“差掛”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
さしかか35.3%
さしかゝ29.4%
さしかけ23.5%
さしか5.9%
さしかかり5.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
屋根船はその間にいつか両国のにぎわいぎ過ぎて川面かわもせのやや薄暗い御蔵おくら水門すいもんそと差掛さしかかっていたのである。燈火の光に代って蒼々あおあおとした夏の夜の空には半輪はんりんの月。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
かけ甚だ難澁なんじふ仕つり一命にも及ばんとなすをり是なる藤八身延みのぶ參詣さんけいの歸り掛け幸ひ其處へ差掛さしかゝり私し難儀なんぎの體を見兼右の三人を片端かたはしよりたゝたふして私しを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
墓参の帰り道、ピニャルーの市場をのぞくと、差掛さしかけ陶物屋すえものやで「蓮華王」と「清香真壺」を見つけた。
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
茶店といつてもかたばかりのもので、大きいえのきした差掛さしかけ同様の店をこしらへて、往来ゆききの旅人を休ませてゐた。店には秋らしい柿や栗がならべてあつた。
小夜の中山夜啼石 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
当国の風俗は万事に差掛さしかかりたる事なく、人の音声も下音に上調子うわちょうしなることなし。人に応ずるにも一思案して答える風なり。互に人だのみにして遠慮過ぎたり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)