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婢
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おんな
ふりがな文庫
“
婢
(
おんな
)” の例文
撫でての歎息顔『茶などは要らぬ、止しにせい。たしか太田の
婢
(
おんな
)
とやらが、毎晩泊りに来るとか聞いたが、それは今夜も来てゐるか』
したゆく水
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
病める
老人
(
としより
)
の用しげく
婢
(
おんな
)
を呼ばるるゆえ、しいて「わたくしがいたしましょう」と引き取ってなれぬこととて意に満たぬことあれば
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「いずれにしても、
婢
(
おんな
)
どもの知ったことではない。こちらはお蓮様どころではないのだ。お末の者一同、さわがずと早く
寝
(
やす
)
めと申せ」
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
と急がわしく
硯
(
すずり
)
を引き寄せ、手早く
認
(
したた
)
めたる電信三通、
婢
(
おんな
)
を呼び立ててすぐにと
鞭打
(
むちう
)
たぬばかりに追いやり、
煙管
(
きせる
)
も取らず茶も飲まず
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
婢
(
おんな
)
は元数寄屋町の有松屋に奉公していたのを、お美代が旦那を持ってから自分の
手許
(
てもと
)
に呼んで、昔話をするのを
楽
(
たのし
)
みに致して居ります。
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
脇本陣楢屋の奥の座敷では、冬次郎が熊太郎を相手にし、わざと
婢
(
おんな
)
の酌をことわり、勘助や清三郎に酌をさせ、酒汲み交わし話していた。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
異様な覆面姿の五人を
見眺
(
みなが
)
めて、宿の
婢
(
おんな
)
たちがさえぎろうとしたのを、刺客たちは、物をも言わずに、どやどやと土足のまま駈けあがった。
流行暗殺節
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
橋本のいさちゃんが、浜田の
婆
(
ばあ
)
さんに連れられ、
高島田
(
たかしまだ
)
、
紋付
(
もんつき
)
、真白に
塗
(
ぬ
)
って、
婚礼
(
こんれい
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
に来たそうだ。
美
(
うつく
)
しゅうござんした、と
婢
(
おんな
)
が云う。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
裏
(
なか
)
へ
這入
(
はい
)
ッて見ると大違い、
尤
(
もっと
)
も客も相応にあッたが、給事の
婢
(
おんな
)
が不慣れなので
迷惑
(
まごつ
)
く程には手が廻わらず、帳場でも間違えれば出し物も
後
(
おく
)
れる。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
それらの人たちに、
家内
(
うち
)
の
婢
(
おんな
)
たちや、子供たちも交えて、三十数名のものが、土間に蓆をしいてずらりと二列に並ぶ。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
封筒に収めて備中国
新見町
(
にいみまち
)
横山兵蔵様と書いて、傍に置いて、じっとそれを見入った。この一通が運命の手だと思った。思いきって
婢
(
おんな
)
を呼んで渡した。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
色は白いが顔の地のあれた廿二三の
婢
(
おんな
)
、
衝当
(
つきあた
)
りの六畳へ燈を点けて、こちらへと云うに貞之進はついて這入ると、この家は
間
(
ま
)
ごと間ごと瓦斯を用いてある
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
時
(
とき
)
が知ってるのよ。あの
婢
(
おんな
)
は
宅
(
うち
)
にいる時分よく風呂敷包を抱えて質屋へ使いに行った事があるんですって。それから近頃じゃ
端書
(
はがき
)
さえ出せば、向うから品物を
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
より以上、びっくりしたのは、本丸の大台所に働いていた台所役人や、
庖丁人
(
ほうちょうにん
)
やお
下
(
しも
)
の
婢
(
おんな
)
たちであったろう。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
葉子はなおも
動
(
どう
)
じなかった。そこに
婢
(
おんな
)
がはいって来たので話の腰が折られた。
二人
(
ふたり
)
はしばらく黙っていた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
……清葉が
下階
(
した
)
へ下りて、……近所だからね、自分の内へ電話を掛けて、
婢
(
おんな
)
にいいつけて、通りへ買いに遣った、タングステンが、やがて紙包みになって顕れて
