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婦
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おんな
ふりがな文庫
“
婦
(
おんな
)” の例文
不気味に
凄
(
すご
)
い、魔の小路だというのに、
婦
(
おんな
)
が一人で、湯帰りの
捷径
(
ちかみち
)
を
怪
(
あやし
)
んでは
不可
(
いけな
)
い。……実はこの小母さんだから通ったのである。
絵本の春
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この
婦
(
おんな
)
の日頃ねんじ
奉
(
たてま
)
つる観音出でて僧と
現
(
げん
)
じ、
亡婦
(
ぼうふ
)
の腹より赤子を
出
(
いだ
)
し、あたりの
賤
(
しず
)
の
女
(
め
)
にあづけ、飴をもつて養育させたまひけり。
小夜の中山夜啼石
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「へ、お火鉢」
婦
(
おんな
)
はこんなことをそわそわ言ってのけて、忙しそうに
揉
(
もみ
)
手をしながらまた眼をそらす。やっと銀貨が出て
婦
(
おんな
)
は帰って行った。
城のある町にて
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
しかし
婦
(
おんな
)
の
裔
(
すえ
)
より
出
(
い
)
ずる者がサタンの
頭
(
かしら
)
を砕くであろうと、その時すでに神は宣言せられたのであった(創世記三の一五)。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
部落前あたりの路傍で子供達が縄飛びをし、朝鮮服の下に下駄をつっかけた
婦
(
おんな
)
達が路地の中をうろうろ動き廻っていた。
親方コブセ
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
▼ もっと見る
五十あまりの、品のよい
婦
(
おんな
)
が、古塚のような小丘の裾に佇んでいたが、すぐに寄って来た。それへ娘は何やら囁いた。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それで
婦
(
おんな
)
のつとめは果されたと思うかも知れませんが、それはかたちの上のことにすぎません、本当に大切なものはもっとほかのところにあります。
日本婦道記:梅咲きぬ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
夕飯の頃には、針仕事に通って来ている
婦
(
おんな
)
も帰って行った。書生は電話口でしきりとガチャガチャ音をさせていた。
刺繍
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
北方の狐の
祟
(
たた
)
りは、なおいろいろのことをして追いだすことができるが、
江蘇浙江
(
こうそせつこう
)
地方の五通に至っては、民家に美しい
婦
(
おんな
)
があるときっと
己
(
おのれ
)
の所有として
五通
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
峠路で時々炭売の
婦
(
おんな
)
たちに出あうことがある。彼女等は一様に誰も皆山袴を穿き、負子に空俵を結びつけてあったり提灯や菅笠などを吊してあったりする。
茸をたずねる
(新字新仮名)
/
飯田蛇笏
(著)
殺生
(
せっしょう
)
もなさらず、肉も食わず、妻も持たず、まるで生きた仏様みたようでございますよ。心の内で人を
呪
(
のろ
)
う事もなければ、
婦
(
おんな
)
を見て色情も起こりませぬのでな。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
(ただ念仏を)彼女の教養と
婦
(
おんな
)
の道は、したがって、まだ
処女
(
おとめ
)
のころから信仰がその根本になっていた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
婦
(
おんな
)
よなにゆえに
哭
(
な
)
くや。」——「わが主を取りし者ありていずこに置きしかを知らざればなり。」
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
『されど我なんじらに告げむ、およそ
婦
(
おんな
)
を見て色情を起す者は、心の中すでに姦淫したるなり。』
クロイツェル・ソナタ:01 クロイツェル・ソナタ
(新字新仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
七瀬殿のことを、悪し様に申してはよくないが、嫁しては夫に従う、これが、
婦
(
おんな
)
の道でござろう。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
ドクトル、アンドレイ、エヒミチはベローワと
云
(
い
)
う
婦
(
おんな
)
の
小汚
(
こぎた
)
ない
家
(
いえ
)
の一
間
(
ま
)
を
借
(
か
)
りることになった。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
家の隅になった赤い実の見える柿の木の下へ、
嬰児
(
あかんぼ
)
を負った
婦
(
おんな
)
が来た。それは孫
女
(
むすめ
)
であった。
地獄の使
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
影写
(
ママ
)
の合間には地方の有力者が立って、南極探検の説明やら挨拶やらをするが、淳朴なる田舎の
