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婦人
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おんな
ふりがな文庫
“
婦人
(
おんな
)” の例文
はたと、これに空想の
前途
(
ゆくて
)
を
遮
(
さえぎ
)
られて、驚いて
心付
(
こころづ
)
くと、
赤楝蛇
(
やまかがし
)
のあとを過ぎて、
機
(
はた
)
を織る
婦人
(
おんな
)
の
小家
(
こいえ
)
も通り越していたのであった。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
見る間に不動明王の前に
燈明
(
あかし
)
が
点
(
つ
)
き、たちまち
祈祷
(
きとう
)
の声が起る。おおしく見えたがさすがは
婦人
(
おんな
)
,母は今さら途方にくれた。
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
ホラ、この町を毎日のようにうろうろした変な
婦人
(
おんな
)
が有りましたろう。皆さんで『カロリイン夫人』だなんて
綽名
(
あだな
)
をつけた婦人が有りましたろう。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
縁の広い帽子といい、背恰好といい、どうしてもその
婦人
(
おんな
)
に違いない。坂口は或事を考えて急に険しい顔付になった。
P丘の殺人事件
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
而して
寂
(
さび
)
しい初冬の日ざしの中に立って、莫連お広の生涯を思い、もっと良い
婦人
(
おんな
)
になるべき素質をもちながら、と私は残念に思うのでありました。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
長の
年月
(
としつき
)
、この私が
婦人
(
おんな
)
の手一ツで頭から足の
爪頭
(
つまさき
)
までの事を世話アしたから、私はお前さんを御迷惑かは知らないが血を分けた
子息
(
むすこ
)
同様に思ッてます。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
寝台の上でちょっと半身をもたげると、相当年配の
婦人
(
おんな
)
で、コーヒーの大好きな自分の女房が、いま焼けたばかりのパンを
竈
(
かまど
)
から取り出しているのが眼についた。
鼻
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「先生、お
寝
(
やす
)
みですか」と言いながら私の
室
(
へや
)
にはいって来たのは六蔵の母親です。背の低い、
痩形
(
やせがた
)
の、頭の
小
(
ち
)
さい、
中高
(
なかだか
)
の顔、いつも歯を染めている昔ふうの
婦人
(
おんな
)
。
春の鳥
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「あの
婦人
(
おんな
)
が——いや、あの婦人の歌が、秩父行きの原因でな。……秩父の
郡
(
こおり
)
小川村逸見様庭の桧の根、昔は在ったということじゃ。——と云うあの婦人のうたう歌が」
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「ああつらい! つらい! もう——もう
婦人
(
おんな
)
なんぞに——生まれはしませんよ。——あああ!」
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
數「いや連れて来たよ、二人次の間に
居
(
お
)
るが、せめて
皷
(
つゞみ
)
ぐらいはなければなるまいと思って、婦人で皷を
能
(
よ
)
く打つ者があって、幸いだから、
私
(
わし
)
が其の
婦人
(
おんな
)
を連れてまいった」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
迚
(
とて
)
も正面から
仰
(
あお
)
ぎ
視
(
み
)
るべからざる恐しい顔で、大抵の
婦人
(
おんな
)
小児
(
こども
)
は正気を失うこと
保証
(
うけあい
)
だ。
画工と幽霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
姿なり、いでたちなり、
婦人
(
おんな
)
というものはなるたけ男の眼を
惹
(
ひ
)
きつけるように装うてそれでやがて男の力によって生きようとするのだ。男の思いを惹こうとするところに罪がある。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
強ひては迎へず来ればよき程に
待遇
(
もてな
)
せど、以前に変はる不愛想は、逐に金三の眼にもつきて、己れ不埓の
婦人
(
おんな
)
めとさすがの金三も怒らぬにはあらねど、流れの身には有りがちの事と
野路の菊
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
その
吼声
(
こえ
)
と、風の
呻
(
うな
)
りと、樹々を打つ雨の音を聞くと、静かな
室
(
へや
)
の
内部
(
なか
)
が一しお暖かそうに思われ、そこにじっと
黙
(
もだ
)
している
婦人
(
おんな
)
の姿が、何となく懐かしい感じをさえも与えるのであった。
犬舎
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
皆
(
みんな
)
に見つかると悪いから乃公は自分の室へ駆け上がった。三時までは戸棚の中にでも
匿
(
かく
)
れようかと考えていたら、お島が入って来た。乃公は
突然
(
いきなり
)
搦
(
かじ
)
り付いた。
婦人
(
おんな
)
と喧嘩する時には
髪
(
け
)
を引張るに限る。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「あの
婦人
(
おんな
)
をねえ……」
続俳諧師:――文太郎の死――
