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醒
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さ
ふりがな文庫
“
醒
(
さ
)” の例文
僕はこのホテルの部屋に午前八時頃に目を
醒
(
さ
)
ました。が、ベッドをおりようとすると、スリッパアは不思議にも片っぽしかなかった。
歯車
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いかにも感慨無量で折角飲んだ酒も
醒
(
さ
)
めて来るが、暫くするとまた飲みたくなりゃこそ酒屋が渡世が出来る理窟故ますます感心する。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
暫く寐ているうちに、部屋に人が来たように思って目を
醒
(
さ
)
ました。見れば芸者が来て枕元にすわっている。君は驚いて起き上がった。
二人の友
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そっと帰って来て、
行燈
(
あんどん
)
の下で
頭巾
(
ずきん
)
を取ろうとした時にお銀様は眼が
醒
(
さ
)
めました。醒めてこの
体
(
てい
)
を見ると怪しまずにはおられません。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「なにが、無態だ。なんじらの馬鹿げた迷妄を、
儂
(
み
)
の勇をもって、
醒
(
さ
)
ましてくるるのがなんで無態か。
鍛冶
(
かじ
)
を呼んで、
鎖
(
くさり
)
を切らせろ」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
膝からともすれば
襦袢
(
じゅばん
)
がハミ出しますが、
酣酔
(
かんすい
)
が水をブッかけられたように
醒
(
さ
)
めて、後から後から引っきりなしに
身震
(
みぶる
)
いが襲います。
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
とにかく、いつもの夢想から
醒
(
さ
)
めて、ひょいと気が付いてみたら、たった一人で古い墓室の薄暗がりの中にいた、というより
外
(
ほか
)
はない。
木乃伊
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
彼は遠くで赤子の泣き声のしている夢を見て眼が
醒
(
さ
)
めた。すると、傍で姪が
縺
(
もつ
)
れた糸を
解
(
ほど
)
くように両手を動かしながら泣いていた。
御身
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
生島は崖路の闇のなかに
不知不識
(
しらずしらず
)
自分の眼の待っていたものがその青年の姿であったことに気がつくと、ふと
醒
(
さ
)
めた自分に立ち返った。
ある崖上の感情
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
大四郎は酔いが
醒
(
さ
)
めてしまった。豪遊まではよかったが、差引をすると三月分の小遣が消えたうえに肌付の金まで欠けてしまった。
ひやめし物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
自分の側室で私が目を
醒
(
さ
)
ますと、小さな窓枠の中に、
藍青色
(
らんせいしょく
)
に晴れ切った空と、それからいくつもの真っ白い鶏冠のような
山巓
(
さんてん
)
が
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「柵、柵、眼を
醒
(
さ
)
ませ。そなたの許婚宗介が今こそここへ戻って来たのだ。さあ早くそこから出て
俺
(
わし
)
の贈り物を見るがよい。やッ……」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「それは先生」曽我貞一と名乗る男は
一寸
(
ちょっと
)
云い
淀
(
よど
)
んだが、「先生は
御臨終
(
ごりんじゅう
)
の苦しみを続けていらっしゃるのです。目をお
醒
(
さ
)
ましなさい」
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そして男が脊中を向けるとき、自分は急いでその場を逃げるだろう。その日は目の
醒
(
さ
)
めるような喜びに輝いている夏の朝であろう。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
盛り上がる古桐の長い胴に、
鮮
(
あざや
)
かに眼を
醒
(
さ
)
ませと、への字に渡す糸の数々を、幾度か抑えて、幾度か
撥
(
は
)
ねた。曲はたしか
小督
(
こごう
)
であった。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
其処
(
そこ
)
に折よく第三者が来て、「
彼奴
(
あいつ
)
は狐に化かされている」といって、背中をどやしてくれると即ち催眠状態が
醒
(
さ
)
めるのである。
ばけものばなし
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
昼ねから
醒
(
さ
)
めて、体を洗って、新しい仕事を考えながら二階で風にふかれていたら、不図思いついて狭い
濡縁
(
ぬれえん
)
の左の端れまで出てみたら
獄中への手紙:04 一九三七年(昭和十二年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「言うたか。今にそう言うであろうと待っていたのじゃ。ならば迷いの夢を
