“おさん”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:オサン
語句割合
下婢28.6%
御産14.3%
7.1%
御三7.1%
女中7.1%
下女7.1%
尾山7.1%
廚女7.1%
炊婦7.1%
阿三7.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
下婢おさんをおそばへお置き遊ばしたとお思いなさいまして、お休みになりますまでお使いなすって下さいまし。お背中をたたきましょう、な、どうぞな、お肩をまして下さいまし。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この「うき世を立つる」というのは遊蕩ゆうとう生活のことで、京ではそれをすら飯の種にしていると、太鼓持たいこもちか何かのことを言った句であるが、それをこの絵本には眼鏡めがねの老人が御産おさん枕屏風まくらびょうぶの外で
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
絹足袋の、しずかな畳ざわりには、客の来たのを心着かなかった鞠子のおさんも、旦那様の踏みしだいて出る跫音あしおとに、ひょっこり台所だいどこから顔を見せる。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
茶棚のわきふすまを開けて、つんつるてんな着物を着た、二百八十間の橋向う、鞠子辺まりこあたりの産らしい、十六七のおさんどんが
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
よくよく考えて見るとそれは御三おさんの顔である。ついでだから御三の顔をちょっと紹介するが、それはそれはふくれたものである。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
主人はかしこまって直ちに御三おさんを車屋へ走らせる。老人は長々と挨拶をしてチョン髷頭まげあたまへ山高帽をいただいて帰って行く。迷亭はあとへ残る。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
渾名をたこと云って、ちょんぼりと目の丸い、額に見上げじわ夥多おびただしいおんなで、主税が玄関に居た頃勤めた女中おさんどん。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
長火鉢のわきの釣洋燈の下に、ものの本にも実際にも、約束通りの女中おさんの有様。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「娘さんも小婢こおんなも遁がした。下女おさんどんは一所に手伝った。」
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鎌倉時代には、ここの檜が都へ送られ、仏師の彫刀に刻まれたらしい史証もあるとか。で、観心寺には、尾山おさんの山号もある。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
白い前垂まえだれした廚女おさんがキャベツ菜の籠を抱えて、背戸を歩行あるくのは見えるし……
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
及ばぬ恋の無駄ながふもやすよりは、妄想をデツチ上げた恋愛小説でも作つて、破鍋われなべにトヂ蓋の下宿屋の炊婦おさんでもねらつたらからう。はツはツ、顔を赤くするナ。怒る。怒る勿。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
台所の阿三おさんどんがまさにこれを了承りょうしょうするの日は、明治百年の後もなお覚束おぼつかなし。
小学教育の事 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)