下婢おさん)” の例文
尻餅しりもちついて驚くところを、狐憑きつねつきめ忌々いまいましい、と駄力だぢからばかりは近江おうみのおかね、顔は子供の福笑戯ふくわらいに眼をつけゆがめた多福面おかめのごとき房州出らしき下婢おさんの憤怒
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
下婢おさんをおそばへお置き遊ばしたとお思いなさいまして、お休みになりますまでお使いなすって下さいまし。お背中をたたきましょう、な、どうぞな、お肩をまして下さいまし。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……細君は、あから顔、横ぶとりの肩の広い大円髷おおまるまげめじりが下って、あぶらぎったほおへ、こう……いつでもばらばらとおくれ毛を下げていた。下婢おさんから成上ったとも言うし、めかけを直したのだとも云う。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今しも台所にては下婢おさん器物もの洗ふ音ばかりして家内静かに、他には人ある様子もなく、何心なくいたづらに黒文字を舌端したさきなぶおどらせなどして居し女、ぷつりと其を噛み切つてぷいと吹き飛ばし
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
今しも台所にては下婢おさん器物もの洗う音ばかりして家内静かに、ほかには人ある様子もなく、何心なくいたずらに黒文字を舌端したさきなぶおどらせなどしていし女、ぷつりとそれをみ切ってぷいと吹き飛ばし
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
つきめ忌〻しい、と駄力ばかりは近江のお兼、顔は子供の福笑戯ふくわらひに眼を付け歪めた多福面おかめの如き房州出らしき下婢おさんの憤怒、拳を挙げて丁と打ち猿臂ゑんぴを伸ばして突き飛ばせば、十兵衞堪らず汚塵ほこりまみ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)