差掛さしかけ)” の例文
墓参の帰り道、ピニャルーの市場をのぞくと、差掛さしかけ陶物屋すえものやで「蓮華王」と「清香真壺」を見つけた。
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
よく見るとこれは一軒の生薬屋きぐすりやの店を仕切って、その狭い方へこざっぱりした差掛さしかけ様のものを作ったので、中に七色唐辛子なないろとうがらしの袋を並べてあるから、看板の通りそれを売るかたわ
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
差掛さしかけさせくつしと/\と踏鳴ふみならし靜々とぞ歩行あゆみける附從つきしたがふ小姓こしやうの面々には麻上下あさがみしも股立もゝだちを取て左右を守護しゆごしける引續ひきつゞいて常樂院天忠和尚てんちうをしやうむらさきの衣に白地の袈裟けさを掛け殊勝しゆしようげに手に念珠ねんじゆ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
穀倉の前の差掛さしかけのところで、いかにも面白そうな笑い声がしている。