“おんな”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
29.9%
12.7%
10.7%
婦人10.5%
7.7%
5.5%
情婦3.3%
御名2.6%
女子2.0%
婦女1.7%
女性1.6%
下婢1.4%
女中1.0%
遊女0.9%
下女0.7%
恩納0.6%
芸妓0.4%
妓女0.4%
少婦0.4%
0.4%
婢女0.4%
売女0.3%
侍女0.3%
女人0.3%
女郎0.3%
0.3%
娼婦0.3%
情女0.3%
法諱0.3%
家婢0.1%
私娼0.1%
0.1%
使女0.1%
女客0.1%
婦女子0.1%
0.1%
容貌0.1%
小女0.1%
恋女0.1%
恩阿0.1%
成女0.1%
楼婢0.1%
淫売0.1%
淫売婦0.1%
0.1%
芸者0.1%
酌婦0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
もなく、おんなのマリちゃんが、いまちょうど、台所だいどころで、まえって、沸立にえたったなべをかきまわしているおかあさんのそばへました。
このおんなの日頃ねんじたてまつる観音出でて僧とげんじ、亡婦ぼうふの腹より赤子をいだし、あたりのしずにあづけ、飴をもつて養育させたまひけり。
小夜の中山夜啼石 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
「江戸詰の頃、他藩のお留守居とともに吉原とやら参って、ひどう、おんなにもてなされ、帰されないで、弱ったことがあるといいおる」
べんがら炬燵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見る間に不動明王の前に燈明あかしき、たちまち祈祷きとうの声が起る。おおしく見えたがさすがは婦人おんな,母は今さら途方にくれた。
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
ギンは一しょうけんめいに二人を見くらべましたが、二人とも顔もせいも着物もかざりも、そっくりおんなじで、ちっとも見わけがつきません。
湖水の女 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
病める老人としよりの用しげくおんなを呼ばるるゆえ、しいて「わたくしがいたしましょう」と引き取ってなれぬこととて意に満たぬことあれば
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
若旦那さまに幾ら辛くされようとも、もとの身分を考えれば何も云う処はございません、それは男の楽しみゆえ一人や二人情婦おんなの有るは当前あたりまえ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
かつて、白河上皇の寵幸ちょうこうをうけた身であるというほこりが、かの女の心の骨格になっているらしい。すぐ、白河の御名おんなを口に出す。
二十三年前に捨てた女子おんなに似て居るところは無いか。母親はお前に捨てられてから、犬のように十年も生きて居たよ。
死の予告 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
そうするうちわたくし岩屋いわや修行場しゅぎょうばから、やま修行場しゅぎょうばすすみ、やがて竜宮界りゅうぐうかい訪問ほうもんんだころになりますと、わたくしのような執着しゅうじゃくつよ婦女おんなにも
長く男一人でいれば、女性おんなも欲しくなるから、矢張し遊びにも行った。そうかと言って銭が無いのだから、好くって面白い処には行けない。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
下婢おんなの敷いて行った寝具よるのものは、彼の手で畳まれ、部屋の片隅に置かれてあった。女を待つに寝ていてはと、彼の潔癖性が、そうさせたものらしい。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
女中おんなは戸を立て、火鉢ひばちの炭をついで去れば、老女は風呂敷包ふろしきづつみを戸棚とだなにしまい、立ってこなたに来たり
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
「そしてまた……。正成は今上きんじょうの御一方にちかいまいらせた一朝臣あそん。さよう、江口の遊女おんなのように、世を浮舟と渡る上手なすべは知り申さぬと」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
口々に急立せきたてらるるせわしさに、三人四人の下女おんなは居たれど、我も客間へ用聞きにゆく事もありしに。
葛のうら葉 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
貧家記ひんかき』などを物した平敷屋朝敏へしきやちょうびんも、仲島のよしや、恩納おんななべ等の女詩人も、この時代に輩出致しました。
琉球史の趨勢 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
店先を出て行くと、男は、中折帽のやまへ手をやりながら、往来を見わたして、向うの角に見えた豆菊と芸妓おんなの方へ、大股にあるき出した。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
招ばれて来た町方の妓女おんなを擬し、白拍子のしずかの仮装をした、織江がそこに坐ってい、桐島伴作が付いていた。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「あの若い芸者はどうしましたろう——達雄さんが身受をして連れて行ったという少婦おんなが有るじゃありませんか」
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
俺は国のために身をささげてるんだ。もうおんななんかには会わねえ、ねえ……うん……そうだ、会わねえ。だがかまわねえ、さあおもしれえぞ。みな戦おうじゃねえか、もう圧制はたくさんだ!