(旧字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
何も
彼
(
か
)
も忘れ果てて、狂気の如く、その
家
(
や
)
を
音信
(
おとず
)
れて聞くと、お柳は
丁
(
ちょう
)
ど
爾時
(
そのとき
)
……。あわれ、草木も、
婦人
(
おんな
)
も、
霊魂
(
たましい
)
に姿があるのか。
木精(三尺角拾遺)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかし落胆したからと言ッて心変りをするようなそんな浮薄な
婦人
(
おんな
)
じゃアなし、かつ通常の婦女子と違ッて教育も有ることだから、大丈夫そんな気遣いはない。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
和女
(
おこと
)
も並み並みの
婦人
(
おんな
)
に立ち
超
(
こ
)
えて心ざまも女々しゅうおじゃらぬから由ない物思いをばなさるまい。
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
この一件に横手を打って喜んだのは、せっせと夜会に通う社交界の常連で、彼らは
婦人
(
おんな
)
を笑わせるのが何より好きであるのに、その頃はとんと話の種に窮していたからである。
鼻
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
再び提灯を
点
(
とぼ
)
して
四辺
(
あたり
)
を
透
(
すか
)
し見ますれば、若い
婦人
(
おんな
)
が倒れているので恟りいたし、さては今突当ったはこの女か、よく/\急ぐことがあって気が
急
(
せ
)
いていなされたのであろう
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
森彦にも
遇
(
あ
)
わせた。三吉は更に、妻の友達にも、と思って、二人の
婦人
(
おんな
)
の
知人
(
しりびと
)
を紹介しようとした。お雪も逢ってみたいと言う。で、順にそういう人達の家を訪問することにした。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
主馬之進は頼母の弟だけに、頼母にその容貌は酷似していたが、俳優などに見られるような、厭らしいまでの色気があって、
婦人
(
おんな
)
の愛情を掻き立てるだけの、強い魅力を持っていた。
仇討姉妹笠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「あれ——河合さん
嫌
(
いや
)
だよ、よう! 堪忍してよう!」と賤しい
婦人
(
おんな
)
の
媚
(
こ
)
びるような、男の心を激しく刺激するような黄いろい声がするかと思うと、ほかの連中が、ワッと手をたたいて笑う
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
いつしか色少し
蒼
(
あお
)
ざめて髪黒々としとやかなる若き
婦人
(
おんな
)
の利発らしき目をあげてつくづくとわが顔をながめつつ「いかがでございます?」というようなる
心地
(
ここち
)
して武男が母は思わずもわななかれつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「
今日
(
こんにち
)
は、」と、声を掛けたが、フト
引戻
(
ひきもど
)
さるるようにして
覗
(
のぞ
)
いて見た、
心着
(
こころづ
)
くと、自分が
挨拶
(
あいさつ
)
したつもりの
婦人
(
おんな
)
はこの人ではない。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
婦人
(
おんな
)
の癖に園田勢子と云う
名刺
(
なふだ
)
を
拵
(
こし
)
らえるッてッたから、お勢ッ子で沢山だッてッたら、非常に
憤
(
おこ
)
ッたッけ
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
なにしろ、ああいう
気紛
(
きまぐ
)
れな人だから、種々な服装をしてみるんだろうよ……ある
婦人
(
おんな
)
があの人を評した言葉が好い、
他
(
ひと
)
が右と言えば左、他が白いと言えば黒いッて言うような人だトサ
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
手に取り見れば、年の頃
二十歳
(
はたち
)
ばかりなる
美麗
(
うつくし
)
き
婦人
(
おんな
)
の半身像にて、その愛々しき
口許
(
くちもと
)
は、写真ながら言葉を出ださんばかりなり。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
此頃
(
こないだ
)
は君、大変な
婦人
(
おんな
)
が僕の家へ舞込んで来ました」と三吉が言ってみた。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
やがてお柳の手がしなやかに
曲
(
まが
)
って、男の手に
触
(
ふ
)
れると、胸のあたりに持って居た巻煙草は、心するともなく、
放
(
はな
)
れて、
婦人
(
おんな
)
に渡った。
木精(三尺角拾遺)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
どうもあの婦人の様子がおかしいおかしいと思いました。あれは
偽
(
うそ
)
の白痴ですよ。偽の
婦人
(
おんな
)
ですよ。
白粉
(
おしろい
)
なんかをいやに
塗
(
つ
)
けてると思いましたが、今になって考えると、あれは男の顔ですよ
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
いいも終らざるに
婦人
(
おんな
)
は答えぬ。「あれかい、あれは私の宿六——てッちゃあお
前様
(
まえさん
)
に解るまい。くわしく
謂
(
い
)
えば亭主のことさ。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それに
対
(
むか
)
って、サッパリと
汗不知
(
あせしらず
)
