“はした”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
14.5%
端下14.5%
端銭9.7%
9.7%
8.1%
下婢6.5%
婢女6.5%
端金4.8%
端手3.2%
端多3.2%
端足3.2%
箸立3.2%
零餘1.6%
中有1.6%
半下1.6%
半人1.6%
1.6%
端太1.6%
端女1.6%
1.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
いろいろさまざまのお金の山の中へ身を置かれて、お金の誘惑はプツリともなかったが、はしたなお鳥目の誘惑の方はしきりだった。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
ありとあらゆる端下はした仕事をして、臺所の殘り物、酒場のしたみを頂戴して肥るという徒輩である。
駅伝馬車 (旧字旧仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
今の腕車くるまに、私が乗っていたのを知って、車夫わかいしからで駆下りた時、足の爪をかれたとか何とか、因縁を着けて、端銭はした強請ゆするんであろうと思った。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
母の前をもはばからぬ男の馴々なれなれしさを、憎しとにはあらねど、おのれはしたなきやうにづるなりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
はしたのかねと共に酒席の後片付けをしてから、酔い覚めの水を持って小房が寝所へ入って行くと、暗くしてある有明行灯ありあけあんどんの光の下で、辰之助がふっと夜具の中から笑顔を見せた。
(新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「どうぞ、この御庵室の端になと置いてくださいませ。——お弟子としてお許しなければ、しばらくはお下婢はしたの者としても」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
割木わりきほどのこと大臺おほだいにしてしかりとばさるる婢女はしたつらや、はじめ受宿うけやど老媼おばさまが言葉ことばには御子樣おこさまがたは男女なんによにん、なれども常住じやうぢう家内うちにおいであそばすは御總領ごそうりやうすゑ二人ふたり
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
端金はしたは、いらないから。」と、あきれるばかりの気前のよさで、ほくほく紙幣を受け取るのであった。その端金はしたがあれば、午後取りに来るはずの電燈代が払えるのにと思うと、新子は
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
奥の間の障子を開けて見ると、果して昇があそびに来ていた。しかも傲然ごうぜん火鉢ひばちかたわら大胡坐おおあぐらをかいていた。そのそばにお勢がベッタリ坐ッて、何かツベコベと端手はしたなくさえずッていた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
そこへ千円と少し端多はしたがつく。
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
それを分けて根原から登る端足はした峠の道に出で、北に向って本栖湖畔に下りた。路は湖の南岸に通じている。数百羽の小鴨が木の葉のように水面に浮んでいたのは珍らしかった。
春の大方山 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
乳母 零餘はした如何どうあらうと、一ねん三百六十にちうちで、初穗節はつほまつりよるになれば、ちゃうどお十四にならッしゃります。スーザンとぢゃうとは……南無なむあみだぶ……おなどしでござりました。
カピ妻 二週間しうかん零餘はしたいくらか。
ただ眼が早くめ過ぎて、中有はしたに延びた命の断片を、運動でめるつもりで歩くのだから、それほどの興味は空にも地にも乃至ないし町にも見出す事ができなかった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
文字に「半下はした」・「半物はしたもの」・「半人はしたびと」など書いてある。御老女衆記(古事類苑官位部引)の大奥女中分限の条に
間人考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
ところで特にこの仙北地方に、他では半人はしたまたは間人まうとなどと呼ばれた小作百姓のことを、タヤと呼んだのは一考に値する。
春雪の出羽路の三日 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
かたじけのう御座る。おおかたお側のはしたどもの噂からお耳に入ったことと思うが、殿の仰せには、薩藩から余に一言の会釈もせいで、黒田藩士に直々じきじきの恩賞沙汰は、この忠之を眼中に置かぬ島津の無礼じゃ。
名君忠之 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
鼠骨氏はこの三十分を何につかつたものかと考へた。丁度三十分だ。新聞を読むには、十分ばかし時間の端太はしたが出る。女一人を口説くには幾ら短く見積つても卅五分はかゝる。
主人の日頃の気象きしょうを知り抜いて居る上、溺愛されるお鳥に対して、おおうことの出来ない反感が、用人から端女はしたの末まで行亘いきわたって居る為でした。
裸身の女仙 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
今は「風吹くな、なあ吹くな」と優き声のなだむる者無きより、いかりをも増したるやうに飾竹かざりだけ吹靡ふきなびけつつ、からびたる葉をはしたなげに鳴して、えては走行はしりゆき、狂ひては引返し
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)