婦
(
おんな
)
子供
(
こども
)
を動かすには余りに学術的に
亘
(
わた
)
り、その効果は認められないようであった。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
筒袖の
単衣
(
ひとえ
)
着て
藁草履
(
わらぞうり
)
穿
(
は
)
きたる農民の
婦
(
おんな
)
とおぼしきが、鎌を手にせしまま
那処
(
いずく
)
よりか知らず我らが前に現れ出でければ、そぞろに
梁山泊
(
りょうざんぱく
)
の朱貴が酒亭も思い合わされて打笑まれぬ。
知々夫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
然
(
さ
)
れば既に半右衞門の妻では無く、離縁したも同じ事で、離縁した
婦
(
おんな
)
は
仮令
(
たとえ
)
無瑕
(
むきず
)
でも、長二郎のために母で無し、まして大悪無道、夫を殺して奸夫を引入れ、財産を
押領
(
おうりょう
)
いたしたのみならず
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
病人か狂人かと思われる様な蒼い顔をした眼のぎょろりとした五十余の
婦
(
おんな
)
が、案内を請う彼の声に出て来た。会堂を借りて住んで居る人なので、一切の世話をする石山氏の宅は直ぐ奥だと云う。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
愛宕
(
あたご
)
の山蔭に短い秋の日は次第にかげって、そこらの茶見世から茶見世の前を、破れ三味線を
弾
(
ひ
)
きながら、哀れな声を絞って
流行唄
(
はやりうた
)
を歌い、物を
乞
(
こ
)
うて歩く
盲
(
めし
)
いた
婦
(
おんな
)
の音調が悪く
腸
(
はらわた
)
を断たしめる。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
自分で正気づいたと、心が
確
(
たしか
)
になった時だけ、
現
(
うつつ
)
の
婦
(
おんな
)
の
跫音
(
あしおと
)
より、このがたがたにもう
堪
(
たま
)
らず、やにわに
寝台
(
ねだい
)
からずるずると落ちた。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
水番というのか、
銀杏返
(
いちょうがえ
)
しに結った、年の
老
(
ふ
)
けた
婦
(
おんな
)
が、座蒲団を数だけ持って、先に立ってばたばた敷いてしまった。
城のある町にて
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
元三
(
ウォンサミ
)
の小屋から呶鳴るような歌声がちぎれちぎれに響いて来る。爺が喉笛を上げて歌うのだ。その後から
婦
(
おんな
)
や男達の笑い声がどっとふるえ出たりする。
土城廊
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
独りで寝ることが辛かったので、海端の紅燈家を
訪
(
おとな
)
って
婦
(
おんな
)
と寝た。二十二日には「ヒ」と「タ」とが送別の宴を張ってくれた、その夜「ヒ」の家に泊った。
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
切る奴は他にある、
汝
(
おのれ
)
らは切らぬ、安心せい……
鴫澤主水
(
しぎさわもんど
)
を探し出し、ただ一刀に返り討ち!
婦
(
おんな
)
、お妻を引きずり出し、主水ともども二太刀で
為止
(
しと
)
める。
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼は七層ばかりある
建築物
(
たてもの
)
の内の第一階の戸口のところで、年とった
壮健
(
じょうぶ
)
そうな
婦
(
おんな
)
の赤黒い朝の
寝衣
(
ねまき
)
のままで出て迎えるのに逢った。その人が下宿の
主婦
(
かみさん
)
であった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「その
婦
(
おんな
)
ならここに来て三月になるが、今は病に罹って寝ている」
美女を盗む鬼神
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
それがために家中の
婦
(
おんな
)
が皆ふきだした。
嬰寧
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
余計な事でございますがね——
性
(
しょう
)
が知れちゃいましても、何だか、
婦
(
おんな
)
の二人の姿が、鴛鴦の魂がスッと抜出したようでなりませんや。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
先刻の
婦
(
おんな
)
が煙草盆を持って来た。火が
埋
(
うず
)
んであって、暑いのに気が利かなかった。立ち去らずにぐずぐずしている。
城のある町にて
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
その時ふと私達の目には白い着物を着た
婦
(
おんな
)
達が四五人、遠く砂浜を歩いて来るのが見えた。丁度夕焼頃となり、それが
迚
(
とて
)
も美しく映えて見えるのだった。
玄海灘密航
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
昨日は
婦
(
おんな
)
を買った。
嗽
(
せき
)
は未だ止まぬ。家を変えねばならぬ。東京へ帰ろう。小説「裸婦」にかかるだろう。暫くは又浄書だ、ばかなことだ。末子を嫁に貰おう。
