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妓
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おんな
ふりがな文庫
“
妓
(
おんな
)” の例文
長崎県五島の故郷へ出す
妓
(
おんな
)
の手紙を代筆してやりながら、
何故
(
なぜ
)
こんな所へ来た? 親のため、そやけどこんな所とは思わなかったわ。
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
「江戸詰の頃、他藩のお留守居とともに吉原とやら参って、ひどう、
妓
(
おんな
)
にもてなされ、帰されないで、弱ったことがあるといいおる」
べんがら炬燵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それから八は、
吉原
(
なか
)
は言うまでもなく四宿の盛り場を廻って、去年の暮頃から住込んだ、新顔の
妓
(
おんな
)
に出来るだけ逢ってみるんだ」
銭形平次捕物控:029 江戸阿呆宮
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「云うことに嘘はねえが、どうにも毒があっていけねえ。なか(
廓
(
くるわ
)
)へいってまでその伝なんだから、
妓
(
おんな
)
にだって好かれる道理がねえや」
夜の蝶
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
もと柳橋で鳴らした
妓
(
おんな
)
で、今年三十一、二の年増ざかり、美人も美人だしそれに、決して人を外らさないなかなかの腕っこき
釘抜藤吉捕物覚書:13 宙に浮く屍骸
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
そこへ圓生はじめ三遊派の主立った人たちを毎晩のように連れてきては酒よ
妓
(
おんな
)
よとチヤホヤもてなした、三遊派の人たちと圓生
別懇
(
べっこん
)
の者は
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
けれども一座の多人数は、皆耳を
欹
(
そばだ
)
てた。——彼は聞えた
妓
(
おんな
)
である——中には民弥の知らないという、その訳をさえ、よく心得たものがある。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
内地である女郎屋へあがった時、俺の
対手
(
あいて
)
に出た
妓
(
おんな
)
は馬鹿に醜かった。俺はヤケを起してその女に床をつけなかった。と、ヤリテ婆が出て来て
苦力頭の表情
(新字新仮名)
/
里村欣三
(著)
尤も、大阪から一人、
妓
(
おんな
)
の為に、飛行機で通ってくるという噂があるから、もし、この二人が、そうだとしたなら、それは——いよいよ尊敬してもいい。
大阪を歩く
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
それに
妓
(
おんな
)
たちにもてる方や。今は男ぶりもちょっと悪るなったけれど。若いとき綺麗な人は、年取ると変になるものや。でもなかなか隅っこにおけんのや。
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
小金は三吉に
挨拶
(
あいさつ
)
して、
馴々
(
なれなれ
)
しく正太の傍へ寄った。親孝行なとでも言いそうな、
温順
(
おとな
)
しい盛りの年頃の
妓
(
おんな
)
だ。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
酒だ
妓
(
おんな
)
だ
花牌
(
はな
)
だ
虗栄
(
みえ
)
だと魂を使われて居る手合が多いのだから、大川の夜景などを賞しそうにも無い訳だ。
夜の隅田川
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
勿論土地の売れっ
妓
(
こ
)
たちは
総縫
(
そうぬい
)
の振袖や、
袿
(
うちかけ
)
を着た、腰元や奥女中に、他の土地の盛り場の
妓
(
おんな
)
たちと交っていたので、その通行のおりには大変な人気であった。
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
一度は通り過ぎたが、ためらいながら元に戻り、油障子を張った引き戸をそっと引きあける。寒い夜で、年老いたのと若いのと二人の
妓
(
おんな
)
が、
火鉢
(
ひばち
)
に当っていた。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
「こちら、どうなすつたの!」と云つてポンと彼の肩を叩くと、その次に居並んでゐる稍年取つた
妓
(
おんな
)
が
蝉
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
十八、九ばかりの小柄な
妓
(
おんな
)
であるが口元などの可愛い、優しい
容姿
(
すがた
)
をしている。女主人も笑いながら
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
菊代というのは、私が市内を彷徨してるうちにいつしか顔馴染になった
妓
(
おんな
)
で、一二度機会があったにも拘らず、私は深入りするのを避けていたのだ——秀子のために。
理想の女
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