「こっちへ。」と婢女おんなが、先に立って導きました。
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
背が高く、手脚が長くそして、痩せているので、岡場所などを通ると売女おんなたちが
魚紋 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
寧子にとって、めずらしいものは、西や東の、あちこちに、つぼね侍女おんなたちにかこまれている良人の側室のたれかれを、きょうは一だん高いところから、目静めしずかに、観察していられることだった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その間に、こんなにも、こんなにも、女人おんなの出る道は進展した——
遠藤(岩野)清子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
男たちは、帳場寄りの部屋に、女郎おんなたちは、中庭の向うの部屋に。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こう云われると娘達は今までの剛情や夜遊びをやめて、善いおんなの子になるのであった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
羅はそれに惑溺わくできして通っていたが、そのうちに娼婦おんなは金陵へ返っていった。
翩翩 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
「無理にも感激しようとすると、親友なるものが邪魔をする」「え? 親友が邪魔をするって?」「恋も一つの感激だ。せっかく情女おんなを見つけると、親友が邪魔をしてひき放してしまう」
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
法諱おんなを聞けばそのころの三歳児みつごも合掌礼拝すべきほど世に知られたる宇陀うだ朗円上人ろうえんしょうにんとて、早くより身延みのぶの山に螢雪けいせつの苦学を積まれ、中ごろ六十余州に雲水の修行をかさね
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そこでは最早老婦人の姿は見えず、細君も留守で、二人の子供が家婢おんなを相手に淋しそうにしていた。ブロッスの老教授の家へ行って見た。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
石造の歩道を踏む音をさせて窓の外を往来ゆききする人達も、その珈琲店の店先へ来て珈琲の立飲をして行く近所の家婢おんなも、帳場のところへ来て話し込む労働者もしくはお店者風たなものふうの仏蘭西人も
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
嫖客の群れの往来する姿が、出入り口の暖簾のれんの隙から見える。と、時々チュッチュッというなまめかしい私娼おんなの口を鳴らす音が、嫖客の駄洒落や鼻唄もまじって、二人の耳へまで届いて来た。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「火事でござるぞ、お逃げなされ! 庄田氏、菰田氏お逃げなされ!」奥の部屋で私娼おんなと飲んでいるはずの、二人の門弟へ声を掛けておいてお粂を背後に従えて、露路を一方へ突っ走って
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
冷吉は窓から椅子を入れる女の影を、夕方鳥を逃がすために窓に近づくグレツチエンを見ると同おんなじに心に畫いた。目に見ぬ女故、どのやうに畫くとも差しつかへはなかつた。
赤い鳥 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
陶然とよき心地ここちになりて浴をで、使女おんなはお平生服ふだんぎを無造作に引きかけて、葉巻握りし右手めての甲に額をこすりながら、母が八畳の居間に入り来たりぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
車夫「何しろ昨日きのう沢渡までの仕事で、えらくバアーテルから、女客おんなでも何うもとても挽けねえよ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
これを聞ける乗り合いは、さなきだに、何者なるか、怪しき別品と目を着けたりしに、今この散財きれはなれ婦女子おんなに似気なきより、いよいよ底気味悪くいぶかれり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「そりゃあもとは、あなたのお内儀だったかもしれませんが、今では、お高は、この若松屋のおんなでございます。どうかお手をお引きねがいましょう」
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
○「へえーうちに居たんだね、容貌おんなうごぜえやしたろうね、容貌おんなは」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
その内、ある日の事でした。十五六ばかりの小女おんなが、どこからか手紙を持つて使ひに参りました。
こわれ指環 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
「白々しい三ピン! 何を云うか! ……親分の恋女おんな、お浦を誘惑そそのかし、五郎蔵一家の守護神、天国の剣を持ち出させながら、白々しい! ……」
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
武蔵ノ国の住人、人見四郎恩阿おんな、生年七十三歳
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
港随一の貞女とうたわれていた母御は、あたら、まだ成女おんなざかりを、われとわが身を殺してしまわれたのじゃ——な、雪之丞、それを忘れはいたされまいな?
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
しかるに今の人は日本の料理屋へ行くと楼婢おんなに三十銭も五十銭もはずむ癖に西洋料理屋へ往って給仕人に十銭銀貨の一つも遣らないような人さえ折々まだあるようです。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
すると昨夕から今朝にかけて美しいお宮が普通あたりまえ淫売おんなになって了った。口の利きようからして次第に粗末ぞんざいな口を利いた。自分の思っていたお宮が今更に懐かしい——。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
つまり、八〇パーセントは淫売婦おんなところ——という意味です。』
カンカン虫殺人事件 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
おとこの猿、おんなの猿、子を抱いた猿、老いたる猿——猿の数は千にも余るであろうか、ことごとく地にひざまずき、王なる卯ノ丸の真似まねをして、胸に両手を合せていた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
芸者おんなは、私の微笑ほほえんでいる顔を見て笑い笑いいう。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
接待とりもちの村嬢や酌婦おんななどが、銚子を持って右往左往し、拒絶ことわる声、進める声、からかう声、笑う声、景気よさは何時いつまでも続いた。
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)