“下婢”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かひ57.6%
おんな10.1%
はしため5.1%
はした4.0%
げぢよ4.0%
おさん4.0%
げじょ3.0%
をんな2.0%
しもめ2.0%
すえ2.0%
をなご1.0%
アイヤン1.0%
おなごし1.0%
げじよ1.0%
げび1.0%
しもべ1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
夜は兵をあつめて宿舎の周囲を守らせ、妻を室内に深く閉じ籠めて、下婢かひ十余人を付き添わせて置くと、その夜は暗い風が吹いた。
ずお雪が乗った。娘は、父に抱かれながら門の外へ出て、母の手に渡された。下婢おんなは乳呑児の種夫を連れて、これも車でその後にしたがった。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ローラなどはロミオが愛姫ひめくらべては山出やまだしの下婢はしためぢゃ、もっとも、うただけはローラがはるかに上等じゃうとうのをつくってもらうた。
しるべの燈火ともしびかげゆれて、廊下らうかやみおそろしきをれし我家わがやなにともおもはず、侍女こしもと下婢はしたゆめ最中たゞなかおくさま書生しよせい部屋へやへとおはしぬ。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
幾ら人數にんずが少ないとツて、書生もゐる下婢げぢよもゐる、それで滅多めつたと笑聲さへ聞えぬといふのだから、まるで冬のぱらのやうな光景だ。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
尻餅しりもちついて驚くところを、狐憑きつねつきめ忌々いまいましい、と駄力だぢからばかりは近江おうみのおかね、顔は子供の福笑戯ふくわらいに眼をつけゆがめた多福面おかめのごとき房州出らしき下婢おさんの憤怒
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
すると一人ひとり思付おもいつきに、この酒をの高い物干ものほしの上で飲みたいと云うに、全会一致で、サア屋根づたいに持出もちだそうとした処が、物干の上に下婢げじょが三、四人涼んで居る。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
臺所に近い奧の部屋ではお婆さんや小母さんが下婢をんなを相手にしてその草餅をこしらへる、私は出來たのを重箱に入れて貰つて近所へ配りに行きました。
お姫さまにも、お内方うちかたも、みな様お変りはございませぬ。そして、あとのお屋敷の始末。下婢しもめたちから、うまやの馬まで、それぞれ、よいように、片づけ終わりました。
やかたのお下婢すえものでもあろうか、今、どこからともなく戻って来て、下部門しもべもんの外にたたずんだ人影がある。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夫よりしてお花は日夜にちや下婢をなごの中に立まじり勝手もとの事などはたらくにぞ亭主はいとゞ不便に思ひ家内の者に言つけてお花をいたはらせければ下婢をなご仲間なかまにてもお花を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かのわかき下婢アイヤンにすらされどなほゆるしたまはず。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
下婢おなごしをつまむのは、こちとらだけだと思っていたら、うでえ——」
大岡越前の独立 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
平常ふだん気の知れぬ夫の傍に居て、口さがなき下婢げじよの手前などに気をかね、一途に気を張詰めたる身ですから、たまたま嬉しき母のことばを聞いてはしみじみ母の慈愛なさけが身に徹して、イイエ、なに
こわれ指環 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
下婢げびた笑いと揶揄やゆのなかを、耳を覆った気で潜りぬけ、やっと藤屋へ走りこんだ千浪が、裾をおさえて梯子段を駈け上って、二階の部屋の障子をひらくと——。
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
侍女こしもとや、下婢しもべまでが、そこへかたまって、口々に、十八公麿の孝心をたたえた。それに、粘土こねつち仏陀ぶっだの像を作っていたということが、大人たちの驚異であった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)