差掛さしかゝ)” の例文
かけ甚だ難澁なんじふ仕つり一命にも及ばんとなすをり是なる藤八身延みのぶ參詣さんけいの歸り掛け幸ひ其處へ差掛さしかゝり私し難儀なんぎの體を見兼右の三人を片端かたはしよりたゝたふして私しを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
猶且やはり毎朝まいあさのやうにあさ引立ひきたたず、しづんだ調子てうし横町よこちやう差掛さしかゝると、をりからむかふより二人ふたり囚人しうじんと四にんじゆうふて附添つきそふて兵卒へいそつとに、ぱつたりと出會でつくわす。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
およそ三百段も降りた時いよいよ闇穴道あんけつだうの入口に差掛さしかゝつて、其処そこには鬼ならぬ一人の巡査がカンテラを持つて立つて居る。人人はそのカンテラの前に立留たちどまつて蝋燭の火をけた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
本当に貴方はお若いに似合にあわない親切な方です、暮に差掛さしかゝってせがれはいず、ようかと思っている処へ、十両とまとまった金を下さるとは有難いことで、御恩の程は忘れません
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
いまある深林しんりんへん差掛さしかゝつたとき日出雄少年ひでをせうねんきふわたくしそでいた。
取せ急がし立れば幼稚のならぜにを貰ひしうれしさに初の不平ふへい何處どこへやらあと引添ひきそひ出行きつ音羽の村へ差掛さしかゝり七丁目まで來りければたしか茲等こゝらと忠兵衞が歩行あるきながら四邊あたりを見たりぬ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ねがひますと云にぞ門番の者ねがたきあらば其町内の役人を同道して來り願ふべしと言ふに城富ハイ是はまこと差掛さしかゝりまして早急の儀なれば町役人をたのむ間もおそなはります何卒どうぞ御取次を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)