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お吉のいぬを不審してどこへと問えば、どちらへかちょと行て来るとてお出でになりました、と何食わぬ顔で
婢
(
おんな
)
の答え、
口禁
(
くちど
)
めされてなりとは知らねば、おおそうか、よしよし
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
おおマダム街の
鄙唄
(
ひなうた
)
! おおオブセルヴァトアールの通路の鄙唄! おお夢みる兵士ら! 子供を
守
(
もり
)
しながらその姿を描いて楽しむかわいい
婢
(
おんな
)
ら! オデオンの
拱廊
(
きょうろう
)
がなければ
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
遊ぼうと言うので、宿屋を出て、駅の裏手にあるという
妓楼
(
ぎろう
)
に出掛けて行った。宿の
婢
(
おんな
)
に教えられた家は、暗い路の、
生籬
(
いけがき
)
に囲まれた、妓楼らしくもないうらぶれた一軒屋である。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
帰ってから、手をひいて行った
婢
(
おんな
)
の話で、二側ほど後に角太郎さんがいて、まるで喰いつきそうな凄い顔をしていたと言っていましたが、ひょっとすると、その講談から思いついて……
顎十郎捕物帳:06 三人目
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「あ、親分、そんな事は、
婢
(
おんな
)
にやらせておけばいいのに——危ないなアどうも」
銭形平次捕物控:071 平次屠蘇機嫌
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
茶と菓子とを運んだ
婢
(
おんな
)
に
昼食
(
おひる
)
のあと片付けを云いつけて、彼女はまた漠然たる思いの影を追った。遠くより来る哀悠が湖水の面にひたひたと
漣
(
さざなみ
)
を立てている。で側の小さい聖書をとり上げてみた。
湖水と彼等
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
音に聞く太田の
呑竜
(
どんりゅう
)
さまへお詣りしました。門前町には茶屋、旅籠が軒を並べ、客をひく
婢
(
おんな
)
の声は
鄙
(
ひな
)
びております。広い
境内
(
けいだい
)
はいま人が出盛りで、人むれの多くは鐘楼の方へ
牽
(
ひ
)
かれてゆく様子です。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
おせい様と磯五と、
婢
(
おんな
)
たちが戸口まで送って出た。お駒ちゃんはいつになくしんみりしていて、おせい様にも丁寧に別れの挨拶をした。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
浪子は何事のあるぞと思いつつ、伯母と看護婦にたすけられて馬車を下れば、玄関には
婢
(
おんな
)
にランプとらして片岡子爵夫人たたずみたり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
三十前後の顔はそれよりも
更
(
ふ
)
けたるが、鋭き眼の
中
(
うち
)
に言われぬ
愛敬
(
あいきょう
)
のあるを、客
擦
(
ず
)
れたる
婢
(
おんな
)
の一人は見つけ出して口々に友の
弄
(
なぶ
)
りものとなりぬ。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
婢
(
おんな
)
たちは、目が高いと言っていいか、低いと言っていいか、主水之介をそれと
看破
(
みやぶ
)
って成田屋、おいらん、二人が取巻きの川涼みと思ったらしく
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
と
妻
(
つま
)
が叫んだ。南西からざァっと吹かけて来て、縁は
忽
(
たちまち
)
川になった。妻と
婢
(
おんな
)
は
遽
(
あわ
)
てゝ書院の雨戸をくる。主人は障子、廊下の
硝子窓
(
がらすまど
)
をしめてまわる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
旅籠の
婢
(
おんな
)
や番頭たちは、この、紙帳蜘蛛の怪異に胆を奪われ、咳一つ立てず、手足を
強張
(
こわば
)
らせ、
呼吸
(
いき
)
を呑んでいた。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
長い竹の
箸
(
はし
)
でかき回して、ザブザブと水で洗って、それをざるに手で盛った。「お待ち遠さま」と
婢
(
おんな
)
はそれを膳に載せて運んで来た。足の裏が黒かった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
衣紋
(
えもん
)
を直したと思うと、はらりと気早に立って、
踞
(
つくば
)
った
婢
(
おんな
)
の髪を、袂で払って、もう居ない。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
おのれ覚えて居ろと天地に向って
吐
(
は
)
く息に無念の炎が燃えるばかりなのを、今日は小歌さんは丸髷で居たと云いますから、失礼だと思って来ないのでしょうと
取做
(
とりな
)
す
婢
(
おんな
)
の手前
