のおせんに何か薬はないかと訊くと、おせんは山崎の守符を貸してくれた。
赤膏薬
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
しかしこの三つの作品にも、
各
(
おの/\
)
差
(
さ
)
がある。『海へ』はそれでも客観性がかなり多く出てゐる。単なる自己描写と言つて了ふことの出来ない処がある。作の陰に微かながらもある背景がある。
自他の融合
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
あるいは東、あるいは西といえば
如何
(
いか
)
にも両者の間に
懸隔
(
けんかく
)
あるように
聞
(
きこ
)
ゆる。文章家はかくの如き文字を用いて
相容
(
あいい
)
れざる
差
(
さ
)
を示す。かの有名な
詩篇
(
しへん
)
の内にも西と東の
隔
(
へだ
)
たる如く
云々
(
うんぬん
)
とある。
東西相触れて
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
何か
華
(
はな
)
やかな美しい音樂の
快速調
(
アツレグロ
)
の流れが、見る人を石に化したといふゴルゴンの鬼面——的なものを
差
(
さ
)
しつけられて、あんな色彩やあんなヴオリウムに凝り固まつたといふ風に果物は竝んでゐる。
檸檬
(旧字旧仮名)
/
梶井基次郎
(著)
「御殿女中が蛇になったので、やっぱり口紅を
差
(
さ
)
いているです」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
知らん顔をしていれば
差
(
さ
)
し
支
(
つか
)
えないようなものの、ここの細君の掃除法のごときに至ってはすこぶる無意義のものと云わざるを得ない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ベルリオーズの
精進
(
しょうじん
)
は涙ぐましきまでに見事であった。欠乏と闘いながらの七年間の苦学は英雄的であったと言っても
差
(
さ
)
しつかえはない。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
“差”の意味
《名詞》
(サ)ある数から他の数を引いた残りの数。
(サ)違い。隔たり。
(出典:Wiktionary)
差
常用漢字
小4
部首:⼯
10画
“差”を含む語句
差別
差向
差違
差置
差添
差支
脇差
差出
差掛
差異
差上
差遣
差込
差詰
無差別
差入
眼差
差俯向
参差
差閊
...