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「何⁉」と
婦
(
おんな
)
はそれを聞くとその顔色を
颯
(
さっ
)
と変え、「それではあなたには木曽のお館義明公の執事職主人勝りの智恵者といわれた花村殿のご子息の右門殿と申されるか」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
弟、娘、甥、姪などの視線は、過去った記憶を
生命
(
いのち
)
としているような不幸な
婦
(
おんな
)
の方へ集った。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
すると風呂桶から出ようとしている
婦
(
おんな
)
が云った。
蟹の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
陰惨
忍刻
(
にんこく
)
の趣は、元来、この
婦
(
おんな
)
につきものの影であったを、身ほどのものが気付かなんだ。なあ、
布気田
(
ふげた
)
。よしよし、いや、村の
衆
(
しゅ
)
。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
古釘のように曲った老人の首や、
蚕
(
かいこ
)
のように
跼
(
せぐくま
)
っている
吃
(
どもり
)
男の背中や、まどろんでいる
婦
(
おんな
)
の胸倉や、蒼白い
先達
(
ソンダリ
)
の吊上った肩を、切傷のような月が薄淡く照らした。
土城廊
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
憎くない
婦
(
おんな
)
からのこの仕向けであった。四十五歳の、分別のある嘉十郎ではあったが
甲州鎮撫隊
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
食事の済む頃に、婆さんは香ばしく入れた茶と、
干葡萄
(
ほしぶどう
)
を小皿に盛って持って来て、食卓の上に置いた。それを主人に勧めながら、お針に来ている
婦
(
おんな
)
の置いて行ったという話をした。
刺繍
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
昔も近江街道を通る
馬士
(
まご
)
が、橋の上に立った見も知らぬ
婦
(
おんな
)
から、十里
前
(
さき
)
の一里塚の松の下の
婦
(
おんな
)
へ、と手紙を一通ことづかりし事あり。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
婦
(
おんな
)
は目に
角
(
かど
)
を立て蒼い火を
点
(
とも
)
している。支械を下ろして先達は頼むように弱々しく叫んだのである。
土城廊
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
「さような訳でございますなら、
侍冥利
(
さむらいみょうり
)
に
適
(
かな
)
いました立派な行いではございませぬか。それはそれとして鳰鳥とかいう、殿を
騙
(
たぶら
)
かすその
婦
(
おんな
)
、どのような毒婦なのでございましょう?」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
婦
(
おんな
)
たちは母屋に寝て、私は
浅芽生
(
あさぢう
)
の背戸を離れた、その座敷に泊ったんです。別々にも、何にも、まるで長土間が半町あります。」
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
息をひそめてもみ合いながら、医療部の医師や看護婦や購買組合の男たちが、玄関口に横着けにされた自動車から一人のみすぼらしい恰好をした
婦
(
おんな
)
を運び込んでいる。
光の中に
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
こう云いながら勝手口から出て来た一人の
婦
(
おんな
)
がある。侍はその方を振り返り
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
薄
(
すすき
)
、天守の壁の
裡
(
うち
)
より出づ。壁の一
劃
(
かく
)
はあたかも扉のごとく、自由に開く、この
婦
(
おんな
)
やや年かさ。
鼈甲
(
べっこう
)
の突通し、御殿奥女中のこしらえ。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
果してその
婦
(
おんな
)
と情夫とが、共謀して良人を殺したのであった。
染吉の朱盆
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「人間の娘も、鷺の
婦
(
おんな
)
も、いのち惜しさにかわりはないぞの。」といわれた時は、俎につくばい、鳥に
屈
(
かが
)
み、媼に
這
(
は
)
って、手をついた。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“婦(
婦人
)”の解説
夫人
婦人(ふじん)はくだけた呼び方であり、これは敬称ではない。
正しい敬称はご婦人(ごふじん)であり英語圏ではMs.に相当する。
一般的には成人女性全般または大人の女性への敬称である。上流階級の女性には貴婦人があてがわれる。
類似する意味には成人女性全般を意味する婦女(ふじょ)は汎用性の高い女性と同義である。
(出典:Wikipedia)
婦
常用漢字
小5
部首:⼥
11画
“婦”を含む語句
夫婦
情婦
主婦
婦人
娼婦
貴婦人
醜婦
妖婦
淫売婦
新婦
老婦
夫婦喧嘩
寡婦
命婦
淫婦
婦女
酌婦
婦女子
妊婦
老夫婦
...