)” の例文
っと短いマントに短剣を吊って、素早く胡瓜売りの手車の出ている角を曲ったのは、舞踊で世界的名声のあるカザークの若者だ。
一陣の北風にと音していっせいに南にくこと、はるかあなたにぬっくと立てる電燈局の煙筒より一縷の煙の立ちること等
夜行巡査 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
朝の黄金の光がっと射し込み、庭園の桃花は、繚乱たり、百囀耳朶をくすぐり、かなたには漢水の小波が朝日を受けて躍っている。
竹青 (新字新仮名) / 太宰治(著)
と、いうやいな、紋太夫の手は、連判状をつかんで、ッと、野獣の身をおどらすように、退こうとした。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
恋という字の耳に響くとき、ギニヴィアの胸は、に刺されしを受けて、すわやと躍り上る。耳の裏にはと音がして熱き血をす。アーサーは知らぬ顔である。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「飯を、飯を!」として、と奥の間の紙門けば、何ぞ図らん燈火の前に人の影在り。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
窓を開くと、冷たい風がっと流れ込んで、宗三郎の熱した頭を心持よく冷やしてくれます。
猟色の果 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
水刷毛を刷いただけでは上っ面ばかりで充分に水気が絹に滲まないので、水気をしっくりと滲み込ませるために刷毛で刷いた上を濡れ布巾でっ颯っと擦ると具合がよくなります。
昔のことなど (新字新仮名) / 上村松園(著)
自分は、人の眠を妨げぬやうに静かに起きて、柱に懸けてあつた手拭を取つて、サテ音させぬ様に障子を明けた。秋の朝風の冷たさが、と心地よく全身に沁み渡る。庭へ下りた。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
疳高くとした声だった。っとを蹴って立ち上ると苛立たしげに言った。
十万石の怪談 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
「大丈夫で御座いますよ」と小虎は云いつつと紺蛇の目の雨傘を開いた。
死剣と生縄 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
っと亭主の顔色が変りました。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
けれども、あの「死んで下さい」というお便りに接して、胸の障子が一斉にからりと取り払われ、一陣の涼風がっと吹き抜ける感じがした。
散華 (新字新仮名) / 太宰治(著)
山颪ると、舞下つて、𤏋としたが、つて、つゝとえると、つた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
省線の電車が、っと風をきって通過したとき、あおりで堤に咲きつらなっていた萩の花房が瞬間大ゆれに揺れて乱れた。
風知草 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
武蔵がその雪風よりも鋭い声で斬るようにいうと、逆手に棒を握って、喰い付くような眼をすえていた権之助の髪の毛が、針ねずみのように、っと立った。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ぎ澄したるよりも寒き光の、ながらうぶ毛の末をも照すよと思ううちに——底事ぞ!音なくてと曇るは霧か、鏡のは巨人の息をまともに浴びたる如く光を失う。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
隣に養へる薔薇じて、と座にる風の、この読尽されし長きの上に落つると見れば、紙は冉々と舞延びて貫一の身をり、らんとするを、彼はに敷据ゑて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
っと税関吏の顔色が変った。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
一団の旅人とっとすれちがった瞬間、不吉な会話を小耳にはさんだ。「いまごろは、あの男も、磔にかかっているよ。」
走れメロス (新字新仮名) / 太宰治(著)
かく謂いつつ立上りて、するりと帯を解き、三枚と脱ぎて、で押えて袖畳、一つにめてぽいと投出し
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
誰か? と楊雄石秀はぎょっとして、後ろの木蔭を振りむいた——。が、その目の前へ、ッと、泳ぐがごとく出て来た男の魔性めいたお辞儀振りを見ると
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
途端に裸ながらの手燭は、風に打たれてと消えた。外は片破月の空にけたり。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
朝子は凝っと聴いていて、やがてっと顔を赤らめいきなり涙をあふらした。
広場 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
宮は猶脱るるほどに、帯はけてふを、右に左に踢払ひつつ、きては進み、行きてはき、彼もはや力はきたりと見えながら、如何ん、其処に伏して起きざる時
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
僕は、この事は、一高のドロップを知った直後に、っときめてしまっていたのだ。最後はそれだと決意していた。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
