“片破月”の読み方と例文
読み方割合
かたわれづき100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
……真黒な雲の間から時々片破月かたわれづきの顔を出すのが、恰度やつれた母の顔の様ぢやないか。……母を思へば今でも泣きたくなるが。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
眼を開けると、片破月かたわれづきに照らされた天幕の布が夜露を浴びて、しっとりと重く垂れている。湯川の谷では杜鵑ほととぎすさかんに鳴いて、断続した水声がその間からかすかに聞える。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
途端に裸ながらの手燭てしょくは、風に打たれてと消えた。外は片破月かたわれづきの空にけたり。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)