)” の例文
ほそ大根だいこを三四ほんぶらげて、今日けふ御馳走ごちそうつてたとつて、それを宜道ぎだうてもらつてつた。宜道ぎだう宗助そうすけその相伴しやうばんをした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
としちゃんは、はしっていって、どこからか米俵こめだわらいたのをげてきました。はらててあったとみえて、たわらしもでぬれていました。
雪の降った日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いづれも模造の品物を並べたうしろ一面、金砂子の鳥の子紙を張つた仕切壁に、紅葉山人の俳句短冊二枚を入れたふさつきの雲板をつり
来訪者 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
とさけびましたが、もうっつきませんでした。両方りょうほうのほおへ二つこぶをぶらげて、おいおいきながら、山をくだって行きました。
瘤とり (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あわてて枕許まくらもとからがったおせんのに、夜叉やしゃごとくにうつったのは、本多信濃守ほんだしなののかみいもうとれんげるばかりに厚化粧あつげしょうをした姿すがただった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
はあと嘉十かじふもこつちでその立派りつぱ太陽たいやうとはんのきをおがみました。みぎから三ばん鹿しかくびをせはしくあげたりげたりしてうたひました。
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
へゝい、お二人ふたりづれで。——旦那様だんなさまは、洋服やうふくで、それ、かたが、こゝへぶらげておいでなさる、あの器械きかいつてらしつけえ。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
みやというものは、あれはただお賽銭さいせんあげげて、拍手かしわでって、かうべげてきさがるめに出来できている飾物かざりものではないようでございます。
よくもしらべずわたしたもので、引取人の乙吉が生れつきの粗忽者であることを知らなかったせいであると、当直とうちょくは断定した。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
硝子の入れものを糸でげて、悄んぼりと歸つて來る。私は二人がより早く近づき得るために、こちらからも歩いて行つた。
金魚 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
……天狗が乘りよるわいとおもてると、何んや家根の眞ん中に穴があいて、生々なま/\しい人間の手がプランとがつた。………
太政官 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
相場さうば氣味ぎみときにやうつかりすつと損物そんものだかんな、なんでも百姓ひやくしやうしてこくんでものが一とうだよ、卵拾たまごひろひもなあ、赤痢せきりでも流行はやつててな
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
殺したに相違は有舞あるまひなと問詰とひつめられしかば段右衞門はハツと首を御意ぎよいの通り鈴ヶ森に於て三度飛脚の彌兵衞を殺し金子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
げてのわびごとなんとしてするべきならずよしやひざげればとて我親わがおやけつしてきゝいれはなすまじく乞食こつじき非人ひにん落魄おちぶるとも新田如につたごときに此口このくちくされてもたすけを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
のみならず彼の左右には小さい従兄の娘たちも二人、彼に手をひかれたまま、時々取ってつけたようにちょっとおげの頭を下げたりしていた。………
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
と、蝋燭ろふそくの火をげて身をかゞめた途端とたんに、根太板ねだいたの上の或物は一匹いつぴきの白いへびに成つて、するするとかさなつたたヽみえてえ去つた。刹那せつな、貢さんは
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
それはかたちちひさく、またこしげたかざものちひさく可愛かわいらしいので、多分たぶん王樣おうさま子供こどものおはかだらうと想像そう/″\されます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
そうして、露わな剣をねている兄の脇腹へ突き刺した。反耶はうめきながら刺された剣を握って立ち上ろうとした。が、反絵は再び彼の胸をげた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
たとへば日比谷公園ひゞやこうえんよこ道路どうろや、青山赤坂通あをやまあかさかどほりなどにゑてあるすゞげたようなのなる並木樹なみきぎとして立派りつぱなすゞかけのは、あかるい淡緑色たんりよくしよくをしてゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
さうでもないと、默つて一禮して、お膳をげてもらうといつた、お行儀はよいが、世の中のことなんにも知らない、空々寂々くう/\じやく/\のあんぽんたんであつたのだ。
日本橋あたり (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
大岡様のお眼がねに添うあっしだ、ちゃんとこのとおり、出羽様のおげ金といっしょに胴巻きへ包んで——
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
それにおうじて、あなたこなたのうちから、ワラワラワラけだしてくる。みんな同じげがみの少女、みんな同じ年ごろの少女、みんな凜々りりしい紅頬こうきょうの少女。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
実際その花はちょうどいかりげたようなおもしろい姿をていしているので、この草を庭にえるか、あるいは盆栽ぼんさいにしておき、花を咲かすと、すこぶるおもむきがある。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
振返ふりかえればむねひか徽章きしょうやら、勲章くんしょうやらをげたおとこが、ニヤリとばかり片眼かためをパチパチと、自分じぶんわらう。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「いよいよもってがりましたな。下がったついでに食い物の詮議だ。ぼらにかれいにあさりなどが、そろそろしゅんにはいりましたな。鳩飯はとめしなどは最もおつで」