三吉は腕を叩きて、「に、請合いました。」「よくせい。」とひらりと召す。梶棒を挙げて一町ばかり馳出だせる前面より、駈来る一頭の犬あり。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もう一言と思ったことばを、彼は云いそびれてしまったのだろう。っと身をひるがえすと、先刻、主税と岡右衛門の出て行った裏口の雪明りへ、彼のすがたも躍り出ていた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
外套のを三寸ばかりと返したら、左のがするりと抜けた、右の袖を抜くとき、のあたりをつまんだと思ったら、裏をてに、外套ははや畳まれて、椅子背中を早くも隠した。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
家の近所のダラダラ坂に人通りの少いのを見はからって、っと乗り出したはよいが、進むにつれて速度が加って、どうにも始末がつかなくなり、あわやという間に交通巡査に抱きついてしまった。
写真に添えて (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
っと帰って来ればよかった、しまった、と後悔ほぞをむ思いに眠れず転輾している有様なのだから、偉いどころか、最劣敗者とでもいうようなところだ。
鉄面皮 (新字新仮名) / 太宰治(著)
婦人は毀誉を耳にも懸けず、いまだ売買の約も整わざる、襯衣を着けて、を蔽い、肩を納め、帯をめ、肩掛を取りてと羽織り、悠々として去らんとせり。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
聞くとすぐ、宋江ならぬ一丈青のほうが、ッと、駒の背に身を沈めて横道へ馳け出した。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
呼吸して生きていることに疲れて、窓から顔を出すと、隣りの宿の娘さんは、部屋のカアテンをっと癇癖らしく閉めて、私の視線を切断することさえあった。
俗天使 (新字新仮名) / 太宰治(著)
とばかり答えたまう、この時格子の戸きぬ。すかし見るの上に、片肌脱ぎて立ちたるは、よりより今はわが伯母上とも行交いたる、金魚養う女房なり。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
っ、颯っ、颯っ、——と、榊が、風を鳴らした。彼の祝詞が、一だんと、声を高める。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがて能生を認めたるにて、天色に一変せり。——だ黒く、沖は真白に。と見る間に血のごとき色はと流れたり。日はまさに入らんとせるなり。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
左翼思想が、そのころの学生を興奮させ、学生たちの顔がっと蒼白になるほど緊張していました。
おしゃれ童子 (新字新仮名) / 太宰治(著)
片方の耳はひどく冷たいが、今朝はらかに全姿を見せている駒のから落ちてくる風に、足元から払われて行くと、ゆうべからの疲れも焦躁っと遠方のものになってしまう。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふと此方を見返り、それとにて、片手をふちにかけつつ片足を立てて盥のそとにいだせる時、と音して、烏よりは小さき鳥の真白きがひらひらと舞いおりて
竜潭譚 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
っと赤い表紙の可愛い辞典を投げてやったところなんかは、やっぱりあざやかなものだった。
パンドラの匣 (新字新仮名) / 太宰治(著)
呂布はッと満面の髯も髪もさかだてて、画桿大戟をふりかぶるやいな
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小坂家の玄関に於いてっと羽織を着換え、足袋をすらりと脱ぎ捨て白足袋をきちんといて水際立ったお使者振りを示そうという魂胆であったが、これは完全に失敗した。
佳日 (新字新仮名) / 太宰治(著)
広き旅店の客少なく、夜半の鐘声として、凄風一陣身に染む時、長き廊下の最端に、跫然たる足音あり寂寞を破り近着きりて、黒きものとうつる障子の外なる幻影の
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
血とも見えて、ッと、自分の刀の先からね飛んだのであった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
てたり。大路の人の跫音冴えし、それも時過ぎぬ。坂下に犬のゆるもやみたり。しきり、一しきり、に、棟に、背戸のに、と来て、さらさらさらさらと鳴る風の音。
誓之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ったグラスに葡萄酒をひとりで注いでっと呑みほし、それから大急ぎでごはんをすまして、ごゆっくり、と真面目にお辞儀して、もうき消すように、いなくなってしまいます。
兄たち (新字新仮名) / 太宰治(著)
ッと、一つの松明が、下を望んで焔を振ったと思うと
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
上流の流れ白銀の光を浴び、りにみを帯びて、両側より枝えるの葉の中より走り出でて、橋杭り抜け、のあたり、ごうごうと深き瀬の音ぞ聞えたる。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
っと態度が鹿爪らしくなって、まるで、よそよそしくなってしまうものです。
誰も知らぬ (新字新仮名) / 太宰治(著)