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
と、姉さん
被
(
かぶ
)
りの
婢
(
おんな
)
が、すべての謎はそれで解けてしまうかのような顔をして言った。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
千筋
(
ちすじ
)
百筋
(
ももすじ
)
気は乱るとも夫おもうはただ一筋、ただ一筋の
唐七糸帯
(
からしゅっちん
)
は、お屋敷奉公せし叔母が
紀念
(
かたみ
)
と
大切
(
だいじ
)
に
秘蔵
(
ひめ
)
たれど何か
厭
(
いと
)
わん手放すを、と何やらかやらありたけ出して
婢
(
おんな
)
に包ませ
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
何時もなら
婢
(
おんな
)
を呼び返して
小言
(
こごと
)
をいって渡すところを、今の彼は黙って手に持ったまま、しばらく考えていた。彼はしまいにその針をぷつりと襖に立てた。そうしてまた細君の方へ向き直った。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いひかけて
四辺
(
あたり
)
に気を配り、若き
婢
(
おんな
)
の三四間後れたるに心を許し
磯馴松
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
朝飯をすました
婢
(
おんな
)
を兄の家へ
遣
(
や
)
ってから彼女は外に出てみた。
湖水と彼等
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
と
婢
(
おんな
)
の案内でもって八畳の間に通ります。
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「長くいる
婢
(
おんな
)
か」
銭形平次捕物控:134 仏師の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と
婢
(
おんな
)
の呼び来たりて、お豊を抑留しつ。このひまにと武男はつと
藪
(
やぶ
)
を回りて、二三十歩足早に落ち延び、ほっと息つき
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
われわれに対する今後の対策を
凝
(
こ
)
らしているものと察しられますが——ところで、わたしは、道場の
婢
(
おんな
)
どもが噂をしているのを、ちょっと聞きましたので。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
廊下を通う
婢
(
おんな
)
を呼び止めて、唄の主は
誰
(
たれ
)
と聞けば、顔を見て
異
(
おか
)
しく笑う。さては大方美しき人なるべし。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
秩父の代官河越三右衛門が、召使の
婢
(
おんな
)
に濡衣を着せ官に訴えて
逆磔
(
さかさはりつけ
)
に懸けた所、昨夜婢の亡霊が窓を破って忍び入り、三右衛門を喰い殺したというのである。——
稚子法師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
主人
(
あるじ
)
は東に向い一拝して香を
焚
(
た
)
き、再拝して
退
(
さが
)
った。妻がつゞいて再拝して香を焚き、三拝して退いた。
七歳
(
ななつ
)
の鶴子も
焼香
(
しょうこう
)
した。最後に
婢
(
おんな
)
も香を焚いて、東を拝した。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
あなたは何性と
突然
(
だしぬけ
)
に小歌に問れて、貞之進は素より知らないことゆえ知らぬと云えば、歌ちゃんはと
婢
(
おんな
)
が横合から口を入れると、儂は火なの、じゃア十八で
九紫
(
きゅうし
)
だね、
能
(
よ
)
く分ってね
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
それから、下男や
婢
(
おんな
)
たちまでがいっしょになって、「くずすのは惜しい」とか「そのまま飾物にしてもいい」とか、「これだけあったら何年もつかえるだろう」とか、口々にほめそやした。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
と若い
婢
(
おんな
)
の黄いろい声がした。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「
婢
(
おんな
)
はもう起きてるのか」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「こらっ、
婢
(
おんな
)
っ!
北廓
(
ほっかく
)
はいずれであるか、これからまいるぞ。案内をいたせっ。ははははは、愉快愉快」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
婢
(
おんな
)
に案内され、薄暗い部屋から部屋、廊下から廊下へと、菊弥は歩いて行った。
鸚鵡蔵代首伝説
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
婢
漢検1級
部首:⼥
11画
“婢”を含む語句
下婢
婢女
奴婢
小婢
老婢
侍婢
婢奴
僕婢
楼婢
婢僕
婢妾
御伽婢子
婢共
伽婢子
家婢
少婢
樓婢
雑婢
旧婢
從婢
...