“念珠”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ねんじゅ38.7%
ねんじゆ16.1%
ねんず6.5%
コンタツ6.5%
ロザリオ6.5%
コンタス3.2%
おじゆず3.2%
こんたす3.2%
こんたつ3.2%
じゅず3.2%
じゆず3.2%
ずず3.2%
ねず3.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ゆかの上に引きずった着物は「あびと」ととなえる僧衣らしい。そう云えば「こんたつ」ととなえる念珠ねんじゅ手頸てくび一巻ひとまき巻いたのち、かすかに青珠あおたまを垂らしている。
おしの (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
こぶしをあげて一にん天窓あたまをうたむとせしに、一幅ひとはばの青き光さつと窓を射て、水晶の念珠ねんじゆひとみをかすめ、ハツシと胸をうちたるに、ひるみてうずくまる時、若僧じやくそう円柱えんちゆうをいざりでつつ、ついゐて
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
念珠ねんずを揉んで、一心不乱に何やらじゅを唱えているほか、その広い床はがらんとして、かすかに燈明のまたたきが、おぼろに二つの影にゆらいでいるだけだった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
手下の者から、念珠コンタツをうけとったかれは、それをくびへかけ、胸へ、白金はっきんの十字架をたらして、しずしずとだんの前へすすんだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つめたい肌黒はだぐろ胡桃くるみの木よ、海草かいさうの髮を垂れ、くすんだ緑玉りよくぎよくの飾をしたをんなそら草原くさはらの池にひたつて青くなつた念珠ロザリオ、ぼんやりとした愛の咽首のどくびめてやらうとするばかりの望、よくを結びそこな繖形花さんけいくわ
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
裕佐はそういいながら、ふところから例の念珠コンタスを出して見せた。
叢は露の雫にまだ濡れて 蜘蛛の念珠おじゆずも光つてゐた
萱草に寄す (新字旧仮名) / 立原道造(著)
ただ、黄昏こうこんと共に身辺を去来して、そが珊瑚さんご念珠こんたつと、象牙に似たる手頸てくびとを、えもならず美しき幻の如く眺めしのみ。
るしへる (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その日は早くから、節子は持仏堂のほうへいった。六畳二間に四畳半だけの、小さな住居が附いている、その濡縁に出て、念珠じゅずを手にして庭を眺めていた。
おばな沢 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
恰度お祈りする時に、念珠じゆずを爪繰るやうにして。
持左の手に水晶すゐしやう念珠ずずつまぐりくつ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
磐城の連山の雲霧の彼方かなたに、安達ヶ原がある、陸奥みちのくのしのぶもじずりがある、白河の関がある、北海の波に近く念珠ねずせきもなければならぬ。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)