醒
(
さ
)
ましてやるために嗅がしてやるものがある。
吃驚
(
びっくり
)
するなよ」
十万石の怪談
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
私は全く眼が
醒
(
さ
)
めた。けれども起き上る前にシクシクと痛む頭の中から無理に記憶を呼び起していた——さっきあれからどうしたか——。
あやかしの鼓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
マア坊の夢は悪い夢で、早く忘れてしまいたいが、竹さんの夢は、もしこれが夢であったら、永遠に
醒
(
さ
)
めずにいてくれるといい。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
腸
(
はらわた
)
を断つような呻き声が、段々彼女の耳の近くに聞え初めた。彼女の意識が、
醒
(
さ
)
めかゝるに連れてその呻き声は段々高くなった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
菊五郎のお蔦、
両吟
(
りょうぎん
)
の唄にて花道の出は目の
醒
(
さ
)
むるほど美しく、今度は
丸髷
(
まるまげ
)
にて
被布
(
ひふ
)
を着られしためもあらんが、
容貌
(
きりょう
)
は先年より
立優
(
たちまさ
)
れり。
明治座評:(明治二十九年四月)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
数かぎりない因子たちを
呼
(
よ
)
び
醒
(
さ
)
まし、それを通じてそれらの因子を共有する他の無数の現実断片に交感し呼応するものでなければならない。
チェーホフの短篇に就いて
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
月の
面
(
おもて
)
に雨雲がもったりとかかった。章一の眼ははっきり
醒
(
さ
)
めた。と、
階子段
(
はしごだん
)
をあがって来る
跫音
(
あしおと
)
がして、それが廊下の
襖
(
ふすま
)
の外に止まった。
一握の髪の毛
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
『僕も
酔
(
よひ
)
が
醒
(
さ
)
めかゝつて寒くなつて来た。
静
(
しづ
)
ちやんさへ
差
(
さし
)
つかへ無けれア
彼
(
あ
)
の
角
(
かど
)
の西洋料理へ上がつてゆつくり話しませう。』
節操
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
目が
醒
(
さ
)
めてから考へれば、実に馬鹿馬鹿しくつまらぬことが、夢の中では
勿体
(
もつたい
)
らしく、さも重大の真理や発見のやうに思はれるのである。
田舎の時計他十二篇
(新字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
やがて「忘れましょう、忘れましょう、いくら考えてもどうなる話ではないのですから」と迷夢から
醒
(
さ
)
めたように
頭
(
かしら
)
を振った。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
……その酒さえ、弱身のある人が来て
対向
(
さしむか
)
いになると、臆面の無いほてった顔を、一皮
剥
(
む
)
かれるように
醒
(
さ
)
めるんだからの。お察しものです。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ましてや一たび酔うて今は
醒
(
さ
)
めているという
類
(
たぐい
)
の旅人であったならば、深い
詠歎
(
えいたん
)
なしには
看
(
み
)
て過ぐることができなかったろう。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
勘次等
(
かんじら
)
三
人
(
にん
)
は
其
(
そ
)
の
夜
(
よ
)
も
凝集
(
こご
)
つて
薄
(
うす
)
い
蒲團
(
ふとん
)
にくるまつた。
勘次
(
かんじ
)
は
足
(
あし
)
に
非常
(
ひじやう
)
な
冷
(
つめ
)
たさを
感
(
かん
)
じて、うと/\として
居
(
ゐ
)
た
眠
(
ねむり
)
から
醒
(
さ
)
めた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
私が一人、鋭い意識と深い心とに
醒
(
さ
)
めて歩く時、凡てが私の世界のうちに飛び込み、やがて漉されて私の後ろの闇にとり残されるのであった。
蠱惑
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
睡りからさめる時も速やかに
醒
(
さ
)
め切って、エーテルやクロロホルムのようにさめ
際
(
ぎわ
)
の悪いようなことがなかったそうである。
話の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
薊
(
あざみ
)
も長い間の押し問答の、石に
釘
(
くぎ
)
打つような不快にさっきからよほど
劫
(
ごう
)
が沸いてきてる。もどかしくて堪らず、酔った酒も
醒
(
さ
)
めてしまってる。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
侍「
私
(
わし
)
が悪いから何うか免してくれ、酔が
醒
(
さ
)
めて見れば
白刃
(
しらは
)
を
振
(
ふる
)
って町人を
嚇
(
おど
)
かし、土地を騒がしたは私が悪いから謝まる」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