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
これをとらえる子供らが「オボー三尺ンがれよ」という、極めて幽暗な唄を歌ったと記してあった。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「御覽の通り、頸には、絞め殺した時のひもあとが付いて居るが、それで見ると、刀のか前掛の紐か、——兎に角、恐ろしく丈夫な一風み方の變つた眞田紐さなだひもだ」
よし、とばかり刀のをとってたすきにかけ、はかま股立ももだちを取りながら先方の浪人を見ると、その身構えがまるで素人しろうとだ。掛け声勇ましくこちらは飛び込んで行った。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
くちでは意志ゐし自由じゆうだとか、個人こじん權威けんゐだとか立派りつぱなことは云ツてゐるものゝ、生活せいくわつめにはこゝろにもない業務ぎやうむを取ツたり、げなくても可い頭も下げなければならない。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
わたりは二十間あまり、橋のひろさは三尺にたらず、欄杆らんかんはもとより作らず、橋を渡りてむかひの岸に藤綱ふぢづなを岸の大木にくゝしげてあり。これすがりて岸にのぼるたよりとす。
「おい河野かうの‥‥」と、わたしへん心細こころほそさとさびしさを意識いしきして、右手みぎていてことばけたが、河野かうのこたへなかつた。くびをダラリとまへげて、かれねむりながらあるいてゐた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
主が年の頃は十七八になりもやせん、身には薄色に草模樣を染めたる小袿こうちぎを着け、水際みづぎは立ちしひたひよりたけにも餘らん濡羽ぬれは黒髮くろかみ、肩に振分ふりわけてうしろげたる姿、優に氣高し。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
雨上りの夜の天地は墨色すみいろの中にたっぷり水気をとかして、つやっぽい涼味りょうみ潤沢じゅんたくだった。しおになった前屈まえかがみの櫓台の周囲にときどき右往左往する若鰡わかいなの背が星明りにひらめく。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
英語えいごたまへ!』とつて小鷲こわしは、『そんなながッたらしいこと半分はんぶんわからない、いくつたつて駄目だめだ、いづれもしんずるにらん!』つて微笑びせうかくすためにあたまげました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
切りげの老婦人が一人、寺の片隅に居るだけで、塗り骨のまいら戸のある玄関から庭に面した部屋々々まで、全部を或る役人に貸して居るので、そこの子供が私の友達であった。
「田賣らうにも、がつてるし、第一けふは不景氣で買ひ手があろまい。」
「鱧の皮 他五篇」解説 (旧字旧仮名) / 宇野浩二(著)
松本がいうと、葉撰部のおげにしたまだ子供子供した一人が、早口でしゃべった。
工場新聞 (新字新仮名) / 徳永直(著)
私にげて下さい。葬儀会社の手へ移して早速葬式の準備をしたいと思います
土から手が (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
忘られない様な見開いた眼と長い「えり足」を持って居る人だったけれ共横から見る唇がたるんでシまりなくがって居たので一目見ただけで千世子の心の喜びはあとかたもなく消えると
千世子(二) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
げられたものは、一人々々ひとり/\検疫医けんえきいならんだ段階子だんばしごしたとほつてうへく。『ミストル・アサヤーマ』。「ヤ」で調子てうしげてすこつて「マ」でげる。成程なるほどやまのやうにきこえる。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
島田虎之助の門下で、大石進の故智を学んで、刀を以てばりを突くの精妙を極めていることも知る人は知るであろうが、ここの見物はそんなことは知らず、米友も無論そんなことは知らず。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
二度目には右の肩よりげたるが、これにてもなお死絶しにたえずしてあるところへ、里人さとびとら驚きてせつけ倅をおさえ直に警察官をびてわたしたり。警官がまだ棒を持ちてある時代のことなり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
爺さんは徳利とくりげて、禿頭を日に光らせながら踏板を伝つて行つた。
(新字旧仮名) / 田山花袋(著)
土壁の部の深さを六尺位にせしとする者は、先づ地面を四尺計りげ、堀り出したる土を以て高さ二尺計りの堤を築き廻らせしならん。堤の一部分には切り開きたる所有り。出入口なるべし。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
そうって子家鴨こあひるまわりにあつまってました。子家鴨こあひるはみんなにあたまげ、出来できるだけうやうやしい様子ようすをしてみせましたが、そうたずねられたことたいしては返答へんとう出来できませんでした。野鴨達のがもたちかれむかって
また反對はんたい爲替相場かはせさうば騰貴とうき道程だうていにある場合ばあひには日本品にほんひん賣値うりねげずにどう一としておくには輸入國ゆにふこく貨幣買値くわへいかひね段々だん/\引上ひきあげてたかはすことになるのであるから商賣しやうばいがしにくくなることは事實じじつである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
早くも食うてしまって出て来たり、さようなら行ってまいります、と肩ぐるみに頭をついと一ツげて煙草管きせるを収め、壺屋つぼや煙草入りょうさげ三尺帯に、さすがは気早き江戸ッ子気質かたぎ草履ぞうりつっかけ門口出づる
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
岩崎弥太郎いはさきやたらうさんとかたらツしやいまして、あの旦那様だんなさまが針の山をはらげて、その山をくづしたつちで血の池をめてしまひ、今ではたひらで、彼処あすこが公園にりまして、誠に面白おもしろうございますよ
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
中年ちゆうねんの心にはさんの糸げてくこそ
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
まえ頭髪かみげておくれ!