でも附けようとすると、
往時
(
むかし
)
小泉の
老祖母
(
おばあさん
)
が六十余に成るまで身だしなみを忘れずに、毎日薄化粧したことなどが、昔風の
婦人
(
おんな
)
の手本としてお種の胸に浮んだ。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
同時に、
戸外
(
おもて
)
を
山手
(
やまて
)
の
方
(
かた
)
へ、からこん/\と
引摺
(
ひきず
)
つて行く
婦人
(
おんな
)
の
跫音
(
あしおと
)
、私はお辻の
亡骸
(
なきがら
)
を見まいとして
掻巻
(
かいまき
)
を
被
(
かぶ
)
つたが、案外かな。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
この人は、
婦人
(
おんな
)
を
虐
(
しいた
)
げた罪を知って、朝に晩に
笞
(
しもと
)
の
折檻
(
せっかん
)
を受けたいのです。一つは世界の女にかわって、私がその
怨
(
うらみ
)
を晴らしましょう。
山吹
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「そんな
吝
(
けち
)
じゃアありませんや。お
望
(
のぞみ
)
なら、どれ、附けて上げましょう。」と
婦人
(
おんな
)
は切の端に銀流を
塗
(
まぶ
)
して、滝太郎の手を
密
(
そっ
)
と取った。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今この
婦人
(
おんな
)
に
邪慳
(
じゃけん
)
にされては木から落ちた猿同然じゃと、おっかなびっくりで、おずおず控えていたが、いや案ずるより
産
(
うむ
)
が安い。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
続いて
歩行
(
ある
)
き出すと、向直ってこっちへ帰って来るから、私もまた立停るという工合、それが三度目には擦違って、
婦人
(
おんな
)
は刎橋の処で。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
愛吉は心なく
垣間見
(
かいまみ
)
た人に顔を見らるるよう、思いなしか、附添の
婦人
(
おんな
)
の胸にも物ありげに取られるので、うつむいては
天窓
(
あたま
)
を掻いた。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
婦人
(
おんな
)
だちも納得した。たちまち雲霧が晴れたように、心持もさっぱりしたろう、急に
眠気
(
ねむけ
)
が
除
(
と
)
れたような気がした、勇気は一倍。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
納戸へ
転込
(
ころげこ
)
んで胸を打って歎くので、一人の
婦人
(
おんな
)
を待つといって居合わせたのが、笑いながら駆出して湯の谷から
救
(
すくい
)
に来たのであった。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
綾子は太き
呼吸
(
いき
)
を
吐
(
つ
)
き、「ああ是非がない。吉造、その手を放しておやり、三太夫、その
婦人
(
おんな
)
は私を殺すよ、しかし大切なお客様だ。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
婦人
(
おんな
)
は
同伴
(
つれ
)
の男にそう言われて、時に頷いたが、
傍
(
かたわら
)
でこれを見た松崎と云う、
絣
(
かすり
)
の羽織で、鳥打を
被
(
かぶ
)
った男も、共に心に頷いたのである。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
おいら五六人で宿営地へ急ぐ途中、
酷
(
ひど
)
く
吹雪
(
ふぶ
)
く日で眼も口もあかねえ雪ン中に
打倒
(
ぶったお
)
れの、半分埋まって、ひきつけていた
婦人
(
おんな
)
があったい。
海城発電
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
十人目に十三年生きていたという評判の
婦人
(
おんな
)
が一人、それは
私
(
わたくし
)
もあの辺に参りました時、饅頭を買いに寄りましてちょっと見ましたっけ。
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(いいえ誰も見ておりはしませんよ。)と
澄
(
すま
)
して言う、
婦人
(
おんな
)
もいつの間にか
衣服
(
きもの
)
を脱いで全身を
練絹
(
ねりぎぬ
)
のように
露
(
あらわ
)
していたのじゃ。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「まあ、あられもない
扮装
(
なり
)
をしてどうしたというのだろう。
好
(
よ
)
く御覧、秀に限ってそういう取乱した風をする
婦人
(
おんな
)
じゃないよ。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その時、打合せの帯を両手に取って、床に膝をつきついてお夏の前に廻ったのは、
先刻
(
さっき
)
から控えていたかの円髷の
婦人
(
おんな
)
であった。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“婦人”の解説
夫人
婦人(ふじん)はくだけた呼び方であり、これは敬称ではない。
正しい敬称はご婦人(ごふじん)であり英語圏ではMs.に相当する。
一般的には成人女性全般または大人の女性への敬称である。上流階級の女性には貴婦人があてがわれる。
類似する意味には成人女性全般を意味する婦女(ふじょ)は汎用性の高い女性と同義である。
(出典:Wikipedia)
婦
常用漢字
小5
部首:⼥
11画
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
“婦人”で始まる語句
婦人達
婦人等
婦人服
婦人科
婦人像
婦人用
婦人外套
婦人患者
婦人速記者
婦人会