けだし昨夜は背の痛強く、
終宵
(
しゅうしょう
)
体温の下りきらざりしやうなりしが今朝
醒
(
さ
)
めきりしにやあらん。熱さむれば痛も減ずるなり。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
あはれ此夢いつかは
醒
(
さ
)
めん、醒めてこの怖るべき
形相
(
ぎやうさう
)
は消え
淪
(
ほろ
)
びなん。心を鎭めて目を閉づれば、
冷
(
ひやゝか
)
なる山おろしの風は我頬を
繞
(
めぐ
)
りて吹けり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
はじめのうちは話すたびに、ところどころ違っていたが、それはたしかに、彼が眠りから
醒
(
さ
)
めてまだ間もなかったからだ。
リップ・ヴァン・ウィンクル:ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
「いや判っている。あのくらいの葡萄酒じゃ、もう
醒
(
さ
)
めて来て、頭がぼんやりして来るほど身体が弱っている。あーあ、つまらん。眠くなった」
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
種彦初め一同は一時に酒の酔を
醒
(
さ
)
ましてしまった。女中はもう涙をほろほろ
滾
(
こぼ
)
しながら相手選ばず事情を訴えようとする。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
姐さんはそれを聞いて、大喜びに喜んで、代りの晴着を
拵
(
こしら
)
へて呉れた。お客は
酔
(
ゑひ
)
から
醒
(
さ
)
めて、真青な顔をして謝りに来た。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
夢遊病者のように葉子はまっしぐらにこの不思議な世界に落ちこんで行った。それでいて、葉子の心の一部分はいたましいほど
醒
(
さ
)
めきっていた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
それらの処置が一段らく終った時、元の船室に立戻った警部が、ふと思い出して、まだ
夢
(
ゆめ
)
醒
(
さ
)
め切らぬ面持の明智に云った。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その
鳴
(
な
)
き
声
(
ごえ
)
に、
眠
(
ねむ
)
っている
林
(
はやし
)
や、
森
(
もり
)
や、
野原
(
のはら
)
が
目
(
め
)
を
醒
(
さ
)
ましました。
中
(
なか
)
には、「
元気
(
げんき
)
のいいからす。」といって、この
早起
(
はやお
)
きのからすをほめました。
一本のかきの木
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
喧嘩を買い歩くのが商売と聞けば、どうやら怖ろしくも思われるが、それも惰弱に流れた世人の眼を
醒
(
さ
)
ます為だという。
番町皿屋敷
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
しかし
醒
(
さ
)
めたものに望むような徹底を、因襲をもって
十重二十重
(
とえはたえ
)
に縛られた貴族の家庭に多くの愚かな召使たちにかしずかれながら育った夫人に
芳川鎌子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
この
不埓者
(
ふらちもの
)
めと
云
(
いっ
)
て、その肩の処をつらまえて
引起
(
ひきおこ
)
して、目の
醒
(
さ
)
めてるのを尚おグン/″\ゆたぶって
遣
(
やっ
)
たことがある。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
さて
暫
(
しばら
)
くまどろんだと思ふ時分に
頸
(
くび
)
の処に焼けるやうな
癢
(
かゆ
)
さを覚えて目を
醒
(
さ
)
ました。私は
維也納
(
ウインナ
)
以来の
屡
(
しばしば
)
の経験で直ぐ
南京
(
ナンキン
)
虫だといふことを知つた。
南京虫日記
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
もし手術が無事に済んで、麻酔から
醒
(
さ
)
めたのちメデューサの首を見せてくれと言われたらどうしようかと考えました。
メデューサの首
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
忽
(
たちま
)
ち
長嘘
(
ためいき
)
を
吐
(
は
)
きて、
眼
(
め
)
をひらき、
醒
(
さ
)
めたるがごとくに起きあがりて、人々にむかひ、我
二一
人事
(
にんじ
)
をわすれて既に久し。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
斯
(
か
)
う思つて小池は、ハツと夢から
醒
(
さ
)
めたやうに、自分に引き
添
(
そ
)
つて
低首
(
うなだ
)
れつゝ弱い足を運んでゐるお光の姿を見た。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
“醒”の解説
「醒」(めざめ)は、日本のバンド陰陽座の5枚目のシングルである。2003年10月1日発売。発売元はキングレコード。
(出典:Wikipedia)
醒
常用漢字
中学
部首:⾣
16画
“醒”を含む語句
酔醒
目醒
覚醒
眼醒
蒼醒
覺醒
醉醒
寝醒
半醒
寢醒
醒覚
興醒
警醒
醒睡笑
小杉未醒
半醒半睡
血醒
提醒紀談
半睡半醒
醒斎
...