若き時酒のみてとろとろ眠りし心地と
狎
(
な
)
れたる
妓
(
おんな
)
のもとに通いし
楽
(
たのしみ
)
は世をへだてたるごとくなりきと書いた文章の事をしみじみと語り出して、その終に添えた狂歌一首
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
川向うの上木屋町あたりで若い
妓
(
おんな
)
たちが、この門の締まるのを見ると、有卦に入るといって、欄干にもたれてじっとそれを待っているが、見ているときには締まらないで
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それによると文化年間、吉原の橋本楼に小式部太夫と云う
妓
(
おんな
)
がいて、それに三人の武士が深い執着をもって、主家を浪浪するもかまわず、通いつめて自分の
有
(
もの
)
にしようとした。
偶人物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
関戸屋という女郎屋のうす暗い四畳半の座敷に、江戸者らしい若い旅びとが、
行燈
(
あんどう
)
のまえに
生
(
なま
)
っ白い腕をまくって、おこんという
年増
(
としま
)
の
妓
(
おんな
)
に二の腕の血を洗ってもらっていた。
半七捕物帳:22 筆屋の娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「ほんとでございますか、このごろ横町の
妓
(
おんな
)
たちがみんな廓外へ稼ぎに出ると申すのは?」
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
人込の中で
黄包車
(
ワンポウツ
)
に乗った
妓
(
おんな
)
が、刺繍した小さな
沓
(
くつ
)
を青いランプの上に組み合せて揺れて来た。
招牌
(
しょうはい
)
や
幟
(
のぼり
)
を切り抜けて、彼女の首環の宝石が、どこまでも魚のように光っていった。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
否、旅に出て日を経るに随つて、一層その面影の
濃
(
こま
)
やかになつて来ることを感じたのである。Bは夫人の
中
(
うち
)
にも徳子といふその
妓
(
おんな
)
の
中
(
うち
)
にもそれを発見せずにはゐられなかつたのである。
犬
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
訳の判らぬ癇癪と我儘に若い
妓
(
おんな
)
たちが脅えたような顔を白く並べる時、金屏をもれる
如月
(
きさらぎ
)
の宵の寒い風が頸に当って、突然脳裡を横切る黄金色の雲の一片と、その下にそそり立つ真紅のピーク。
可愛い山
(新字新仮名)
/
石川欣一
(著)
「余り静かだからいい景物だ——でも、わるい
妓
(
おんな
)
だな」
町の展望
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「その御病体で、隊長、
妓
(
おんな
)
を物しようというんですか」
流行暗殺節
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
撞木町の
升屋
(
ますや
)
の提灯をさげた若い者が、駕籠を連ねて、迎えに出ていた。
妓
(
おんな
)
たちは、それへ乗ったが、内蔵助は、
酔眼
(
すいがん
)
をみはって
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
答えたものの、さすがにその中へはいる気はせず、私は川に面した廊下へ出て、煙草を吸いながら、
妓
(
おんな
)
の来るのを待った。
神経
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
一と頃は恐ろしい女道楽で、
吉原
(
なか
)
から四宿、岡場所まで、
掃
(
は
)
いて廻り、何十人、何百人の若い
妓
(
おんな
)
を泣かせたか解りません。
銭形平次捕物控:069 金の鯉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
しばしば酒席を設け、遊里へ誘い、ときには
妓
(
おんな
)
の面倒までみる。こんどの川普請はのっぴきならぬ場合だから、あらゆる手段を使ったのだろう。
滝口
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
大抵、
流連
(
いつづけ
)
というものは二三日もすると飽き飽きする。いくら惚れた
妓
(
おんな
)
とでも、妓と茶屋とは又別である。
傾城買虎之巻
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
妙に自分ながら
硬
(
かた
)
くなって口ごもっていると、そこへ外から今帰ったらしい若い
妓
(
おんな
)
が一人出てきて
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
知らない顔の客のことで、口を掛ければ直ぐに飛んで来るような、
中年増
(
ちゅうどしま
)
の
妓
(
おんな
)
が傍へ来て、先ず酒の興を助けた。庭を隔てて明るく映る障子の方では、
放肆
(
ほしいまま
)
な笑声が起る。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
特に観世音の
御堂
(
みどう
)
では、この
妓
(
おんな
)
と、
花片
(
はなびら
)
が
颯
(
さっ
)
と
微酔
(
ほろよい
)
の頬に当るように、
淡
(
うす
)
い
薫
(
かおり
)
さえして、近々と、膝を突合わせたような事がありましたから、色の刺激で、欄干近い、枝も
梢
(
こずえ
)
も
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
耳たぶがないばかりに、あの
田舎町
(
いなかまち
)
の
妓
(
おんな
)
は、どのような暗い
厭
(
いや
)
な思いを味わって来たことであろう。あの夜、あの妓は、私の胸に顔を埋めたまま、とぎれとぎれ身の上話を語った。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
そんな話は聞きません。大地震の時には大勢死んだそうですが、その後は一人も無いようです。なにしろ、
先
(
せん
)
の旦那と違って、おかみさんも若旦那も善い人ですから、抱えの
妓
(
おんな
)
どもを
半七捕物帳:09 春の雪解
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
因業者
(
いんごうもの
)
で通っていた
主翁
(
ていしゅ
)
は、それを突き出したので徳蔵は牢屋に入れられ、其のうちに病死したが、其の徳蔵が
曳
(
ひ
)
かれて往く時着ていた衣服は、店の
妓
(
おんな
)
がやった浅黄木綿三つ柏の単衣であった。
幽霊の衣裳
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
両国垢離場の昼席からは橋ひとつ隔てた柳橋の小糸という
妓
(
おんな
)
だった。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
おの/\虫のねだんづけの高きひくきをさだめんとす、
故
(
ゆえ
)
ありて酒と
妓
(
おんな
)
とをいましめたれば、わきめよりはしは虫のゑんとやいふべき、なにがし寺のねぶちの声、虫の音にまじりてほの聞ゆるなど
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「三の男の物なら、おれのものは、
驢馬
(
ろば
)
ほどなものはある。どんな商売
妓
(
おんな
)
だろうが、
嫌泣
(
いやな
)
きにでも泣き往生させずにはおかないよ」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
妓
(
おんな
)
の数もあんなにあろうとは思いも寄らなかった。毎日毎日、白粉臭いのを首実検してつくづく
厭
(
いや
)
になりましたよ、おしまいには
嘔気
(
むかつ
)
いて来る」
銭形平次捕物控:029 江戸阿呆宮
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
……その夜、湯の山の妓楼に泊ったときも、
妓
(
おんな
)
に「いっしょに寝た」と云う約束をさせて、べつの部屋で一人で寝た。
初夜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
むろん断ったが、十八にもなってと
嘲
(
あざけ
)
られたのがぐっと胸に来て
登楼
(
あが
)
った。長崎県五島の親元へ出す
妓
(
おんな
)
の手紙を代筆してやりながら、いろいろ妓の身の上話を聞いた。
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
と、
禿
(
かむろ
)
が呼んだから、
妓
(
おんな
)
が膝に
凭
(
もた
)
れていた客が、いやいや柱へ凭れ直した。歌浦が立って行くと
傾城買虎之巻
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
私は窓の下を通る貨物列車の音をわびしく聞きながら、
妓
(
おんな
)
と会話をかわしていた。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
そこへ行くと、私は選む……一流でないものは、
妓
(
おんな
)
でも話せないような気がする……私は
交際
(
つきあい
)
で引手茶屋なぞへ行きましても、クダラナい女なぞを相手にして、騒ぐ気には成れません。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
勿論、かけ離れてはいるが、呼べば、どの
妓
(
おんな
)
も
三味線
(
さみせん
)
に応ずると言う。
古狢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「まだいうかっ。あらぬ
讒訴
(
ざんそ
)
もいい加減にしろ。ははあ、なんだな、何かきさまこそ、わしの留守中に、
色街
(
いろまち
)
の
妓
(
おんな
)
にでもひッかかって」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
妓
(
おんな
)
どもは大小こき交ぜて、吹き溜りの
落椿
(
おちつばき
)
のように、広間の隅っこに額を突き合せ、疑いと悩みと不安とにさいなまれた眼を見張っておりました。
銭形平次捕物控:054 麝香の匂い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
妓
漢検準1級
部首:⼥
7画
“妓”を含む語句
娼妓
芸妓
雛妓
妓女
芸妓屋
妓樓
妓楼
歌妓
抱妓
藝妓
流行妓
芸妓連
舞妓
老妓
妓夫
妓家
芸妓衆
芸娼妓
妓生
妓衆
...